星空に華を添える、今や大人気の流星群!たくさんの流星が流れる12月の「ふたご座流星群」と8月の「ペルセウス座流星群」は、特に大きな注目を集める星空のビッグイベントです。
この記事では今年(2019年)のペルセウス座流星群の見どころと楽しみ方を徹底ガイド。流星群に初めてデビューする方から、何度も見たことのある経験者まで「これだけ読めばOK!」になるような情報をまとめました!
もくじ
今年のチャンスはピンポイント!
毎年夏の恒例「ペルセウス座流星群」。今年の条件は一般的には「悪い」とされる満月の2日前。国立天文台のHPでも「たいへんよくない条件」と書かれています。
しかし!時間帯をピンポイントでねらえば決して悪い条件ではありません。
星空シミュレーションソフト・SUPER STAR V
https://www.sstar.jp
上の画像は天リフオススメの最高の時間帯、8月13日の早朝3:00ごろ(想定地点は以下東京)。2時半ごろに月が沈んでから空が白み始める3時半ごろまで、1時間ほどしかありませんが、放射点(*)が高く昇る時間帯に月明かりがないのは好条件。
(*)流星群に属する流星は「放射点」とよばれる空の上の一点から飛び出してくるように流れます。放射点が低いと見られる流星の数が少なくなってしまいます。
普通に考えると「チャンスはたった1時間」なのですが、逆に流星群を初めて見る人にとっては1時間もあれば十分です。むしろねらいの時間が絞りやすいともいえます(*)。
(*)一晩中流星を眺めても飽きないのはよほどの星好きですね^^そんな星好きの方にも、月が沈むまでは安心して仮眠ができるというメリットがあります^^
しかも、わずか4時間ほどの間に、月と太陽と流星が織りなすさまざまな夜空の変化が凝縮されて展開します。満月が地上を明るく照らす月夜から、月が沈んで星々が煌めきだし、その中をたくさんの流星が流れる。そして空が白み始めて朝焼けを迎え、日の出がフィナーレを飾る。この展開は最高の夜といっても過言ではありません。
見どころ
それでは、2019年夏、ペルセウス座流星群の「最高の夜」の見どころを順にご紹介していきましょう。
月夜を楽しむ
満天の星を見るためには、本来は月は邪魔な存在です。半月より太くなると天の川がかき消されてしまうほどになり、満月にもなると街灯りのない場所であっても星の輝きが弱ってしまうからです。
しかし、逆に「月夜」をたっぷり楽しんでみませんか?月に照らされた海岸の波打ち際や、低く傾いた月が海面を照らすムーンロードなど、見どころがたくさんあります。
土星と月の接近
実はこの12/13日の晩は、ペルセウス座流星群以外にも大きな見どころが一つあります。それは月と土星の接近。角度にして約2度、月の直径の4倍ほどにまで接近します。
スカイガイド
https://apps.apple.com/jp/app/スカイ-ガイド/id576588894
満月2日前の月の光はかなり明るいため、土星を見つけ出すのはちょっと難しいかもしれませんが、小型の双眼鏡があれば、月の右下にぽつんと光る土星の姿を簡単に見つけることができるでしょう。もちろん、天体望遠鏡があれば土星の輪も見ることができます。
月没
この晩、月は南西の方角に沈んでゆきます。日没の一部始終をじっくり見たことのある人は比較的多いと思いますが、月没の一部始終も同じくらい美しく感動的です。晴れ渡った海岸であれば水平線の上の「ダルマ月」が見られるかもしれません。
望遠レンズがあれば撮影も比較的簡単です。双眼鏡があれば、海に沈む月の姿を最後まで見とどけることができるでしょう。
もう一つ注目したいのは、月が沈んだ後も残る「月焼け」。上の画像は逆に月が出る直前のものですが、夕焼けと同じように低空の空が赤く染まることがあります。
流星の乱舞
月が沈むと、星々の輝きが急激に増してくるはずです。月没からしばらくはまだ空が明るいですが、30分もすればほとんど影響がなくなり、条件の良い場所なら天の川も見え始めます。メインディッシュの流星群をたっぷり楽しみましょう。
月没から空が白み始めるまでは1時間ほどしかありませんが、なるべく街灯りが少ない方角と頭の上(天頂)付近を中心に、いろんな方角を眺めてみましょう。
流星を見るのには肉眼が一番で、望遠鏡や双眼鏡は特に必要ありませんが、都市部などあまり星が見えない場所では低倍率で視野の広い「星座双眼鏡」が役に立つ場合があります。
夜明けとともに消えてゆく星々
東京では12/13日の晩は日の出の1時間35分前、3時20分ごろから空が少しづつ白みはじめますが、その20分後(3時40分)くらいなら星は普通に見えています。そこからは急速に空が明るくなりはじめ、東の空が赤く染まりはじめます。
街灯りの少ない場所なら、この「日の出前70分から50分前のマジックアワー」の星と空の明るさ・色の変化は素晴らしい天文ショーです。
日の出
東京での日の出は4時57分。東北東から昇ってきます。場所をうまく選べば、月没も日の出も、水平線の上で見られるはずです。日の出の美しさはあえて語りませんが、月夜から月没、流星群、薄明に消えゆく星々、そして日の出までつなぐことができれば、それはもう一生ものの感動体験になるはずです。
流星群を見に行こう
観測地をさがす
ネットのガイド情報などでは「ペルセウス座流星群は夜明け前の北東の空に注目!(*)」などと書かれていることが多いのですが、今回は「月没」を見る意味で、すばり南西の視界の開けた場所をイチオシします。
(*)「放射点」の近くが一番流星の出現頻度が高いという意味だと思われますが、逆に放射点から離れた方が「大物」に巡り会える可能性が高いという分析もあります。
太平洋側の場合、南側は海なので都市圏からあまり離れなくてもそれなりの星空が楽しめるというメリットもあります。具体的には関東なら房総半島南部、三浦半島の南端、伊豆半島の南端など。中部なら知多半島や渥美半島。近畿なら伊勢志摩、南紀などです。
アプリ「日出、日入」。太陽と月の出没の方角を知ることができる便利もの。左下の線が月没、右上が日の出です。房総半島の先っぽであれば月没も日の出も海上に見られることがわかります。
日出、日入
https://apps.apple.com/jp/app/日の出-日の入り/id940344765
お住まいの場所を起点に、候補地点を2,3ピックアップしておきましょう。あとは直前の天気予報を参考に、出撃地点を決めることになります。
こちらの記事に「星がよく見える場所の探し方」をかなり詳しく解説しています。全部しっかり読んでいただければ、自力でも候補地点を探し出せるはずです。ぜひご参考に!
お天気を調べる
星見の際のお天気予報は「Windy」がイチオシ。アプリでもPCでも同じように使える操作性と見やすさがメリット。このアプリの「雲」と「下層雲」の2つのデータで当たりをつけましょう。
Windy.com(Web版)
https://www.windy.com/ja/-雲-clouds?clouds,34.994,139.109,5
Windy(アプリ)
https://apps.apple.com/jp/app/windy-com/id1161387262
また、とりあえずざっくり調べるだけなら、tenki.jpの星空指数を見るのが簡単です。
時間割を立てよう
月没(月明かりの影響がなくなる時刻)
天文薄明開始(空が白みはじめる)
日の出(フィナーレ)
計画を立てる上で重要なのは上の3つの時刻です。アプリ「日の出、日の入り」などで目的地でのこの3つの時刻を調べておきましょう。
参考までに全国主要都市での時刻の表を載せておきます。日の出70分前〜50分前までが「天リフ的マジックアワー(*)」です。参考にしてくださいね!
(*)「マジックアワー」は一般にはもう少し明るい時間帯を指すようですが、明確な定義があるわけではないようです。天リフ的には「星を主題とした場合に最も変化に富んだ美しい時間帯」という意味でこのめやすを採用しました。
オススメは前日入り
遠出する場合のオススメは「前日入り」することです。夕方明るいうちに場所を選定してその場で深夜すぎまで仮眠。月の出1時間くらい前から活動を開始し、日の出を拝んで帰路につくというパターン。
暗くても現地入りできる自信があれば、夕方から軽く仮眠した後、夜半前に移動を開始して月の出1時間くらい前に現地入り、というプランも。
いずれの場合も、ふだんの生活リズムからおおきくずれてしまいますので、行き帰りの道中は十分注意して事故などの内容にしてくださいね!
Bプラン
「今年はピンポイントで8月12/13日の晩!」とオススメしましたが、この日を含めた前後3日間にもチャンスがあります。お天気の状態によっては前後1日なら流星群を楽しむことができるでしょう。
前日の11/12日の晩は、月没が45分ほど早まります。このため、流星が見やすい時間帯がその分長くなりますが、出現する流星の数は翌日の半分くらいに少なくなることが予想されます。
翌日の13/14日の晩は、月がなければ前日と同じ程度の出現が見込まれますが、月没がさらに遅くなり暗夜の時間がごく短くなってしまうのが残念なところです。
参考)佐藤 幹哉の流星研究ページ・2019年のペルセウス座流星群の情報
http://meteor.kaicho.net/index.html
流星群を安全に楽しむためには
駐車場内では徐行・点灯!
徒歩で移動する場合はライトを足元に照らして!
行き帰りは安全運転で、仮眠を十分に!
ペルセウス座流星群やふたご座流星群など、活発な流星群のほとんどは深夜〜明け方が観察に適した時間帯となります。このため、夜の暗い中を移動したり行動することになります。安全には十分配慮しましょう。
車で移動する場合は、安全に停車できる広い駐車場を選ぶことになりますが、流星群の日はけっこうな人出になる場所もあります。駐車場内ではライト消灯しないで徐行するようにしましょう。安全に駐車したらすぐにライトは消しましょう。
広い駐車場であっても、暗い中では車止めや溝、ロープなど危険の要素が多くあります。安定した観察場所を確保し落ち着くまでは、ライトで足元をしっかり照らして安全を確認して移動しましょう。
特に海岸では、岩場や波止場などに入ることは大きな危険を伴います。ペルセウス座流星群のころは台風や土用の波など大きな波が寄せることもあります。そんな場所には近づかないのが無難です。
星空の観察や撮影の際に心がけたいマナーについては上の記事にまとめています。ぜひ参考にしてください!
流星群を楽しむためのグッズ
流星群を見るには、望遠鏡や双眼鏡など特別な機材は何も必要ありません。肉眼で見るのが一番です。
ただし「ライト」は絶対必要。スマホのライトでも非常用には使えますが、電池切れの問題もあるので「暗闇を歩けるくらいの明るさ」のライトは必ず準備しておきましょう。
ホームセンターで売られているようなLEDライト・ヘッドライトは移動用だけならいいのですが、星空を見る場合には明るすぎます。星見用には「光量をごく弱くできる」「ブルーライト成分が少ない」こちらのヘッドランプが便利です。
もうひとつ、マットは必須。流星観察の最高の体勢は「寝転がって見る(*)」です。真夏でもそれなりに風が吹いたり気温が下がることもあるので、薄手の寝袋が用意できればさらにベター。
(*)駐車場など車が往来する場所でうかつに寝転がっていると「轢かれる」危険があります!寝転んでも大丈夫な場所かどうかは冷静に判断してください!
流星だけの目的なら不要なのですが、最近は安価でそれなりに良く見える双眼鏡が簡単に手に入ります。双眼鏡があれば降るような星空の下で天の川を眺める最高のツールになりますし、月没などの光景もよりいっそう楽しめます。この機会に一つ購入しておくのもよいかもしれません。
流星群を撮影してみよう
マニュアル露出ができるような本格的なカメラをお持ちの場合、写真を撮らない手はありません。星の写真の撮影方法はこの記事では触れませんが、以下の記事を参考にしてみてください!
流星の写真撮影は、カメラを「流星が流れそうな方角」に向けて、ひたすらシャッターを切り続けるのが基本になります。カメラの設定は理想的な条件の場所ならF2.8/60秒/ISO3200くらいになりますが、実際には街灯り・月明かりのためにこれより短い露出時間にしないと露出オーバーで真っ白になってしまいます。背景の明るさに合わせて、夜空が適当な明るさになるように露出時間を短くします。
ただし「ひたすらシャッターを切り続ける」には「リモートコントローラ(スイッチ)」が必要になります(*)。また、ひたすら連写すると電池を食います。30秒露出なら1時間に120枚ですが、街灯りや月明かりのために露出時間を短くするとどんどん枚数が増えます。電池の予備は必ず持参したいものです。
(*)カメラ側に同等の機能を持った機種もあります。
まとめ・星空デビューは今年のペルセウス座流星群で!
いかがでしたか?!
流星群は大人から子供まで、誰もが楽しめる夜空のイベントです。漆黒の星空を音も立てずに流れる流れ星。暗くかすかなものから火花を散らす超明るいものまで、空に降りそそぐ流星群を体験してみませんか?
今年の夏のチャンスは8月13日の早朝とその前後の3日間。お見逃しなく!
- 注記のない画像は編集部で撮影したものです。
- 本記事によって発生したいかなる事象について、編集部ではいかなる責任も負いませんのであらかじめご了承ください。