K市のMさんに依頼してAP赤道儀をonstep対応に改造してもらった。AP赤道儀は駆動装置なしの手動モデルを購入。改造費は55000円だが、一般向けの改造はこの個体でで終了とのこと。

外観。手動モデルのAPの微動ユニットは厚みが少なくレイアウトが難しいのにもかかわらず、とてもスマートな金具とモーター。APの専用ケースにそのまま収まる。

ただし、ケーブル、特にコネクタが大きい。コントローラの箱はごらんの通りでSB10よりはずっと小さいがSB1よりは厚みがある。

赤経駆動部。ご覧のとおりベルトドライブ。クランプの上の黒い箱がステッピングモーター。スペース上小型のものを使うしかないので導入速度は上げられないかも、と聞いていたのだが結果は800倍速。それでもほとんど無音といえるほど静かで、モーターもちっとも熱くならない。

ちなみにAPは本来フリーストップがコンセプトだが、自動導入で使うならクランプ必須。むしろクランプを付けて締めても固定力が若干足りなめな印象。

駆動ユニットを分解したところ。APはユニット間を3つの突起で合わせて2本のM5ネジで止めるのだが、その間に薄い鋼板を加工した取付金具を挟む仕組みになっている。実物が届いてからこれを設計したとしたら、お世辞ではなく天才と感じてしまう。それともこういうテクは赤道儀の改造に長けた方には常識?

突起にプレートを合わせたところ。突起の高さもプレートの形状や厚みも絶妙で、最初から一体設計したようにしか思えない^^

部品だけ購入して自分で組み立てるのは、完全な素人でなければ問題ないだろう。

モーターユニットはそれなりに重量がある。鋼板がけっこう重い感じ。このあたりはさすがに純正の駆動ユニットにはかなわない。配線とモーターがむき出しにならないようにカバーが付くとよいのだが、まあ何か自作してみるか、いやきっとしない^^;;

駆動部のキーパーツ、プーリーとベルト。ベルトのテンションを適正な加減に調整するのが最も難しいところになると思われる。ベルトを少し押して1mm程度凹むのがちょうどいい加減とのこと。「ピンと張った感じ」というべきか。

ちなみに、当初DECのベルトが若干緩く、その状態ではオートガイドの反応に若干問題があったが、張りを強めることで大きく改善した。

張りが弱い状態での典型的なガイドグラフ。極軸は合わせた状態。補正信号になかなか反応せず、あるタイミングで一気に動く、を繰り返している。極軸は合わせた状態。

ただし、ガチ締め状態のEQ5にように大きく行きすぎることがなく、このレベルでも500mmでも流れないものと推測。

こちらはベルトを張った後。RMSは1.2秒角程度。これなら無問題。というか素晴らしいです。

 

ただし、バランスが悪いとこういう挙動になることもある。これは赤緯側のバランスを崩した状態。一般にバランスはほんの少し崩した方がバックラッシュを片寄せできるので良いというが、このシステムの場合はバランスをできるだけ合わせたほうが良い結果が得られた。

鏡筒にはBKP130、カメラは軽量のASI294MCだが、ニュートン反射は向ける方角によって鏡筒バランスが微妙に変わる。ガイドが不安定なときはバランスの崩れを疑ってみることが必要かもしれない。

これも一般的な話だが、ある方向に望遠鏡を向けてガイドが安定するまでには少し時間を要することがある。上は自動導入直後にオートガイドを開始したときのグラフ。当初安定していなかったのが一定時間後に収束している。

ベルトを張った状態での実写作例はこちらから。2分露出でも流れなし。無風だったのも幸い。

この夜の撮影風景。

その他メモ。

  • ASI AIRのガイドグラフで、±16秒の表示も欲しい。正確な赤道儀しか持ってない人は不要だろうけど。
  • 同じく、ガイドグラフの単位を記憶して欲しい。メイン画面から戻るといつも初期値にリセットされてしまう。

 

注)本記事の内容は個人の感想です。正確性については保証できません。