天体望遠鏡

よく見える天体望遠鏡はどれだ!?連載(2)【1万円で買える天体望遠鏡】比較レビュー

予算1万円で天体望遠鏡。今回は実際に購入した4台の天体望遠鏡の比較レビューをお送りします。
何を買うのか検討中だったり、何を基準に選べばいいのか迷っているお父さんお母さんは、ぜひ参考にしてくださいね!

レビューした天体望遠鏡と選定条件

今回の企画では、実際に4つの天体望遠鏡を購入し、筆者が自ら使用した上で、比較レビューを行いました。

この4つをセレクトした条件は以下の3つです。

ネットで買えること

アマゾンでもヨドバシでも楽天でもいいのですが、日本のどこからでも手軽に買えるということで、ネット上で買えるものとしました。

予算は1万円

親子2人のディズニーランド入場料12,400円(*)より安い」ことを条件としました。

(*)2018/4/2時点、大人7,400円、小人4,800円。

高倍率重視の「長い」望遠鏡

理由は省略しますが、月や惑星などを解像度よく見るためには、「鏡筒が長い(=焦点距離が長い)」望遠鏡が有利になります(*)。今回は「焦点距離600mm」の製品に限定しました。

(*)正確には焦点距離と対物レンズの大きさの比が大きいほど(今回のセレクトでは12:1)、光学的に細かな部分がよく見える望遠鏡になります性能を阻害する「収差」や「製造の誤差」の影響が少なくなります。
(4/11)表現が正確でありませんでしたので訂正しました。

例えば上の製品のように「焦点距離420mm」のようなより鏡筒の短い望遠鏡もあり、より低倍率での星空の観察にはこちらの方が適しているのですが、今回は対象外となっています。

他にも条件を満たす製品はあるのですが、編集部の予算が最大4万円wでしたので、合計4台を独断でセレクトしました。(外れてしまったメーカー様、ごめんなさい!)

レビュー結果発表!

その前に・・・

このレビューの趣旨は、できるだけ多くの人に「天体望遠鏡」の素晴らしい体験をしていただき、「天体望遠鏡」の使い方や楽しみ方をもっと知ってほしい、というものです。特定の機種の欠点をあげつらって非難する意図はありません。

それでも、あえて順位を付けるととしました。汗をかいて良いものを作っているメーカーは評価されるべきですし、よくないところは改善されるべきだからです。

また、このクラスの天体望遠鏡はコストダウンとのせめぎ合い。より高級な製品と比較すると負けているところはたくさんあります。大事なことは使用する側にとって本当に大事なことをバランス良く押さえているかです。それに留意してレビューしています。

ただし、「大事なこと」の基準は筆者の主観ですし、実機を購入したとはいえ(*)売られている全ての個体をチェックしたものではありません。筆者個人の感想にしかすぎないことをあらかじめお断りしておきます。

(*)アマゾンで購入したため、価格も「時価」です。販売店や購買時期によって異なる場合があります。4/8時点ではすでに編集部で購入した価格とは変わっていました。

一位:スコープテック ラプトル50

◎よく見える

よく見える天体望遠鏡です。HPでもその点をアピールしていますが正直その通りだと感じました。特にお月様を見た時の輝きとクリアな見え方は他の製品とは1ランク違ったものがあります。

その理由の一つが、ていねいな「内面反射防止処理」。上の写真は望遠鏡を空に向け、接眼レンズを外してのぞいたところ。他社製品と比較して内面反射がずっと少ないことが分かります。これが、月のような明るい天体を見た時のコントラストに大きく影響してくるのです。

今回レビューした全ての機種の全ての接眼レンズについて、倍率による違いと見かけの視野の広さがわかるように、スマートフォンで望遠鏡が結んだ像を実写した画像。全て同じ拡大率です。スコープテック社の視野が一番広い(大きい)ことがわかります。ぼけたような画像が混じっていますがこれは手ぶれによるものです。光学性能のよしあしはこの画像では判別できないものと思ってください。

また、接眼レンズはスコープテックが一番チャチに見えるのですが、見かけ視野が一番広く、内面反射対策も必要な場所にはきちんとなされていて、一番の見え方でした。

最高倍率が75倍と他の製品よりも低く「もうちょっと大きく見たい」と思わなくもないのですが、実際はこのクラスの架台では100倍は高すぎてぶれやすく、対象を導入するのにも苦労します。見かけの視野も広く75倍はよいバランスだと感じました。

取説を除けば、これが製品の全部。質実剛健。三脚が伸縮できないので大人にとっては姿勢が低くなるのが難点ですが、逆にそれが強度的にはプラスに作用しています。

スコープテック製品の特徴はファインダーが覗き穴式であること。詳しくは次回で説明しますが、月や惑星など肉眼ではっきり見える天体を導入する場合は、4機種の中では最も使いやすく正確でした。

架台も本体はプラで安物っぽく見えるのですが、意外なほど安定していてスムーズに動作します。安定度を確保するために一番大事な三脚台座は金属製で、このあたりにもバランスの良さを感じます。

他の3社はカラー印刷の化粧箱に梱包されているのですが、スコープテックのみ段ボールだけ。サイズも一番小さいです。

梱包が素っ気なくてプレゼントにするときのインパクトが弱い、三脚が短くて大人が使うには辛いなどの欠点もありますが、使う側の立場をよく考え、「安くても良いもの」が実現されている製品です。

二位:レイメイ藤井 RXA103

◎最安値、6426円

今回比較した4機種の中では最安値です。最高値のビクセン製品の1/2強。ディスニーランドの小人料金4,800円以上の差があります。

鏡筒に取り付けたスマホが「星どこナビ」。スマホは付属しません。

最安値でありながら普通によく見えます。鏡筒はミード社の製品と共通部分が見られました。同じ工場で製造された部品が使用されているのかもしれません。

上下に鏡筒を振ったときに、左右のクランプが緩む方向と締まる方向にそれぞれ動くため、それを考慮して締まり具合を微調整するのが使うためのコツ。

架台もフォーク部・三脚台座ともに金属製で、上下水平の動作のスムーズさには若干欠けますが、しっかりしています。

この製品の最大の特徴は、鏡筒にスマホを取り付けるバンドが付属し、アプリ「星どこナビ」で目的の天体を探せること。スマホの方位磁石は鉄骨がある建物などの近くでは正確ではないのが残念ですが、なかなか先進的な工夫といえます。

ただし、最低倍率が48倍と4機種の中では一番高いため、目的の天体の導入がやや難しいのが弱点。それを補うには、焦点距離25〜20mm程度の接眼レンズを買い足すという方法もあります。

例えば上のリンクの製品を今回試してみましたが、視野も広く非常にいい感じでした。6000円の本体に2000円弱のアクセサリを追加するのはちょっとバランスが悪いですが、それでもまだ他社製品よりも安いのが魅力です。

値段を考えるとお買い得といえます。内容も値段以上のものです。とにかく安く買いたい人にもオススメです(*)。

(*)ただし、レビュー中に後継機が発売されてしまったようです。三脚と架台がカメラ三脚のようなものに置き換わっています。筆者の経験では、カメラ三脚の雲台で100倍を使いこなすのはかなり慣れが必要なので、その点が心配です。

レイメイ藤井・RX104
http://www.raymay.co.jp/nature/contents/astro/item/RXA104/index.html

三位:ビクセン スペースアイ600

○総合天体望遠鏡メーカーの製品

ビクセン社は日本の2大総合天体望遠鏡メーカーの一つで、その製品は数多くの天文愛好家に使用されています。

鏡筒と架台をワンタッチで着脱できるのもいいところ。フードは一体になっていてなくさないようになっています。

この製品はレビューした4つの中で、一番重量があり架台が安定していて、しかも唯一「微動装置」を備えています。同社の上位機種と比較すると決してスムーズとはいえないところもあるのですが、微動装置なしのものとは雲泥の差。

微動装置とクランプ。鏡筒を大きく動かすときにはクランプを緩めで動かし、締めた後で微動装置で調整します。安定する反面、操作には一定の慣れが必要になります。

架台がしっかりしている反面、重量が大きくなるのであまり小さなお子さんでは持ち出しづらいかもしれません。また「クランプ」を操作する必要があり、力の弱い子供ではちょっと扱いにくいかも知れません。

ファインダーの造りが他の製品よりもずっとしっかりしているのが美点ですが、単レンズのため肝心の見え方がちょっと冴えないのが残念なところ。導入専用と割り切る必要があります。

天体望遠鏡は双眼鏡などと比べてずっと高い倍率を使用するため、目的の対象を視野内に入れるための「ファインダー」という小さな望遠鏡が付いています。

このファインダーを使う前提として、本体と同じ方向を正確に向くように調整をする必要があり、これが天体望遠鏡のとっつきにくさの一つの理由になっています。この製品のファインダーは他のものよりも調整がしやくく、狂いにくく(*)なっていて、それもプラスポイントです。

(*)他の製品では固定方法が良くなく、調整が難しい上、すこし触っただけでも狂ってしまいます。

肝心の見え方ですが、同社の製品の中では最も安いクラスでもあるせいか内面反射処理がやや甘く、月・惑星などの明るい対象を見たときのクリアさがちょっと冴えません。

 

スマホとはいえ、このクラスの天体望遠鏡にこのようなアダプタで固定すると、重さのため鏡筒がおじぎしてしまう場合があります。その点ビクセンの架台は安心です。

 

しかし、安定度の高い架台の長所を生かし高倍率でスマートホンを使用して撮影したい場合にはこの中では一押しです。微動装置があるので高倍率での撮影の時にも大いに役に立ちます。

スペースアイ600にiPhone6Sを取り付けて撮影した土星。動画で撮影して専門のソフトを使用して処理したもの。お子さんにはちょっと難しいですが、大人ならチャレンジできる範囲です。

四位:ミード AZM-50

○優れた光学系

レイメイ藤井の三脚とよく似ていますが2段伸縮、一回り細身です。

この望遠鏡の鏡筒部分は、レイメイ藤井RXA103と細かい点を除いて同じもののようです。実際に天体を見た印象もほとんど変わらず、とてもよく見えました。内面反射処理もスコープテックほど丁寧ではありませんが合格点です。

レビューした中では唯一接眼レンズが3本付属し、より視界の広い低倍率から高倍率まで広い範囲で観察できるのが長所です。

ただ、レビューした中では唯一、三脚台座部分にプラを使用しているなど架台の安定度がやや不足気味です。この望遠鏡は最高倍率が4機種の中で最も高い(*)(150倍、付属の拡大用レンズをつければ300倍)のですが、これ使いこなすのは相当の慣れが必要でしょう。

(*)仕様では最高倍率用の接眼レンズの焦点距離が4mmのはずなのですが、実際に見るとレイメイ藤井の6mmのものとほとんど違いがありません。これについては詳細は不明です。

大きさの比較

サイズ感をつかんでもらうために、4つの製品を並べて大きさを比較してみました。
鏡筒は基本的に同じスペックなので同じ大きさです。三脚と架台に差があります。

三脚を最も縮めた状態での比較。レイメイ藤井が最もコンパクト。スコープテックとビクセンが最も高さがあります。

三脚を最も伸ばした状態。スコープテックは三脚が伸縮できないので逆に一番低く、かなり体勢が苦しくなります。三脚は伸ばしすぎるとぶれが大きくなってしまうので、伸ばすのは必要最小限にとどめるのがコツです。

まとめ

いかがでしたか?!正直いって、今回レビューした製品は細かな違いはあるものの、どれも光学性能的にはよく見える製品ばかりで、その点ではちょっと驚きです。最近の光学製品の品質向上は大したものだと感じました。

その一方で、低価格ゆえのコストダウンの関係で、総合的にはけっこうな差があると感じました。お父さん・お母さんも楽しみたいというのであれば、架台の安定度も含めてもう1クラス上(2万円〜4万円クラス)の製品をオススメしたいところです。

それでも、1万円で宇宙の姿を楽しめるというのは大きなことです。その意味では、天体望遠鏡が一家に一台あってもいいかな?という気軽な気持ちで購入するなら、じゅうぶんアリな選択だと思います。

次回はさらに詳細のレビューと、天体望遠鏡を選んだり使ったりする上で大事になるポイントを細かく解説する予定です。

↓続きもぜひ読んでくださいね!

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  • 本記事は特定の会社様のスポンサードなしで、天文リフレクションズ編集部が自身で購入した機材に対して独自の判断でレビューするものです。文責は全て天文リフレクションズ編集部にあります。
  • レビュー対象の機材の選定は慎重に行ったつもりですが、これらが市場で販売されている全てではありません。対象機材以外にも優れた製品がある可能性があることをご承知ください。
  • 掲載した天体写真は、できるだけ今回ご紹介した望遠鏡で実際に見た姿に近くなるよう加工していますが、個人差・気象条件・機材の差などでこの通りに見えない場合もあることをご承知ください。
  • レビューアーは残念ながら50台半ばのおっさんです。幼少期のお子様との年齢差などの要因で、インプレッション結果は若干異なる可能性があります。
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