みなさんこんにちは!星空を見るという最高の遊び「天文趣味」。その楽しみを何倍にも増幅してくれるのが「天体望遠鏡」です。
「オトナの天文趣味」に最適!ED採用・口径80mm天体望遠鏡
「SV503天体望遠鏡」は最安級なのに品質は高級クラス!
「じぶんでシステムを組み上げる」天体望遠鏡の楽しみ方とは!?
この「天体望遠鏡」ですが、近年はより高性能な「EDレンズ」を採用した製品がかなり低価格で販売されるようになってきました。この記事では「オトナの天文趣味」に最適な、小型・低価格・高性能な天体望遠鏡「SVBONY SV503」をご紹介したいと思います。
SVBONY SV503
https://www.svbony.jp/SVBONY-SV503-Lens-barrel-OTA/#F9359B
「オトナの天文趣味」に最適な天体望遠鏡とは?
「天体望遠鏡」は老若男女を問わず、誰にでも使えて楽しめる道具です。「自然」に触れて科学的な視点や思考を体験するという教育的な意義から語られることも多く、それはそれで非常に重要な視点なのですが、ここでは「オトナ」が「余暇をより充実して過ごすことができる」ための道具としてとらえたいと思います。
よく見える天体望遠鏡
まず第一に「よく見える」ことです。遠くにある小さな天体を、大きくハッキリと・そして気持ちよく見るためには、しっかりとした光学性能を備えたものでなくてはなりません。
光学性能と一言でいっても「ピンキリ」なのですが「オトナの天文趣味のスタンダード」としては「EDレンズ」をはじめとする特殊な硝子材を使用したより高性能な対物レンズを備えたクラスをオススメしたいと思います。今回ご紹介する「SV503天体望遠鏡」はもちろん「EDレンズ」を使用しています(*)。
(*)通常の光学ガラスを使用するかぎりは、青い光ほど焦点位置が微妙にズレてしまう(ボケる)「色収差」という現象の補正に限界があり、対象が滲んでしまい解像度やコントラストが低下してしまいます。
SV503のような特殊硝子材を使用した天体望遠鏡のことを「アポクロマート」と呼ぶことが日本では一般的です。それに対して、特殊ガラスを使用しない天体望遠鏡は「アクロマート」と呼ばれます。しかし、本記事では「アポクロマート」の光学理論上の本来の定義(3色色消し2色アプラナート)に忠実に立ち、「アポクロマート」とは呼称していません(*)。これはSVBONY社の立場でもあります。しかし、用語の解釈だけの問題で、性能的にはSV503は「(いわゆる)アポクロマート」と同じです。
(*)2枚のレンズで「3色色消し2色アプラナート」を実現することは理論的には不可能なため。この定義に沿うとSV503はアポクロマートではありません。
手頃な価格でオールラウンドな天体望遠鏡
天体望遠鏡に詳しい人に「ひとつ買ってみたいのですがどんなのがイイですか?」と質問すると、決まって「予算はいくらですか?何が見たいのですか?それによって最適な製品はもちろん違うんですよ」的な回答が返ってきます^^;;; 間違っているわけではないのですが、答にはなっていませんよね^^;; それがわからないから訊いているんですから・・
そこで回答です。
今回ご紹介する「SV503天体望遠鏡」は後者になります。本体のみの価格は税込6万円弱ですが、他に架台・三脚・アイピース(接眼レンズ)などが必要になるため、総額では最低でも10万円ほど見ておく必要があるでしょう(*)。
(*)具体的な構成例は後ほどご紹介します。
しっかりした光学性能の天体望遠鏡なら、「オールラウンド」に、本格的な天体写真撮影にもチャレンジできます。天体写真では色収差の補正が特に重要な要素になるため、EDレンズ採用の天体望遠鏡が強く推奨です。
「オトナ向け」の最適なバランスは口径80mm
ネットで少し調べると「天体望遠鏡で一番重要なのは対物レンズの大きさ(口径)」という記述が随所に出てくることでしょう。これはまぎれもない真理です。デカイほどよく見えます。でも、デカイほど重く、高価になります。これが天体望遠鏡選びの最大のトレードオフです。
ここでは「オトナの天文趣味の入門スタンダードは口径80mm」であると力強く断言したいと思います。しっかりとした品質の製品であれば、口径80mmあれば木星の縞模様や大赤斑、火星の模様や極冠、土星の輪や「カシニの空隙」、月面の大小様々なクレーターなど、一通りの天体を「気持ちよく」「美しく」楽しむことができます。空の暗い郊外に持ち出せば天の川の中にある無数の星の集まり(星団)や、何千万光年も彼方の銀河の淡い光も捉えることができます。
もちろん80mmよりも口径が大きい方がより楽しめるのですが、80mmよりも小さな口径はオススメしません(*)。これより口径を小さくしても価格はそんなに安くなるわけでもなく、本体の重量や大きさもそれほど大きくはかわりません。「口径80mm」は屈折式望遠鏡ではさまざまな点で「ベストバランス」なのです。
(*)よりマニアックな意味では小口径の天体望遠鏡にもそれぞれの存在意義があります。小学生ぐらいの子供の場合は口径80mmは大きすぎるという面もあります。
稼働率を上げる「小型・軽量・コンパクト」
もうひとつ、重要な要素があります。持ち出すのが苦にならない程度の重量と大きさであることです。せっかく手に入れた高価な天体望遠鏡、めいっぱい使い倒して楽しみたいもの。押し入れの肥やしにしない意味でも「小型・軽量・コンパクト」は光学性能と同じくらい重要な要件であるといえます。
最初の項で「EDレンズ採用の天体望遠鏡」を推奨しましたが、それには「小型化」の意味もあります。実は、天体望遠鏡は光学設計の観点では「鏡筒(焦点距離)が長いほど」よく見えるものになります。「EDレンズ採用」鏡筒なら、鏡筒を短く(焦点距離を短く)しても、十分な光学性能が実現できます。
(*)EDレンズなどの特殊ガラス材が一般化する前の時代では、現代の望遠鏡よりも倍くらいの長い鏡筒の製品が主流でした。通常の光学ガラスで十分な性能を発揮するには、そうするしかなかったのです。しかし、長い鏡筒は重量が増加し持ち運びにも不便であるばかりか、操作時にぶれやすくもなります。「鏡筒は短いほど扱いやすい」のは「口径が大きいほどよく見える」のと同じくらいの真理だといえます。
「SV503」の特長
「よく見える」「手頃な価格でオールラウンド」「最適なバランスの口径80mm」「小型軽量コンパクト」。これらの要件を全て満たした、オトナの天文趣味に最適な入門用の天体望遠鏡。それが「SV503天体望遠鏡」です。その詳細を見ていきましょう。
対物レンズと光学性能
SV503天体望遠鏡には高価な硝子材「S FPL-51」が1枚使用されています。FPL-51という硝子材は、カメラレンズでいうところの「EDレンズ」。屈折望遠鏡の宿命ともいえる「色収差(*)」をより軽減し、高性能を実現しています。
(*)光は波長(色)によって屈折率が異なるため、全ての色が一点に集まらない現象が「色収差」。これを補正するためには複数枚の異なる硝子材を組み合わせることが必要になります。2枚のレンズで収差を補正する場合、通常の光学ガラスでは限界があり、特殊な「EDレンズ」などが必要になります。
では、実際にEDレンズ採用の有無でどのくらいの差があるのでしょうか。上の画像は、同じ対象(看板の照明灯)を、ほぼ同じ倍率(167〜190倍)に拡大した実写比較画像です。中央が「SV503天体望遠鏡」。右は20年ほど前の古い特殊ガラスを採用していない「アクロマート鏡筒」ですが、色のにじみ(色収差)や、照明灯を取り巻く霧のようなハロ(球面収差)が歴然と違うことがわかります(*)。
(*)EDレンズを使用せずにF6.6という短焦点はかなり厳しい設計です。逆に、EDレンズなしでもF値を大きく取ると収差はかなり改善し、F15程度にすれば眼視用であればEDレンズ採用の製品とあまり遜色のない性能になります。
これまで筆者が使用した感触では、SV503は業界随一ともいえる低価格にもかかわらず、非常に優秀な光学性能だと感じました。ここまで見えれば、十分「オトナの天文趣味のための天体望遠鏡」として合格点です。
ただし「完璧」ではありません。上には上があります(*)。左の画像はSV503の約10倍の価格(60万円弱)の最高級クラス、「スーパーEDレンズ」を2枚使用した天体望遠鏡によるものですが、こちらはさらに完璧な像です。口径が一回り大きい(106mm)こともあって解像度もより高くなっています。
(*)FPL-51よりもさらに良好な収差補正が可能な硝子材が、「スーパーEDレンズ(オハラFPL-53、HOYA FCD-100など)」や「蛍石(フローライト)」で、1ランク上の性能が実現できます。さらに複数枚使用して「3枚玉」「4枚玉」にすることでほぼ収差ゼロに近いレベルを実現した製品もあります。
後はお値段の差と得られる性能をどう評価するかです。「オトナの天文趣味」の「入門機」であれば、SV503の性能(価格)は十分以上に満足できるものだと感じました。
小型軽量
SV503の美点の一つが伸縮式のフード。ストロークは85mmほどあって、縮めると全長が46cmほどになります。天体望遠鏡にとって、コンパクトであることは正義です。伸縮式フードは小型天体望遠鏡にとって重要なスペックだといえます。
鏡筒の表面の塗装は白色のつや消しで、フードの金色のリングと相まって高級感のあるものです。
鏡筒バンドは、ビクセン規格の14cm弱のアリガタ(*)にM6のネジで一点止めされています。写真用途を含めても強度的には十分でしょう。
(*)「アリガタ」という言葉をご存じない方に補足しておくと「アリガタ」とは上の画像の2本のバンドを繋いでいる台形の金具のことです。この台形をちょうど咬み込む金具が天体望遠鏡の架台側にあって(これが「アリミゾ」)、この「アリガタ/アリミゾ」機構によって鏡筒と架台が接続されます。「アリガタ/アリミゾ」はいくつかの大きさの規格がありますが、SV503は「ビクセン(互換)規格」と呼ばれるもので、小型天体望遠鏡においては実質標準(デファクト)となっています。
鏡筒バンドは完全に取り外すことができますが、通常の使用の範囲では、鏡筒バンドは鏡筒に付けたままとなるでしょう(*)。
(*)バンドの止めネジは出っ張りを少なくして収納性を上げる意味ではもう少し小さくてもいい気もしますが、しっかり固定できるという意味ではこのくらいの大きさがあれば安心でしょう。
鏡筒の重量はバンドも含めて約2850g。全長がとても短い(46cm)割にはずっしりしているという印象です。重すぎず軽すぎず、2インチスリーブ対応の接眼部を備えた口径80mmクラスとしては妥当なところでしょう(*)。
(*)参考までに、タカハシのFC-76DSが3.0kg(ファインダー込)で全長567mm、ビクセンのED80Sfが4.8kg(ファインダー、フリップミラー込)で570mmです。
本格的な接眼部
SV503の接眼部は本格的です。まず、ピントの微調整がやりやすい「デュアルスピードフォーカサー(減速比1:10)」が付属しています(*)。眼視・写真どちらの用途にもこれは便利。
(*)一昔前は「高級オプション」の類だったのですが、近年量産化でコストが下がったせいなのか、入門機クラスでも標準付属とする製品が多くなりました。
接眼部の繰り出し量も大きく、約90mmもあります。長いストロークは鏡筒長の短縮に貢献する(*)とともに、装着できる機材の自由度が上がります。光路長の長い正立ミラーを使用しても問題なくピントが出ました。
(*)接眼部の繰り出し量が多いとたわみの原因になることもあるのですが、加工精度も良く通常の使用で問題になることはないと感じました。
接眼部の繰り出しはラック&ピニオン方式。ピント位置を固定するクランプも付いていて、重い機材を装着した際の緩みやズレを防止できます。
さらに、接眼部全体を回転させる機構も付いています。この機構を使えばファインダーを見やすい場所に調整できますし、天体写真撮影の際の縦横切替にも便利でしょう。
上質な内面反射防止対策
天体望遠鏡を含めて、全ての光学製品で重要な性能が「漆黒が漆黒に見える」こと。具体的には鏡筒内部の乱反射の防止処理です。これが不十分だと、光が四方八方に散乱してしまい、コントラストを低下させてしまいます。
主な対策は「遮光リング」「つや消し塗装」「より反射率の低い表面の形状(ギザギザ)」の3つですが、これについても手抜き(*)はありませんでした。
(*)外見上わかりにくいスペックなので、低価格品では価格なりの「手抜き」がある場合があります。逆に、このクオリティを見ればどの程度「まともな製品」であるかが推測できます。
上の画像は対物レンズ側から鏡筒内部を見たところですが、鏡筒の中には「遮光リング」が3枚入っています。この「遮光リング」は特に屈折望遠鏡では不可欠なもので、鏡筒内での乱反射を遮蔽しコントラスト向上に寄与しています。
接眼部側から対物レンズ側を見たところ。遮光リングによって鏡筒内面の反射が遮られているのがわかります(*)。接眼部の繰り出し(ドロチューブ)が長いことは内面反射的には若干不利なのですが、筒内には細かなスジが刻まれ、さらにつや消し塗装がされていて、高級機とみても満足のいくクオリティでしょう。
(*)反射抑制が不十分だと、このように見た際に明るく反射する部分が見えることがあります。
以上、筆者が使用した実機の外見から見る限り、SV503天体望遠鏡は高級機と比較しても遜色のないクオリティであると感じました(*)。
SV503天体望遠鏡のシステム構成例
SV503天体望遠鏡は、「素」の鏡筒のみの製品なので、それ単体だけでは何もできません^^;; 実際に使うためには「架台と三脚」「接眼レンズ(アイピース)」「ファインダー」などが追加で必要になります。
本項ではいくつかのシステム構成例をご紹介していきましょう。
架台を選ぶ
ポルタII経緯台
まずは鉄板の売れ筋、コスパ最高のビクセン社の「ポルタII経緯台」です。税込2.13万円。若干嵩張るのがネックですが、コスパと信頼性と実績でイチオシといえます。強度的にも操作性にも、何の不満もありません。
唯一の欠点はやや重めで嵩張ること。長いフォークアームと三脚は使いやすい反面、若干嵩張ってしまいます。正直、「オトナの天文趣味」用としては、三脚を同社の「AP三脚(上画像の中・右)」に換装したバージョンがイチオシなのですが・・・ポルタIIを買ってAP三脚を買い増しすると、ポルタII用の三脚が余るのが難点ですね^^;;;
Sky-Watcher AZ-GTi
最近大流行の「自動導入」機能付のマウントがSky-WactherのAZ-GTi。WiFi接続でスマホから操作が可能。天体を一覧から選んで対象に自動的に向けることができます。短時間の露出であれば星雲や星団などのディープスカイ撮影も可能。汎用性と拡張性まで考慮するとコスパ最高の架台と言えるでしょう。本体のみで税込3万円強、三脚を含めると4万円強です。
スコープテックZERO
ポルタII経緯台よりもさらに堅牢でありながら、コンパクトで携行性の高い架台がスコープテックの「ZERO(ゼロ)」です。税・送込で37,800円(三脚は別売)。「フルマニュアル」操作で星空を眺めるには、最も信頼性が高く使いやすい架台だといえるでしょう。
ポータブル赤道儀・小型赤道儀
鏡筒バンド込みで2.8kg。SV503天体望遠鏡は小型の赤道儀に十分搭載可能な軽さです。上の画像はユニテック社の「SWAT-310」赤道儀への搭載例。この構成の場合は各種パーツを含めると赤道儀一式で20万円を越えてしまいますが、本格的に天体写真もやってみたいなら、思い切って「赤道儀」を購入するのも一手です。
小型の赤道儀は安い製品では10万円を切る製品もあります。下のリンクはコスパ最強の自動導入対応の赤道儀、Sky-WatcherのEQ35MPro。かなり重量は大きくなるのですが、これ一台で眼視から本格的な撮影までカバーできます。
モバイルポルタ
ポルタIIの小型バージョン「モバイルポルタ」にも搭載してみましたが、若干アームの強度が不足しているのか、高倍率ではかなりブレが気になりました。鏡筒重量約2.8kgは荷が重いようです。低倍率用に用途を限定すればある選択ですが「オールラウンド」な「オトナの天文趣味」用には若干不向きと感じました。逆に、SV503天体望遠鏡には「モバイルポルタ」よりも堅牢な架台が必要だといえるでしょう。
接眼レンズ(アイピース)を選ぶ
「オトナの天文趣味」この3本
天体望遠鏡は、使用する接眼レンズ(アイピース)を取り替えることで、様々な倍率で天体を観察することができます。「吊し」で販売されている天体望遠鏡セットでは、あらかじめ2〜3個の接眼レンズが付属しているので最初は何も考えずに済むのですが、SV503の場合は自分で選んで揃える必要があります。
アイピース選びは、マニアックに語り出すとキリのない世界です。本記事ではまず「これを選べば(おサイフに対しても)間違いない」というチョイスをご紹介します。
SV503と同じSVBONY社が販売している3点セット品、激安の4,750円です。SV503と組み合わせると、倍率は24倍・56倍・140倍。低倍率で天の川を見る場合にも、中倍率でお月さま全体を眺めるのにも、高倍率で惑星を見るのにも、まず無難なチョイスといえるでしょう(*)。
(*)実は筆者がはじめて「SVBONY社」の存在を知ったのはこの製品がきっかけでした。上に貼った動画がその開封動画です。当時は3560円でしたが現在は4,750円に改訂されています。
正直いえば、この3点セットは「お値段以上にはるかによく見える」製品ではありますが「SV503の本来の性能とのマッチングとしてはもう少し良い製品を選びたい」というあたりの位置づけになります。しかし、あれこれ蘊蓄を聞かされたり自分で調べたりするよりは、さっさとこの3本を買って、自分なりに使い込んでみる方がはるかに有益でしょう。
この3本が物足りなくなってより高級な製品を買い足す結果になったとしても、この3本は「お手軽」「軽量」「手荒に使える^^;;」という意味で、引き続き活躍することは保証します。
接眼レンズと倍率
接眼レンズ(アイピース)選びで最低限知っておくべきことを一つだけお話しします。
倍率=対物レンズの焦点距離÷接眼レンズの焦点距離
これだけです。SV503の焦点距離は560mm。焦点距離10mmの接眼レンズを使用すれば56倍。主な焦点距離の接眼レンズと、それを使用したときの倍率を表にしておきました(*)。
(*)信じられないことに、市販されている接眼レンズの焦点距離はほとんど1mm刻みで存在します。もう少しわかりやすくなってほしいものですが・・・
プラスワン!の接眼レンズ(アイピース)選び
予算に余裕があって、もっと「いい接眼レンズ」で「もっと気持ちよい」星空観望をしてみたい!という方のために、3つだけアドバイスをしておきます。
一つ目に、「密林探検」もよいのですが^^;;、実物を自分の眼で見てみることです。天文ショップに行けば主な製品を実際に確かめることができますし、専門知識をもったスタッフにアドバイスを受けることもできます。大きさ、値段、見え味など、体験できる範囲で体験しておくことで、自分に合ったものがだんだん定まってきます。
二つ目に、「天リフ」の連載記事「アイピース探訪」を読むことです^^ 手前味噌ですが、どの記事も実際に使った上での渾身の製品と体験の紹介になっています。
三つ目に、今持っている機材を使い倒すことです。手持ちの接眼レンズをとっかえひっかえして、いろんな天体を見てみましょう。倍率を変えるだけで、天体は全く違う姿を見せてくれます。この体験こそが天文趣味の醍醐味であり、血肉となる経験であり、次の「もっといい接眼レンズ」を手にした際の感動を増幅してくれるものになることでしょう^^
天頂ミラー・プリズム
もうひとつ、天体望遠鏡の必須アイテムをご紹介します。
天体が最も条件良く見えるのは、その天体が「頭の真上(天頂)」にあるときです。しかし、天頂にある天体を望遠鏡で「まっすぐ見る(直視)」と、上の画像のようにとても苦しい姿勢になってしまいます。
このため、光をミラーやプリズムで「90度折り曲げて(90°視)」して、楽な姿勢で見られるようにするアクセサリが「天頂ミラー(プリズム)」です。SV503天体望遠鏡を含めて、屈折式の天体望遠鏡では90°視のアクセサリは必須。絶対必要になります。
前項でご紹介した接眼レンズ3点セットと組み合わせるなら、同じSVBONY社の天頂ミラーもお値頃価格でオススメです。筆者は実際には使用したことはないのですが、アマゾンのレビューもおおむね信頼できるものだと思われます。
実は「90°視」のアクセサリにも、語り尽くせぬ蘊蓄があります。上の記事はマニア向けですが、興味のある方はぜひごらんください!
ファインダーを選ぶ
SV503天体望遠鏡には、ファインダーも標準では付属しません。焦点距離560mmの短焦点機なのでファインダーなしの運用も不可能ではありませんが、やはりしっかりとしたファインダーを使用したいところです。
今ならファインダーと台座が無料サービス
2020年7月27日現在、HP上で注文するとファインダー(同社SV165)とファインダー台座が無料で付いてきます。期間限定のセールのようなのでいずれ終了するとは思いますが、5,500円分のアクセサリが無料というのはお得です。
SV165ガイドスコープ
SV165ガイドスコープは、口径30mm/焦点距離120mmの1.25インチスリーブのミニスコープです。接眼レンズは付属しないことに注意が必要です。焦点距離23mmの接眼レンズを装着すれば倍率5.2倍。十字線入りの接眼レンズは同社製なら7780円です。台座はビクセン互換です。
1.25インチスリーブ対応なので、写真撮影用のガイド鏡としても使用できます。これはメリットが大きいですね。写真撮影専用の「口径30mm/焦点距離120mm」のガイドスコープは各社から販売されていますが、光軸合わせ機構が存在する(*)SV165なら眼視用にも写真用にも使えることになります。お値段も割安なのでこれは「自分も欲しかった^^」感じです。
(*)光軸調整機構がガイドエラーを引き起こす可能性もないとはいえませんが・・このあたりは自己責任でお願いします。
ファインダーの取付方法
ファインダー台座は図の位置にある接眼部の20mm 間隔のM4ネジを使用して取り付けます。取付部は反対側にもあるので、利き目に合わせて左右を選ぶとよいでしょう。
筆者の場合は手持ちのありあわせのパーツを使用して鏡筒バンドにアルカクランプをM6ネジで装着し、ZWO社のガイドスコープを装着しました。光軸調整機構は存在しないのですが、とりあえず水平方向を合わせれば実用になりました。あまりオススメできる方法ではありませんが、一つの参考になればと思います。
そのほか
残念ながら、SV503に収納ケースは付属しません(*)。購入後しばらくの間は、梱包用の段ボール箱と白い間仕切りを捨てずに持っておくことを推奨します。
(*)実は国産の天体望遠鏡メーカーの場合、ケースが付属する製品はほとんどありません。低価格化に貢献しているならいい面もあるかもしれませんが、初めて使う人のことを考えるなら付属させてほしいものです。
ケースは収納してみないと実際のところは断言できないのですが、内寸上はスターベース東京の屈折用バッグSSが適合します。これはあくまで一例ですが、カメラ用超望遠レンズ用のバッグや三脚用の収納ケースにも適合するものがあるかもしれません。
どんな人に向いているか
「オトナの天文趣味」入門・はじめての天体望遠鏡に
なんといっても、SV503天体望遠鏡はEDレンズ採用の製品としては最安クラス。それでいてクオリティは高級機と遜色がありません。「本格的に天文趣味を始めたい」「でも予算には限りが・・」というすべての日本国民にオススメできる天体望遠鏡です。
さらにSV503天体望遠鏡は2インチスリーブ対応の本格的な接眼部を持っています。より広視野のアイピースを使用して快適な星空観望も可能ですし、本格的な天体撮影も可能。「それっきり」では終わらないポテンシャルを秘めています。
コンパクトなサブ鏡筒に
すでに天体望遠鏡をお持ちのマニアにも。主砲でガチ撮影しながらサブ機のSV503でお手軽観望はいかがでしょうか。ポータブル赤道儀でも運用が可能な重量なので、既存の架台をそのまま使った本格的なディープスカイの撮影にも。架台や接眼レンズをすでにお持ちの方にとっては「プラス6万円で手に入るED鏡筒」はさらに魅力的ですね!
SVBONY社について
SVBONY日本語版サイト
https://www.svbony.jp
SVBONY社は中国・鄭州と香港に拠点を持つ光学機器メーカーです。小型の天体望遠鏡・双眼鏡・フィールドスコープ・望遠鏡用アイピース(接眼レンズ)・フィルターなどを主にネット主体で販売されています(*)。
(*)最近では一部の量販店や天文ショップでも取扱が開始されているようです。
天リフでは2018年以来のお付き合いがあり、これまで「SV21双眼鏡」のレビュー記事などを掲載してきました。そんなSVBONY社の初めての「EDレンズ採用の本格的天体望遠鏡」がSV503です。
まとめ
いかがでしたか?「オトナの天文趣味」のベストチョイス、口径80mmのED採用天体望遠鏡がファインダー付で税込6万円切り。いろいろ必要なものを買い足してもエントリ10万円から。
同口径の入門用の「吊し」の製品なら込み込みで4万円強ですが「オトナの天文趣味」を永く満喫するなら、「よりよく見える」「よりコンパクト」そして「将来の拡張性」も備えた、SV503を核とした「じぶんでシステムを組み上げる」天体望遠鏡は、ベストのチョイスになるかもしれません!
次回の後編では、SV503を実際に使った天体観察・撮影のレポートを予定しています。こちらもお楽しみに!
- この記事はSVBONY社に機材貸与を受け、天文リフレクションズ編集部が独自の費用と判断で執筆したものです。文責は全て天文リフレクションズ編集部にあります。
- 本記事は極力客観的に実視をもとに作成していますが、本記事によって発生した読者様の事象についてはその一切について責任を負いかねますことをご了承下さい。
- 架台・接眼レンズなどの組み合わせについてのお問い合わせは、SVBONY社または機材をご購入ないしはご購入予定の販売店様にお願いいたします。
- 記事中の製品名・社名等は各社の商標または登録商標です。
- 機材の価格・仕様は執筆時(2020年7月)のものです。