ダーク減算の効果検証(2)・α7S/tiff版比較

ダーク検証が続きます。
今回はrawファイルを直接DSSに喰わせるのではなく、PSでのCamera rawフィルターを使用していったんtiffファイルに変換したものをDSSでスタックしてみました。素材は今回も小石原で85mmで撮影したsh2-310です。

今回も長くなってしまったので、結論を最初に書きます。
結論。
デジタルカメラでより美しいノイズの少ない天体写真を得るために重要なことの優先順位。

1.露出時間(≒ライトフレーム枚数)を多くする
2.ディザリング
3.(なし)
4.(なし)
5.ノイズ処理のテクニック
6.(なし)
7.(なし)
8.(なし)
9.(なし)
10.ダーク減算

ダークなんて撮ってるヒマがあったら、1枚でも多くライト画像を撮りましょう^^
とことんハイクオリティを追求するならダークはありですが、ディザリングの方が先です。

で、検証。


共通データ:α7S SIGMA85mmF1.4Art F2.0 30sec*135 ISO12800
Rチャンネルのみ切り出し 20コマ単位でディザリング

左の列がダークを引かず、rawファイルをtiff現像してDSSでスタックした画像。昨年来、自分がメインで行っている処理方法です。
上の列はσクリップあり、下の列はσクリップなしの単純加算平均。

左下の大きな赤丸が前回の記事でホットピクセル痕が出たところですが、σクリップを行わなくてもきれいに消えていることがわかります。
Camera rawフィルターは、ノイズ除去のパラメータを0にした状態であっても、明らかにホットピクセルと見なせるノイズは除去してくれます。一方でDSSはディベイヤーの処理だけしか行っていないのでしょう。
参考)Camera rawフィルターのホットピクセル除去能力

細かくチェックすると、小さな赤丸の領域のようなホットピクセル痕が出ていることがわかりますが、DSSでrawを直接処理したときのような顕著なものはなく、あらかたホットピクセルはCamera rawフィルターで除去されたことがわかります。

一方で右列ですが、こちらはフリーソフトのRStackerを使用して、rawファイルレベルでダーク減算とフラット処理を行い、dngファイルをcamera rawでtiff現像したものをDSSでスタックしました。
結果はこの方法が一番良好。小さなホットピクセル痕も残らず消えています。
ただ、raw->dng化->RStacker処理->tiff現像と、都合3回も中間ファイルをコマ数分生成することになり、処理には一番手間がかかります。

長々と書いてきましたが、結論から言って、Camera rawでTIFF化して処理する場合も、厳密に言えばダーク減算した方がよりよい結果が得られることがわかりました。

でも、その差は正直いってごくごくわずかです。Web品質では全く区別できないでしょう。A3プリントを虫眼鏡でチェックでもしない限り判別不能なレベルです。

撮影現場でダークファイルを取得するのはなかなか大変です。撤収して早く帰りたいのにダーク撮像が終わらないとか、夜半を過ぎて空が一段と暗くなったので露出時間を伸ばしたら、フラットを別に撮らないといけなくなるとか・・
ダークを撮るためにライトフレームの露出時間が短くなるなぞ本末転倒。ダークを撮るくらいなら、一枚でも多くライト画像を撮りましょう^^

 

今回わかったことを一つ。
フラットはrawレベルで処理したほうが合いやすい。
左はRstackerでraw(dng)ファイルでフラット処理したもの、右はPSでtiff現像したものにDSSでフラット処理したもの。
右のtiff版では、Rチャンネルはだいたいフラットが合っているのですが、GBチャンネルは過補正になっています。

RStackerやDSSでrawデータで処理する場合は、リニアな輝度情報をもった画像にフラット処理を行うためフラットとライトの輝度がずれていても正しく処理できますが、PSでtiff化するとガンマ補正がかかった画像にフラット処理を行うことになるので、フラットの山が大きくずれると正しくフラット処理できないのが原因と推測。

——-

以上、自分ではまとまったつもりですが、ちょっとわかりにくいでしょうね・・・こういうヤヤコシさが天体写真の敷居を変に高くしているのでしょう。
どこかの機会でわかりやすい比較表を書いてみたいと思います。

自分の今後の撮影では、これまでどおりダークなしで、Camera rawでtiff現像したものをDSSでスタックする方法でいこうと思います。Camera rawの青ハロ・赤ハロ除去の機能は有効で、しかもコンポジット前に行う方が良い結果が得られることもあり。
参考)シグマ85MMF1.4ART導入(2)試写編

ただし、フラットはリニア画像に適用するほうが良いことがわかったので、場合によってはRStackerを使用してフラット処理を行うかもしれません。

また、彗星のようにチャンスが1回きりの対象で少枚数しかライトフレームを撮れなかったときなどは、ダークを入れるのが良さそうです。

ケースバイケースとはいえ、ややこしいものです^^;;

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「ダーク減算の効果検証(2)・α7S/tiff版比較」への2件のフィードバック

  1. これは興味深い検証ですね。
    以前、ニコンのD3やD700の偽色現象には閉口していましたが、α7の「星喰い」現象も大変そうですね。
    とにかくデジカメは画像処理エンジンがブラックボックス化されてるので頭を悩まされます。

    1. まったくです^^;
      αで星喰いなしで5分とか10分露出かけてみたい・・

      キヤノンも低輝度状態ではかなりDIGICの副作用?が出ているような気がしています。露出を十分に多めにしてヒストグラムを右寄せにするほうがその悪影響が減って最終結果が良いような。
      これもきちんと検証したいと思っています。

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