「米子浜の夏銀河ver.3」ツイン星景撮影システムで
伊藤正樹さんの作品。天リフギャラリーFB分室へのご投稿です。南西の空に直立する天の川です。迫力ある礒と36分露出で平均化された柔らかな海面のコンビネーションが、夏の海辺の星空の雰囲気を表現しています。
この作品は、2台のカメラで追尾フレームと固定フレームをそれぞれ別に撮影されたものだそうです。ディープスカイではツインやトリプルのシステムは珍しくなくなってきましたが、星景写真でこの方法を採られているのは筆者は初めて拝見しました。カメラはペンタックスのK-3(*)。「アストロトレーサー」を搭載し、赤道儀なしで星を追尾することができるため、このような使い方にはまさにうってつけといえるでしょう。
(*) 追尾フレームは天体用改造機(HKIR)、固定フレームはノーマル機というコンビネーションもまた渋い。
撮影地は紀伊半島の南東部。南側に人工光がほとんどない空の暗い条件と推察しますが、そんな場所では星はしっかり写っても、地上風景のS/Nを上げるのは容易ではありません。総露出時間36分とたっぷりと露光をかけることで、低照度の星明かりの下でも礒に絡みついた緑までがとらえられています。
超広角レンズでは、2台のカメラの構図がほんの少しずれただけでもコンポジットがうまくいかない場合がありますが、地上風景と星空を重ね合わせる場合はさほど問題にならないのでしょう。1台のカメラなら80分ほどかかってしまう撮影がツイン化で40分に短縮できれば、薄明開始の時間に追われる夏の銀河の撮影でも、いくつものカットを撮り歩くことができるでしょう。
いろいろ考えるほどにこの手法は合理的であると感じました。カメラの性能がもう16倍!ほど上がれば「カメラ1台・固定撮影1枚撮り」でも可能になるのでしょうか、低照度の限界領域で撮らなくてはならない星景写真では、このような工夫が大いに生きてきます。そういった工夫そのものも楽しみの一つだといえるでしょう。
https://reflexions.jp/tenref/gallery/2020/07/07/6461/https://reflexions.jp/tenref/gallery/wp-content/uploads/sites/3/2020/07/a84063523d63051a08e5f72c10621a0c-1024x683.jpghttps://reflexions.jp/tenref/gallery/wp-content/uploads/sites/3/2020/07/a84063523d63051a08e5f72c10621a0c-150x150.jpg自然夏の銀河伊藤正樹さんの作品。天リフギャラリーFB分室へのご投稿です。南西の空に直立する天の川です。迫力ある礒と36分露出で平均化された柔らかな海面のコンビネーションが、夏の海辺の星空の雰囲気を表現しています。 この作品は、2台のカメラで追尾フレームと固定フレームをそれぞれ別に撮影されたものだそうです。ディープスカイではツインやトリプルのシステムは珍しくなくなってきましたが、星景写真でこの方法を採られているのは筆者は初めて拝見しました。カメラはペンタックスのK-3(*)。「アストロトレーサー」を搭載し、赤道儀なしで星を追尾することができるため、このような使い方にはまさにうってつけといえるでしょう。 (*) 追尾フレームは天体用改造機(HKIR)、固定フレームはノーマル機というコンビネーションもまた渋い。 撮影地は紀伊半島の南東部。南側に人工光がほとんどない空の暗い条件と推察しますが、そんな場所では星はしっかり写っても、地上風景のS/Nを上げるのは容易ではありません。総露出時間36分とたっぷりと露光をかけることで、低照度の星明かりの下でも礒に絡みついた緑までがとらえられています。 超広角レンズでは、2台のカメラの構図がほんの少しずれただけでもコンポジットがうまくいかない場合がありますが、地上風景と星空を重ね合わせる場合はさほど問題にならないのでしょう。1台のカメラなら80分ほどかかってしまう撮影がツイン化で40分に短縮できれば、薄明開始の時間に追われる夏の銀河の撮影でも、いくつものカットを撮り歩くことができるでしょう。 いろいろ考えるほどにこの手法は合理的であると感じました。カメラの性能がもう16倍!ほど上がれば「カメラ1台・固定撮影1枚撮り」でも可能になるのでしょうか、低照度の限界領域で撮らなくてはならない星景写真では、このような工夫が大いに生きてきます。そういった工夫そのものも楽しみの一つだといえるでしょう。編集部山口 千宗kojiro7inukai@gmail.comAdministrator天文リフレクションズ編集長です。天リフギャラリー
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