EMS・SW-WiFiアダプタ・激安双眼鏡 at 小石原
小石原出勤。いろいろ持っていったのだが終始こんな天気で撮影は記念写真のみ。眼視の検証をいくつか。
MATSUMOTO-EMS
MS-UMを正立プリズムと比較。鏡筒はFOT85。
- プリズムとミラーの明るさの違いは正直よくわからなかった。気持ちミラーの方が明るい気がする、程度。スリーブ差し替えでなく、同じ鏡筒を2本並べて比較しないと無理だろう。
- イーソス17mmではミラーとプリズムで最周辺像に明確な差異があった。プリズムの場合像面湾曲のようにピント位置がずれる。明らかにミラーの方が良像。これは新しい発見。
- 中心像はNAV-12.5(10mm)でも差異は感じられなかった。
- 高倍率(ビクセンHR)の場合、中心像に明確に差異があることはベランダで検証済み。(プリズムだと軸上色収差が顕著)
MS-US, UM, ULの3点をと比較。鏡筒はFOT85。
- 異なる点は光路長とミラーサイズによる周辺のけられの違い。
- 一番ミラーの小さなUSの場合、SWAN40mmだと周辺がけられる(陰って視野が少し狭くなる)。イーソス17mmではほぼ問題なし。若干周辺が暗いかも?と感じる程度。気のせいかもしれない。NAV-12.5(10mm)では全く問題なし。
- 中サイズのUMの場合、SWAN40mmでもほぼ問題なし。ただし、アイポイントをずらしたときの視野像が真円になっていないことは感じる。イーソス17mmは無問題。
- 大サイズのULの場合、全てで問題なし。ただし光路長が長くなる。FOT85の場合、2cmほどの繰り出しで合焦。後日FSQ106EDでも確認予定。
結論。価格と光路長の問題をクリアできれば、プリズムのミラーに対する優位点は存在しない。S/M/Lのどれを選ぶかは悩ましい問題。光路長に余裕があって最高のものを選びたいならUL一択だが、実用的にはUSで十分な気がした。最低有効倍率ではけられてしまうが、実際のところ日本での観望で、導入用途以外で最低有効倍率を使うのはOIII装着くらいしかない。(個人的にはSWAN40mmはアライメントの最初の時くらいしか使わない)
自分の使い方ならUSか。USの筐体が一回り小型化できて価格も安くなれば最高なのだが。1.25インチ専用版が安価に提供されれば個人的には嬉しいが(そのときはBORG76用にもう1個買う)ユーザが「2インチが使えない」ことでどこまで敬遠するのかが読めない。正直いって短焦点の屈折では2インチアイピースの意義はイーソス17mmと導入用長焦点アイピースしかない。1.25インチのXW-20やモーフィアス17mmで低倍率は十分。わざわざ大きな2インチ版を使う必要もない気がするのだが。
相変わらずEMSの付け外しは真っ直ぐ差し込むのがうまくできない。見口を下にして差し込むと真っ直ぐ差し込みやすいことを発見。差し込んだ後見口を回せばよい。
Sky-Watcher WiFiアダプタ
今回の架台はEQ5を使用。SynScanのハンドコントローラはハナから持参せず、WiFiアダプタオンリー。コントローラはZenPad(Android)。
- WiFiアダプタを使用すると、SynScanハンドコントローラのクソめんどくさい起動時の儀式がなくなるのでとてもらくちん。
- 極軸をきちんと合わせて3点アライメント。一個目の基準星は余裕で視野に入った。二個目以降はジャスト真ん中。アイピースはSWAN40mm。
- EQ5の赤緯体の極望用の穴が、なぜホームポジションと一致せず適当な方角になっているのか理解に苦しむ。目盛環といい、理解に苦しむ仕様があるのはお約束か。
- 細かな動きは苦手なEQ5だが、自動導入で観望するのは十二分に快適。サクサク導入できる。
実際に観望に使ってみると、タブレット導入にはそれはそれで課題も感じた。
- Android端末のスクリーンが明るすぎる。「Andoridのブルーライト軽減フィルタは色温度が高すぎて星がよく見えなぁぁぃ!!」
- 端末がスリープ状態になるとロックを解除してSynScanを起動してコネクトしなおしになるのだが、この時の10秒前後の待ち時間、操作時間がじれったい。また、ロック画面とホーム画面の背景も暗くなるように設定しておくのが吉。SkySafariはこの儀式の後、さらにコネクト操作が必要(これは一瞬)。
- 端末をスリープしないようにするのも手だが、そうするとまぶしい液晶画面のやり場に困る。
- タッチパネルが夜露に濡れると拭き取らないとタッチに反応しない。これがまたじれったい。
- まあ十分(いや革命的に)便利ではあるのだが、あれこれ次々導入するのなら、SB10の方が個人的には快適と感じた。
- 音声で導入できるのかな?それが可能になれば、タブレットではなくスマホで操作する。小型のモバイルバッテリーを繋いで常時スクリーン点灯で、ポケットに入れておけば曇ることもない。
双眼鏡比較
実際に星を見て比較すると、昼間の風景やナイター観戦では見えなかった相違が明らかに。
ビクセン ニューアペックス10×28
- 周辺像は他とは一線を画する。ちゃんと点像を結ぶ。さすが高いだけのことはある。
- 明るさでは42mmのSVBONYに完敗だが、他の激安二台には完勝。
Titan Mall 双眼鏡 10×25
- 星でチェックすると像面湾曲が大きく周辺像が良くない。みかけ視野が狭いだけにかなり気になる。
- 倍率7倍は手持ち観望には好適(本来の仕様は10倍なのだが)
- 星用途には安いとはいえあまり満足できない。ないよりはマシだが。
AUTSCA 10×32
- すばるで比較すると、はっきり星の輝きが鈍く数も少ない。星を見てもコントラストの低さを感じる。
- 周辺像は一番ボケが大きい。
- 星見には使用するべきではない。ないほうがマシな残念な結果。
- 低温になるとただでさえ使いにくいゴム見口がさらに使いにくくなる。何度折り曲げても元に戻ってしまう。
SVBONY SV21 42mm10倍
- 口径42mmの明るさは正義。他の3台を圧倒する明るさ、楽しさ。
- 周辺はアスで像が同心方向に長く伸びてしまうが、中心像、中間像はまあ合格点。
- 手持ちの際の細かなブレは他の3台よりも少なく感じる。このクラス(600g以下)では、ある程度重量があるほうがぶれにくいのかもしれない。
- 星用途の最低基準は満たして十分楽しめる。手ぶらよりは4300円を出してこの双眼鏡を手に入れたほうがより幸せになれるはず。
- 価格よりもはるかに良く見えるのは事実だが、「最高」でもなければ「高級」でもない。「コスパの高い実用品」である。そのへんは割り切り要。「周辺まで針を突いたような点像」を求めるならお値段約100倍のニコンWXを買うしかない。
- 見口のアイポイントが調整できるのがポイント高。メガネで星を見る場合は特に便利。
本記事は個人の感想です。内容の正確性については一切保証できません。