小石原(4) 全天パノラマ(追尾版)に着手

最近モザイク合成(パノラマ合成)にはまっています。
広角で360度パノラマに望遠での高精細の星野。

さらに、広角レンズによる「全天追尾版360度パノラマ」を始めました。
24mmで全天を30度刻みに30分〜1時間程度の追尾画像を撮影し、最終的には「地上風景のない」360度パノラマ画像を仕上げようという目論見です。

30度刻みの場合、赤緯0度、±30度、±60度で5枚、赤経0時から2時刻みで12枚の、計60枚に分割して撮影します。
総露出時間は30時間から60時間程度。南-60度を除けば48枚、うまくいけば快晴3晩で完成かなと思っていたのですが・・・


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EOS6D(SEO-SP4) SIGMA24mmF1.4Art F2.8
1min*20〜40、4モザイク
スカイメモRSノータッチガイド
2017.1.25,1.27 福岡県東峰村小石原にて

赤経06時/赤緯0度、30度、 赤経08時/赤緯0度、30度の4コマを合成してみました。全天ではなくてただの広角星野ですが、これくらいの星像クオリティで、全天球360度をパノラマで見たいとは思いませんか?

 

今回は2晩で7コマ撮影しました。
スタック直後のレベル調整だけの画像です。

撮ってみていろいろわかったことがありました。
予想はしていたのですが、かぶり補正が大変です。
広角24mmだと、たとえ天頂付近であっても背景は平坦になってくれません。

 


左:補正前
中:手動かぶり補正後
右:さらにGradientXTerminatorで補正後

左が補正前。これをグラデーションマスクで地道に補正します。
自分の技量では頑張っても中の画像程度までしか補正できません・・特に色むらと、最周辺部が難しい・・

そこで、ある程度補正したら、さらにPSのプラグインGradientXTerminator(GXT)で補正します。
補正後の画像が右。お、かなりいい線まできましたね。

 

GXTの使い方は簡単。
補正したい範囲を指定して(補正されたくない範囲を除外して)ダイアログでパラメータを3つ指定するだけ。


左:Detail=Fine
右:Detail=Coarse

今回、Detailの指定を「Fine」にしましたが、これは「Coarse」にするべきでした。

Fine/Midium/Couaseの指定は、かぶり補正する際の背景のグリッドの切り方の違いになるようです。Fineの方が細かく切られるため、より局所的なムラがとりのぞかれます。
このため、天の川のような大きく広がった輝度差が補正されてしまい、薄くなってしまいました。

 

1連のかぶり補正の操作は、アクションを登録して自動化しました。
少ない操作ではありますが、枚数が増えてくるとこういう地道な効率化も重要になってきますね。

 

GXTで補正後の画像。
まあまあいい感じに揃いましたね。
これならICEがちゃんと背景を揃えてくれるかな??

 

ICEでモザイク合成した画像を強烈に強調したもの。
つなぎ目が残りますね・・・
実はこの左の10時のコマはもっとひどくて、それが理由でトリミングしています- -;;

やはり、もう一段階強調してからICEで合成した方が良いのかも知れません。
このプロセスを60枚やるのか・・・

 

ICEの位置合わせも完璧ではありません。
ICEは何も考えず合成できるのがいいところですが、逆に自動でうまくあわせられない場合は、全て手作業でやらなくてはなりません。

ICEはPSのレイヤー形式でも出力できるのですが(上の画像)、この場合つなぎ目の濃淡・位置合わせともに細かくは行ってくれないようで、ここから手動で合わせる必要があります。

位置合わせの問題は、さすがにこれは大変すぎるので、PTGuiを導入するしかないかなと考えています。

 

全天撮影では雲の影響も問題。
撮影中にこのように雲が通ることは普通にあるので捨てればいい話なのですが、タイマーで同じ枚数だけ機械的に撮影すると、雲の通過した領域は他の領域よりもクオリティが落ち、全体の均一性が下がってしまいます。

当初は1コマ1分30コマで、ひとつの赤経座標当たりちょうど2時間と考えていたのですが、倍くらいにしたほうが良さそうです。

さらに、撮影残が歯抜けになると次の撮影の効率も悪くなる・・
理想は、地平線付近まで空の暗い場所で雲のない日に一気に全部撮りきることなのですが。

ちなみに小石原では、林にけられてしまうため+60度と-30度の撮影はつらそうです。これも大きいなあ・・いったい何晩かかることやら^^;;

しかし!
なんとかして今年中にコンプリート(-60度除く^^;)したいと思っています。
全天球星パノラマ、お楽しみに^^

小石原(3) バーナードループカラー化

バーナードループのHαモザイク画像ですが、以前撮影した中望遠の画像と重ねてカラー化してみました。


カラー画像:
EOS6D(SEO-SP4) SIGMA85mmF1.4Art F2.8 4min*8 2モザイク ISO1600 JILVA-170ノータッチガイド
モノクロ画像:
α7S(フィルターレス) EF300mmF2.8LIS F2.8
baader Hα7nm
30sec*40〜60 ISO12800 9フレームモザイク
15sec*30 ISO400 (M42のみ)

焦点距離もまるで違うしカラーバランスも合うはずがないと思い込んでいて考えてもいなかったのですが、SNSで「やるしかないでしょ」と煽られて?、試しにやってみたら以外と簡単^^

左が85mmのオリジナルのカラー画像。右がモノクロHα画像をRチャンネルに比較明して合成した画像です。

星の大きさの違いは、Rチャンネルの方がずっと小さいので、比較明で重ねれば隠れてしまうので全く問題になりませんでした。
カラーバランスも、元々漆黒部がほとんどない領域なので、同じく問題になりませんでした。

一番面倒だったのが位置合わせ。
単に重ねただけでは、星の位置が全く合いません。

今回「パペットワープ」の機能を初めて使用。

「パペットワープ」では、画像全体をこのようなメッシュ領域に分割し、「ピン」を打って上下のレイヤーを固定し、マウスでつかんで片側のレイヤーを変形します。

歪曲収差の違いによるずれは大域的なので割と少ない操作で一致させられますが、モザイク合成の際にICEが変形している部分はなかなか大変。
根本的に合わないところも残るのですが、ベストエフォートでごまかします^^;;

でも、モノクロ画像の方がウネウネのディテールのインパクトがずっと大きいですねえ。
人間の眼はR成分に対する空間解像度が弱いのでしょうか。

という話をしていたら、W伯爵からアドバイスが。

なるほど。
モノクロだったら感じることのできる濃淡も、単色にすると人間の眼はついてこないんですね。

単色の濃度差を、色の差に置き換えるとよいと。

 

試しにやってみました。
RチャンネルのハイライトをGにブレンド、シャドーをBにブレンドしました。

ループの高輝度部のディテールがはっきりしてきましたね。
ハイパス画像をGに入れて見るとか、これは遊べそうです^^

さらにもう一つ。

Labモードにして、L画像にHαを比較明ブレンド。
カラー画像のHαの写りが弱い関係で、Hαの暗い部分がより白くなり、全体的にピンクっぽくなりました。

このHαドーピング作戦、今後もトライしてみようと思っています。RをHαで別撮りするなら、カラー画像は非改造機でも構わないことになるので、これまで星景専用だった5D3も使えそうです^^

さて、次の晴れには何を撮るか、考えるのが楽しみです。

小石原(2) バーナードループ9枚モザイク

くらげを撮った翌々日、飛び石で小石原に行ってきました。

このところ週間予報を覆す好天が続いていて、昨夜も晴れ。
体力と気合があれば4連チャンできたことになるのですが^^;;

何はともあれ、まずは完成画像。

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α7S(フィルターレス) EF300mmF2.8LIS F2.8 baader Hα7nm
ISO12800 30sec*40〜60  9フレームモザイク
ISO400  15sec*30(M42のみ)
JILVA-170ノータッチガイド 2017.1.26 福岡県東峰村小石原にて

前々から撮ってみたいと思っていた、Hαモノクロ・モザイクによるオリオン座中心部。
HII領域の入り乱れた複雑な構造を描出することができました^^

一晩で撮りきりたかったのでフレーム当たりの露出時間は30秒×60枚=30分。
先日のくらげ星雲の30秒×430枚=215分と比べるとたったの1/7です。

 

先日撮影したくらげ星雲。
この二枚の画像、実は総露出時間は7倍の差があります。
上が30秒*60枚、下が30秒×430枚。

元画像を見るとノイズ感には大きな差があります。
でも、強めのノイズ処理をかけた最終画像ではこのくらいの差。遠目で見るとほとんど違いはわかりませんね・・この差を得るために7倍の時間をかける価値はどれほどあるのか・・

そこで!
1つのフレームの露出時間を減らして、その分面積を広げてモザイクにしよう。面積を広げれば自然と「遠目」で見ることになってアラも目立ちにくくなる!
これぞモザイク合成の原点^^

完成画像からの等倍切り出し。
よく見るとアラだらけ。
オリオンの中心部のフレームが雲の通過で40枚しか使えず、明らかに画質が劣っていて、モザイクのつなぎ目がバレバレです。

でも目を離して遠くから見ると・・・だんだんわからなくなってくるでしょ^^

よくネットで「(アラがばれるので)拡大禁止ですw」みたいな自虐ネタがありますが、「拡大されたくないのなら、最初から縮小してしまえ」という作戦がモザイク合成なのです^^

とはいえ、モザイク合成は手間がかかります。
上は今回使用した9フレームの素材画像。ここに至るまでのプロセスにかかる手間は単純作業とはいえ9倍。

 

モザイク合成にはICEを使用したのですがこれもなかなかの曲者。
左の画像はスタック直後の画像で貼り合わせたものですが、微妙に違和感が^^;
あっ。M78がなくなってる〜w

ICEはつなぎ合わせが失敗しても、しれっとこういう結果を出してくることがあるので要注意。

ICE様に境目がわかりやすくなるように、すこしレベル調整した画像を(この作業も9倍!)ICEでつなぎ合わせたのが右の画像。
でも惜しいことに・・・2枚、選に漏れました–;;;

 

仕方ないのでICEに無視された2枚は手で合成することに。
レイヤーを重ねて境目をぼかし、境目の明るさを合わせてなるべく自然に見えるように調整します。

ここから先は普通の画像処理なのですが、面倒なのがセンサーのゴミ消し。
上の画像に丸い影がありますが、これがモザイクだと9個^^;;
フラットを入れてないのでゴミ消しは地道にレタッチあるのみ^^;;

9枚モザイクだと3倍遠目になるので、かなり攻めた強調が可能になります。
左が強調前。いったんここで強めのノイズ除去をかけたのが真ん中。これをレベル調整・ローカル強調などなどをかけたのが右の最終画像。ウネウネがくっきり。

 

 

M42の左側の暗黒部の拡大。
ディザリングも省略したので元画像は縞ノイズが目立ちます(左)。
ノイズ除去していったん消えたかのように見えても(中)、強調するとまた浮いてきます(右)。

でも・・遠目なら目立たないでしょ^^

 

同じく、馬の首付近の拡大。
強いノイズ除去の副作用で、ディテールが顕著に損なわれてのっぺりしてしまいました。

このへんはもっと上手く処理する方法があったはず・・
でも・・・遠目なら・・・目立たない・・・でしょ^^;;;;;

 

モザイクとは関係ないのですが、Hαのナロー撮影では、M42の中心部は完全に白飛びしてしまいます(左)。
そこで、M42だけは短秒露光のコマを撮影しHDR合成しました。
中左、中右の画像がそれです。
完成画像は右の通り。
(完成画像では馬の首にも同じような処理を施しています。)

 

何はともあれ、一応完成して良かった^^
でも60枚はさすがに少なすぎた(しかも肝心の中心部は40枚・・)ようです。インパクトは十分でも、クオリティの低さは遠目でも目についてしまいます。

とはいえ、撮り増しするのも9倍・・・次やるとしたら中途半端にせず、FSQ+645RDで、4*4モザイク、コマ当たり60分かな^^
16時間コースです^^;;

 

今後の展開ですが、オリオンのように広がった複雑な構造を持った上に明るい領域は他にはないので、かなり腰をいれてやる必要がありそうです。ガム星雲、エンゼルフィッシュ、Sh-27あたりでしょうか。
さそり周辺はHαだけだと意外につまらなさそうだし。

何フレームのモザイクで撮るかにかかわらず、総露出時間は最低でも6時間、できれば12時間は欲しいところですね。

小石原(1) くらげ&モンキー星雲

一昨日、小石原に行ってきました。


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α7S(フィルターレス) EF300mmF2.8L IS 30sec*431 ISO12800
Baader Hα7nm
JILVA-170ノータッチガイド 2017.1.24 福岡県小石原

くらげ星雲(IC443)からモンキー(NGC2174)星雲。
薄明終了直後から延々6時間以上撮影を続けました。
431枚は自己新記録^^;

途中何度も雲が流れたため雲通過時のコマは目視で外したのですがこれがまた一苦労^^;;
スタック処理にも時間がかかるし、短時間露出の多数枚コンポジットはなかなか大変です。星喰い現象なしで2分くらいの長秒露出ができるように切望します・・・お願いしますソニーさん。

 

 

クラゲ星雲の1枚画像等倍切り出し。
ノイズだらけですね^^

 

431枚コンポジット画像の等倍切り出し。
ノイズはほとんどなくなり、星雲の複雑な構造が見えてきます。

最初、画像処理の副作用かと思いましたが、NASAの画像を見るとまさにこんな構造になっているようです。

しかしこれ・・美しいというより不気味ですね–;;

 

元画像を一部抜き取ってDSSの評価値を比較してみました。
「Score」が総合評価値、Starsは検出した星の数、FWHMは平均の星像サイズ、Sky Backgroundが背景の明るさです。

星が小さくて検出数が多いほど高評価になります。
これでみると、最初高評価だったのに時間と共に悪くなっています・・これはたぶん温度変化で星像が肥大したのが原因。
21時すぎには星像径はほぼ安定した模様・・

1時間半待って、そこでピント合わせして撮影すればもっといい結果だったはず・・
328はFSQほど温度にシビアではないですが、長時間放置するときは注意が必要ですね・・・

また、興味深いのはSky Backgroudの値。
撮影開始時点(薄明終了30分後)と、深夜12時の時点では2/3くらいに暗くなっています。
天文屋さん的には常識ではありますが、人々が寝静まる時間までの空、特に早い時間の空は明るいですね。

改造EOS Kiss x5到着、そしてMagic Lantern導入

ハヤタ・カメララボさんに注文していた天体改造EOS Kiss X5が届きました。

元箱入り付属品完備で32000円。
液晶モニターの隅に擦り傷がある以外は使用感の少ない美品でした。梱包も丁寧で、さすがオクの個人売買とは二味も違います^^

早速試し撮り。

1stショット、IMG_0001です^^
ピクセル等倍、ISO3200。

フルサイズの6Dよりもノイズが多いことは織り込み済みですが、Kissを使うはDN以来なのでノイズの少なさと高画質に隔世の感。

x5のボディは6Dよりもずっとコンパクトですが、OM-Dやα7Sと比べると大きく感じます。三脚取付部も広くて、重量級レンズを付けても安心感が。

バリアングルモニタはピント合わせの際に便利そう。

 

前置きが長くなりましたが、本題は「Magic Lantern」の導入。
6Dにも入れている、3rdベンダー製ファームウェアです。

本稿、以降はすべて自己責任でお願いします^^;

参考:
・Magic Lanternホームページ(英語)
・インストールマニュアル(日本語)

Magic LanternはEOSの純正ファームの機能を拡張するサードベンダ製ファームウェアです。
ビデオ撮影やインターバル撮影、ISO感度やモニターゲインのブースト など実にさまざまな機能が追加されています。

が、自分が使う目的はただ1点、長秒インターバル撮影。
Kissのリモコンは5D/6D系とコネクタ形状が異なり、手持ちのリモコンが付けられません。
アマゾンで2000円出せば買えるのですが、カメラの台数が多くなると持ち運びも接続も面倒だし、節約のためもあってMagic Lanternを使うことにしました。

 

 

Magic Lanternのインストールはとても簡単。
機種に合ったファームをダウンロードし、ファイル一式をSDカードに入れてカメラを起動し、純正と同じようにファームアップデートを実行するだけ。

ただし、インストール前のファームのバージョンが指定されていて、x5の場合は1.02でないとインストールできません。
幸いにも入手したx5のバージョンは1.02だったのでダウングレードせずに済みました^^

ただし、以降はMagic Lanternの起動ファイルの入ったSDカードとセットで使用する必要があります。(6Dの場合は別のSDカードでもMagic Lanternが起動しないだけで問題なく使えているのですが)

 

Magic Lanternを導入後。
ファームのバージョンが1.02-ml-Nightly….となっています。

 

Magic Lanternを入れたEOSは、普通に使っている限りは通常のEOSと同じです。
x5の場合は「ゴミ箱」ボタンがMagic Lanternのメニュー呼び出しになり、このようなメニューが出てきます。

これはDebugメニュー。
メモリ容量やシャッター累積カウント、センサー温度などが表示されています。

 

自分が使うのは取りあえずShootメニューの「Intervalometer」と「Bulb Timer」の二つだけ。

 

Intervalometerの設定画面。
1秒間隔で撮影、開始は半押し、開始時に3秒待ち、2枚撮ったら終了に設定しています。

 

 

Bulb Timerの設定。
2分露出、露出中の液晶モニタ表示はデフォルトママにしています。

 

デフォルト設定で露出中。1分23秒経過。
x5のバルブって背面に経過秒数出るんですね。
6Dでも出せるに違いない・・これまで残り時間がわかりにくくて不便していました^^;;

Magic Lanternについては以上で終了。

天体用のインターバル撮影で2000円のリモコンを使わずに済ます価値は充分にあります。
唯一の懸念は、外付けリモコンよりもセンサーが熱くならないかですが・・

マニュアルには「最悪カメラが壊れることがある」と警告がありますので、あくまでも自己責任で。
幸い、これまでEOS-M、6Dと入れましたが壊れることはありませんでしたが、ISO感度をブーストしたらボディが凄く熱くなって発熱警告マークが点灯したことはありました^^;

さてこれで実戦配備準備終了。
この新月期、晴れてくれるといいのですが。
ファーストライトは・・・バラ星雲が、M81/82あたりを撮る予定です。