おおぐま座M82
編集部ピックアップ、今日の一枚。
撮影:福永靖様
おおぐま座のスターバースト銀河M82です。27時間!もの露出時間の労作。ディテールの描写は驚くほどで、「地上からの撮影では最高レベル」ではないでしょうか。
撮影に使用された鏡筒はセレストロン社のEdge1400。焦点距離約4000mmの長焦点。1コマあたりの露出時間は20分〜30分。オフアキシスガイド(*)で星を点像として捉えられるまで、さまざまな試行錯誤と改良を重ねられたそうです。
(*)ガイドスコープを別に装着するのではなく、撮影システムと同じ光学系を使用し視野のすぐ外側の星像をガイドに使用する方法。一般に、機材のたわみなどが問題になる長焦点の撮影でよく使用されています。
そのノウハウを2つだけご紹介します。
ケーブルの取り回し
ガイドカメラ、撮影カメラ、フィルターホイールなど冷却CCDの撮影システムでは多くのケーブルがぶら下がることになります。特に寒冷時にはこれらのケーブルが堅くバネのようになり、温度変化による硬さの変化、姿勢変化による「ハネるような動き」などがガイドエラーの原因になるそうです。この問題はケーブルを耐寒性のあるものに換装し、さらにカメラ周りのケーブルを「赤道儀の中を通す」ことで解決されたそうです。
バランスウェイト
当初バランスウェイトを極軸から遠くする(ウェイト軸の先の方に置く)形で運用されていたそうですが、その結果システムの慣性モーメントが大きくなりオートガイドの補正信号に対する応答が悪くなっていたそうです。バランスウェイトを極力極軸側に寄せ、ウェイトの総重量を増やすことで改善したそうです。
機材の性能を最大限に発揮するまでの地道な努力、同じ対象をひたすら追い続ける根気と粘り。様々な要素が結集し素晴らしい作品を得られたことに敬意を表します。
長いですが撮影データを併記しておきます。
撮影地:東京の練馬、霧降高原、粕尾峠、平沢ダム、しらびそ高原
使用機材:CelestronEdgeHD1400、AP1100GTO-EL、FLI ML16070、AP160EDF、APMach1、FLI MLx834
画像:
L 1bin 20min x 25 = 500mins
Ha3nm 1bin 30min x 15 = 450 mins
Ha3nm 2bin 20mins x 8 = 160 mins
R 2bin 20mins x 9 = 180mins
G 2bin 20mins x 10 = 200mins
B 2bin 20mins x 7 =140mins
——————————————-
合計 1630mins = 27hours 10mins
画像処理ソフト: PixInsight、PS CC、DxO Optics Pro11
https://reflexions.jp/tenref/gallery/2018/05/13/4983/https://reflexions.jp/tenref/gallery/wp-content/uploads/sites/3/2018/05/0513fukunaga-1024x683.jpghttps://reflexions.jp/tenref/gallery/wp-content/uploads/sites/3/2018/05/0513fukunaga-150x150.jpg深宇宙銀河M82編集部ピックアップ、今日の一枚。 撮影:福永靖様 おおぐま座のスターバースト銀河M82です。27時間!もの露出時間の労作。ディテールの描写は驚くほどで、「地上からの撮影では最高レベル」ではないでしょうか。 撮影に使用された鏡筒はセレストロン社のEdge1400。焦点距離約4000mmの長焦点。1コマあたりの露出時間は20分〜30分。オフアキシスガイド(*)で星を点像として捉えられるまで、さまざまな試行錯誤と改良を重ねられたそうです。 (*)ガイドスコープを別に装着するのではなく、撮影システムと同じ光学系を使用し視野のすぐ外側の星像をガイドに使用する方法。一般に、機材のたわみなどが問題になる長焦点の撮影でよく使用されています。 そのノウハウを2つだけご紹介します。 ケーブルの取り回し ガイドカメラ、撮影カメラ、フィルターホイールなど冷却CCDの撮影システムでは多くのケーブルがぶら下がることになります。特に寒冷時にはこれらのケーブルが堅くバネのようになり、温度変化による硬さの変化、姿勢変化による「ハネるような動き」などがガイドエラーの原因になるそうです。この問題はケーブルを耐寒性のあるものに換装し、さらにカメラ周りのケーブルを「赤道儀の中を通す」ことで解決されたそうです。 バランスウェイト 当初バランスウェイトを極軸から遠くする(ウェイト軸の先の方に置く)形で運用されていたそうですが、その結果システムの慣性モーメントが大きくなりオートガイドの補正信号に対する応答が悪くなっていたそうです。バランスウェイトを極力極軸側に寄せ、ウェイトの総重量を増やすことで改善したそうです。 機材の性能を最大限に発揮するまでの地道な努力、同じ対象をひたすら追い続ける根気と粘り。様々な要素が結集し素晴らしい作品を得られたことに敬意を表します。 長いですが撮影データを併記しておきます。 撮影地:東京の練馬、霧降高原、粕尾峠、平沢ダム、しらびそ高原 使用機材:CelestronEdgeHD1400、AP1100GTO-EL、FLI ML16070、AP160EDF、APMach1、FLI MLx834 画像: L 1bin 20min x 25 = 500mins Ha3nm 1bin 30min x 15 = 450 mins Ha3nm 2bin 20mins x 8 = 160 mins R 2bin 20mins x 9 = 180mins G 2bin 20mins x 10 = 200mins B 2bin 20mins x 7 =140mins ------------------------------------------- 合計 1630mins = 27hours 10mins 画像処理ソフト: PixInsight、PS CC、DxO Optics Pro11 ...編集部山口 千宗kojiro7inukai@gmail.comAdministrator天文リフレクションズ編集長です。天リフギャラリー
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