この記事の概要空から星が降ってくるような「満天の星空」を見たいと思った方にお贈りする、星空に出会うための完全ガイド、いよいよ完結!
前編中編では、星空体験の素晴らしさと、星空に出会うためのヒント、星見スポットの探し方をご紹介しましたが、この後編では、実際に星見に行く際の様々なノウハウと、さらに興味を持たれた方への次のステップへのヒントをお届けします!
これさえ読めば、あなたも満天の星空に出会えるかも!

 

前編・中編はこちらからどうぞ!

前編・至高の星空体験
中編・星見探しの冒険

 さあ、星見に出かけよう!

前編中編をお読みいただいて、

そうだ、星見に行こう。

という気になってきたあなたにお送りするこの後編。今回は実際に星見に出かける想定での完全ガイドです!

まずは、行き先の設定はこちらです。
もっと人口の多いエリアにしたかったのですが、ケーススタディということでお許し下さい^^;

ご注意)
本稿執筆時(2017/7/7)、下記の東峰村を中心とするエリアは「九州北部豪雨」による災害の最中にあります。
災害の状況と復旧の目処が明確になるまでは、下記エリアへの不要不急のお出かけはご遠慮ください。
また、現地の皆様のご無事と一刻も早い収束と復旧をお祈り申し上げます。

福岡県の南東部。東峰村です。

目的の場所は右の「産業会館」です。
日付の設定は、今年(2017年)の7月29日土曜日としました。
夏休みの海の日三連休の次の週末です。平年通り梅雨明けしていれば好天が期待できます!

計画を立てよう

移動手段

この撮影地の場合、公共交通機関で行くのはほぼ不可能です。
朝まで粘らないと帰りの手段がありません。

車が使えないと、星見に出かけられる場所の選択肢は圧倒的に制限されてしまいます。これはなかなか難しい問題なのですが、ここでは移動手段は車ということにします。

また、カメラや望遠鏡などの重い機材を持ち込まないのであれば、バイクという手段もあります。移動距離の少ない離島などでは自転車も有効な手段です。

薄明と月の出入の時刻を調べる

計画の基本になるのは、太陽と月の位置
太陽と月がそれぞれ沈む(または昇る)時刻を調べます。

前編では「(都市名)の潮汐表」をオススメしましたが、内陸部は出てこないのでした・・今回は代わりに国立天文台の「今日のほしぞら」を使用しました。

国立天文台・今日のほしぞら
http://eco.mtk.nao.ac.jp/cgi-bin/koyomi/skyviewer_gm.cgi

天文薄明が終わるのが20:55、月齢6.1の上弦前の月が沈むのが23:10。日没後に現地入りして、月が沈んで天の川が良く見えるまで粘って、深夜0時ごろに引き上げる予定を組みます。

簡単な時間割を作ってみる

参考までにスケジュールソフトで時間割表を作ってみました。

普通はここまでやる必要はないのですが、節目となる時刻は、手帳にでもメモしておくことをおすすめします。

スケジュール表を見てみると、移動に2時間かかるのはともかかくとして、そこからなんと4時間も現地にいることになります。

そうなんです。星見って、いろいろ見ようとすると結構長丁場になるんですよね・・月没までの2時間、どうやって過ごしましょうか^^

星空ツアーなど、ガイドしてくれる人が同行する場合はいいのですが、そうでない場合はいかに退屈せずに時間を過ごすか事前の準備がものをいいます。

ここでは無責任に「付近を散策」と書きましたが、見知らぬ人里離れた土地の夜の散歩なんてほとんど肝だめしですね^^;
散策するなら、明るいうちに下見しておきましょう。

2時間一緒にいても退屈しないような仲間と連れだって行くのが一番かもしれません。

どんな星空が見えるかをチェック

スマホアプリやパソコンのプラネタリウムソフトで、どんな星空が見られるかをチェックしておきましょう。

アプリ「星座表」で見た21時頃の南の空と西の空。
月はあまり太くないので、天の川は条件が良ければこの時点でじゅうぶんに見られるはずです。また、月と接近した木星の姿が楽しみです^^

パソコンソフトSUPER STAR Vで見た21時頃の星空。

スマホアプリは、現地で空にかざして星座を確認するにはとても便利なのですが、全天を一望できるパソコンのプラネタリウムソフトは家でじっくり星空を確認するのに便利です。

同じく、こちらは24時ごろ。

天の川が西に移動してゆき、24時ごろに空をまっぷたつに横断するであろうことがわかります。この天の川の天球横断は、天の川を最もよい条件で見られるタイミングの一つです。ぜひ見逃さないようにしましょう。

3時間経つだけでも、ずいぶんと星空の様相が変わってくるものですね。お日さまだって朝に東から昇って夕方に西に沈むのですから、当然といえば当然なのですが、星空が時間とともにぐるりと空を回っていくさまをつぶさに眺めていると、宇宙の中の地球、太陽系の中の地球を実感することができます。

当たり前のことを、体験として実感する。星見の醍醐味の一つです。

流星群をチェック!

実は、7月から8月にかけては、一年中で最も流星が多く流れる時期。特に、7月下旬ごろにピークを迎えるみずがめ座δ流星群のピークは7月30日の明け方。まさにビンゴです!

出現数は1時間あたり10個程度とあまり多くないのですが、この時期は特定の流星群に属さない流星も多く流れ、1時間じっくり星空を眺めていれば、ほぼ確実に流星を見ることができるはずです。

アストロアーツ
2017年7月30日 みずがめ座δ南流星群が極大

計画をコンパクトに持ち歩く方法

出発前のさまざま「調べ物」は、現地でもネットさえ繋がればやれないことはないのですが、通信が切れたり遅かったり、現地でいろいろスマホをいじくるのは面倒です。

スマホのアプリを活用して、通信が切れてもデータを閲覧可能なツール(DropBoxなど)にデータを転送しておくと便利です。

簡単にやるには、スマホの「画面キャプチャ」を取っておくことや、PCのキャプチャ画像をメールで自分に送信しておく方法もあります。

星見に必要な装備

自分の眼だけで星見するのであれば、大げさな装備は特に必要ありません。でも、人里はなれた夜に安全・快適に行動するためには、外すことのできないアイテムもあります。

ここでは、星見の必須アイテム、あると便利なアイテムをご紹介します!

必須アイテム

モバイルバッテリー

スマホ・携帯電話は現代人のライフライン。安心して行動するためにも、モバイルバッテリーは必須!小さくて携帯に便利なものを1つは用意しておきましょう。

ライト

夜間の行動の必需品。スマホのLEDでも代用不可能ではないですが、頭に付けられるヘッドランプ型で、暗闇でも眼に優しい赤色光のついたものがオススメです。

ビクセンの製品は、望遠鏡メーカーだけあって、特に暗くした赤色発光が可能になっていて、さらにオススメ。

赤色モードが付いていないライトしかない場合、スマホで代用できるアプリがあります。

ビクセン・ナイトビジョンライト
https://www.vixen.co.jp/app/nightvision-light/

なんのことはない、単に画面が赤くぼんやり光るだけのアプリなのですが、タッチ操作で簡単に輝度を調節できるので、眼に刺激を与えす手元を照らす用途にはじゅうぶんに使えます。

防寒着

星を見るのは気温の下がる夜、しかも標高の高い場所であることが多く、寒さへの備えは必須。

標高が1000メートル上がると気温は6度も下がります。下界では熱帯夜であっても、気温は20度を下回る換算。真夏でもある程度の防寒対策が必要です。長袖のジャケットかパーカーを準備しておきましょう。

歩きやすい靴

車で星見とはいえ、アウトドアには変わりはありません。熊やイノシシに出くわしたときにダッシュで逃げられる程度の靴を履きましょう。ビーサンやハイヒールは厳禁です!

度の合ったメガネ、コンタクト

メガネが合っているかどうかで星の見え方はぜんぜん変わります。度数の弱めのメガネと強めのメガネを使い分けられている方は、度の強めのメガネをお忘れなく。また、色の入っている度付きサングラスタイプものは星見には不向き。高齢者の方は、遠近両用メガネも星見には不向きです。

あると便利なもの

シートとマット

最高の星見姿勢は「ごろ寝」です。大きめの防水性のあるシートと、背中が痛くならないようなマットがあると快適です。枕や寝袋があればなおよしです。

イス

アウトドア用の折りたたみ椅子があると便利です。ホームセンターで安いものは1000円くらいで手に入ります。

軽食、おやつ、飲み物

長丁場になるとおなかも空いてきます。おにぎりやサンドイッチ、お弁当などの軽食、甘いものやスナック菓子など、じぶんのお気に入りの食べ物・飲み物を用意しておくと、ささやかな憩いのひとときが楽しめます。

お湯を沸かす道具を準備してカップラーメンやコーヒーというのも乙なものなのですが、慣れない場所でお湯を使うのはあまりオススメできません。最初の星見の場合はあまり欲張らず、すぐに口にできるものにしておくのが吉です。

魔法瓶をひとつ用意しておくと、途中コンビニで熱いコーヒーを買って入れることも可能。寒い時期でも数時間はじゅうぶん熱い状態を保てます。

虫除け

夏場、標高のあまり高くない場所では、蚊などの虫対策も必要です。肌に塗るタイプや、腰にぶら下げるタイプなど、ホームセンターかアマゾンにいけばいろいろ売っています。

古典的な「蚊取り線香」もかなり強力。ただし、火の始末には注意しましょう

様々な危険と避けるための心得

人気の少ない野外で、しかも夜間の行動には、さまざまな危険が伴います。お気楽な星見のようでも、実際は「冒険」であることを忘れないでくださいね。

動物

野生動物は星見の中の最大の危険要素。クマに襲われようものなら命の問題です。特に最近は、動物の生息域がどんどん人里にまで下りてきており、郊外に星見に行けば必ず動物に遭遇するものと思っておくべきです。

鹿(シカ)

鹿は一番遭遇率の高い動物です。今回例に挙げた場所でも、ほぼ毎回鹿に遭遇しています。
鹿は人間を積極的に襲うことはまれなので、恐れる必要はありません。ただし2点だけ注意しておきましょう。

一つめは鳴き声。鹿は甲高い声で「ピー」と鳴くのですが、暗闇でとつぜん鳴き声が響くと、けっこうびっくりします。この正体が鹿だとしらないと、だんだん怖くなってしまいます。(経験者は語る・・)「ピーと鳴く 鹿はぜんぜん 怖くない」と覚えておきましょう。

もう一つは、路上での飛び出し。スピードが出ている状態で鹿に飛び出されると運転を誤ったり、衝突して車を壊すことがあります。鹿の飛び出しにはくれぐれも注意してください。

山中比叡平の防災
http://blog.livedoor.jp/shagal/archives/51901301.html

 山中越えの山中バイパスは夜間にはよくシカが飛び出してきます。私も鹿に飛び出されて衝突寸前になったことが何度もありました。暗い山からいきなり飛び出してきますので、制限速度の40km/h以下で走っていてもタイミングによっては衝突を避けられません。急ブレーキを踏むことになりますので、後ろの車が車間距離をとっていなければ追突事故をもらうことにもなります。鹿にぶつかって車が損傷したという話も時々聞きます。山中バイパスを夜間に走る時には特に注意が必要です。

「山中越え」は、京都北白川から比叡山を越えて琵琶湖に向かう二車線の道路ですが、こんな大都市に近い場所でも鹿が普通に出没するようになってきています。

猪(イノシシ)

猪も最近増えてきているようです。鹿とちがって、猪は人間を襲う(体当たりしてくる)場合があり、遭遇確率的には熊よりもある意味危険です。体重もあり運動能力の高いイノシシに突撃されるとただではすみません。

とはいえ、猪も臆病な野生動物ですから、基本的には人間の気配のする場所には近寄ってきません。山奥であっても、駐車場の中で、話し声や音楽などの猪に聞こえるような音を出し続けておけば、襲われるような確率はかなり低くなるといえるでしょう。

一番怖いのが移動中の出会い頭。あまり周辺をウロウロせず、かたまって行動するようにしましょう。

危険生物MANIAX・イノシシ
https://inoshishi.etc64.com

ただし、いきなり角を曲がったら出会い頭に、というパターンは危険。
興奮したイノシシは人間を倒さねばならない敵とみなし、突撃してくることがあります。
前述した脅威の運動神経で突進されては人間はひとたまりもありません。

熊(クマ)

クマは日本最大の危険動物です。猪と違って、鋭いツメを持っているので、これでザックリやられようものなら、命を落とすか、一生の傷を負うことになります。リアルの世界の冒険は、ゲームと違って死んでしまったらそれですべて終わりです。

熊対策については、下記リンクを参照してください。

危険動物MANIAX・ツキノワグマ
https://tsukinowaguma.etc64.com
危険動物MANIAX・ヒグマ
https://higuma.etc64.com

人間もヒグマと遭遇したくないですが、それは向こうもそうです。
できればヒグマのほうも人間と遭遇したくないと思っています。
まずは不必要にクマが出没するような場所に立ち入らないことです。

編集子は実際に使ったことはないので、具体的にオススメすることはできないのですが、熊よけスプレーはいろいろ出ているようです。ただし、風下で使用すると自分に降りかかってくるとの説もあり、自己責任でお願いいたします・・・

蛇(ヘビ)

本州のマムシ、南西諸島のハブが代表です。
ヘビを避けるには、まずは草むらに入らないこと。また、長靴などを履き、足に地肌をださないことです。

危険動物MANIAX・マムシ
https://mamushi.etc64.com
危険動物MANIAX・ハブ
https://mamushi.etc64.com

一番分布が広く、個体数も多いハブ。
全長は大型になると2メートルを越える場合もあり、毒が強い。
白~黄色地で、黒い細かい網目模様が特徴。
特にネズミを好んで食べる。

天候の急変

よほどの荒天でないかぎり、天候が急変しても車に逃げ込めばたいていは大丈夫でしょう。安全地帯である車から、あまり遠く離れないようにすることです。

ただし、南西諸島、特に八重山地方のスコールには要注意です。星がバッチリ見えている状況でも、情け容赦なく突然土砂降りになることがあります。

天候に関していえば、急変よりもむしろ大雨・台風などの「悪天候の直後」に注意が必要です。台風が通過した直後は空の澄んだ好天になることが多いのですが、こんな時に山深い道に入ってしまうと、倒木や落石などに遭遇する危険があります。大雨の直後は避けるべきです。

のり面・土木工事の材料屋さんケイエフの情報発信Blog
http://blog.norimen.com/article/406278038.html
落石 / TaiwanSpirit

海辺

海辺は、視界が開けていること・海側には人工光が基本的にはないことから、星見の好ポイントになることが多いのですが、波が高いときに海岸に近づくのは禁物です

広い砂浜ならまだよいですが、磯・岩場はもちろん、波止場も危険地帯。夜に突然の高波にさらわれてしまったら、ほぼ確実にあの世行きです。夜の海では道路よりも海側には近づかないことが賢明です。

冬場

寒冷期は、道路の降雪・凍結に注意が必要です。
標高の高い場所の日陰では、一度積もった雪はなかなか溶けず、氷結・融解を繰り返してカチコチに凍っている場合があります。

何より、冬の星見はメチャ寒いです。氷点下はザラ、マイナス10度を下回ることも少なくありません。寒冷期はあまり無理せず、標高が低く寒すぎない場所を選びましょう。それでも夜間の行動の際は冬用タイヤ、チェーン必携です。

筑波山の林道案内
http://tsukubasan2983.web.fc2.com/onigasakusen.html


冬場の降雪後はこんな感じですので、車輌での通行だけではなく徒歩でもスリップ転倒しそうな状態です。

さあ、星見に出発!

計画を立てて、装備を準備し、想定される危険をひととおり確認したら、いよいよ出発です!

出発前のチェックリスト

旅に付きもの?なのが忘れ物。出発の前にしっかり確認しておきましょう。

計画 ・目的地までのルート
・日出日入、月齢、月出月入、薄明時刻のメモ
・行動スケジュール
・どんな星空を見るか?
装備 □スマホ
□モバイルバッテリ
□ライト
□防寒着
□歩きやすい靴
□度の合ったメガネ、コンタクト
▽シート
▽マット
▽イス
▽虫除け
出発後 □ガソリン満タン
▽軽食、おやつ、飲み物

□:必須 ▽:あると便利

目的地に向けて出発!

カーナビに目的地を設定

カーナビに目的地か、目的地近くの目印になる場所を設定しましょう。カーナビがあったとしても、行ったことのない真っ暗な場所に初めて行くのは心細いものです。

なるべくなら、真っ暗になる(天文薄明が終わる)前に、現地に着くように計画するのがオススメです。

ガソリンは満タンに

スマホと同様、車のガソリンも生命線です。ガソリンに余裕があれば、寒いときに暖をとったり、スマホの充電なども心おきなくできます。出発したら、すぐ満タンに給油しておきましょう。

コンビニに立ち寄ろう

市街地ではそこかしこにあるコンビニも、郊外に出るととたんに数が減ってきます。星がよく見える場所にはコンビニはないと思ってください。九州の場合、高速のICから目的地までの間の数十キロ、全くコンビニがないことは普通にあります。

面倒でも目的地までの最終コンビニを事前に調べておくか、市街地を抜ける前にコンビニに立ち寄っておくようにしましょう。コンビニに寄ったら、食料・飲み物などを調達し、一休みしましょう。

夜道の運転には気を付けて

夜の運転、特に疲れが出始める&野生動物が現れやすい帰り道は注意しましょう。深夜は車が少なくなるのでついスピードを出しがちですが、油断は禁物。我が家に無事に帰り着くまでが遠足冒険です^^

現地到着したら

車を停めるまでの注意

目的地に着いたら、車を安全な場所に駐車します。駐車するまでの間は、貴方が従うべきものは道路交通法とほんの少しの気配りだけです。

ハイビーム・フォグランプやライトの直射は避けるべきですが、停車するまではしっかりライトを付けたままにし、周囲と自分の安全を最優先にするべきです。

交通量の多い場所の場合、通過する車や出いるする車のライトがどうしてもじゃまになります。出入り口からできるだけ離れた奥のポジションがベストなのですが、そういう場所は競争率が高くなります。

5月の連休の秋吉台。星見の人が集まり賑やかです。出入りの際の車のライトは仕方がありません。

 

車を停めたら、まず暗闇に眼を慣らそう

車を安全に停止したら、ヘッドライトはすぐに消灯し、エンジンを停止しましょう。夜の田舎の駐車場では、煌々とライトを照らされて嬉しい人はいないはずです。

ライトを消してエンジンを切るのは、暗闇に眼と耳を慣らし、周囲の気配に敏感にするという、安全上の意味もあります。

3分間ほどそのまま待って眼が慣れてくるにつれ、周囲の状況がすこしずつはっきり見えてくるはずです。他に人がいるのかどうか、街灯りと星明かりがどれくらいあるのか、などなど。

車の車内灯はすぐ消える設定に

最近の車は、ライトを消しても車内灯やサイドのライトがしばらく点灯したままになるものが多くなっています。また、ドアを開けたときに車内灯が点灯するのも、暗い星を見る上では、自分にとっても他人にとっても邪魔になります。

現地に着く前に、車のマニュアルを調べて、車内灯はすぐ消える設定にしておきましょう。(点灯ボタンを長押しすると常時消灯モードになる車種が多いようです)

スマホの画面は暗くしておこう

この待ち時間の間に、スマホの光量を調整し、一番暗い状態にしておきましょう。暗闇に慣れれば、それでも眩しいほどに感じられるはずです。設定で「Night Shift(ナイトシフト)」状態にしておくと、眼に刺激を与えにくい暖色系の色になり、星見には有効です。

左:明るさ最大、Night Shiftオフ。
右:明るさ最小、Night Shiftオン。

車を出て空を見上げよう

眼と耳が慣れたら、車外に出てみましょう。
いい天気なら、きっと降るような星空が見えているはず!
この時ばかりは、気持ちのおもむくまま、声を上げても大丈夫です!

「すげー」「やべー」「うわー」

星見に訪れた若者たち。車を出ると歓声が上がった。

 

周囲の確認

ひとしきり盛り上がったら、気を取り直してさらに周囲の確認を。

方角

アプリ「方位磁石」で東西南北を確認します。iPhoneなら、ホーム長押し−>Siri−>「方位磁石」でOKです。

天気

雲一つない空気の澄んだ状態が理想ですが、下の写真のようなはっきりとしたちぎれ雲であれば、じゅうぶんに星空を楽しむことができます。

やっかいなのは、薄く広がった雲。晴れているのに、なんだかぼんやりして星がキリッとしていない時は、残念ながら悪条件。

 

雲量3〜4。この程度の雲ならじゅうぶん星空は楽しめます。

雲は基本的には西から東に向かって流れます。季節・条件によって例外もありますが、しばらく上空の雲の流れを観察すれば、流れる方向を知ることができます。

ちなみに、最高の条件の星空の下では、雲は背景の空よりも暗く、真っ黒に見えます。逆に、街灯りや月明かりがあると、雲は背景の空よりも明るく、ぼんやり白く見えます。

安全確保

昼間はさして危険のない駐車場ですが、暗闇の中では、車止めのブロックやチェーン、荒れた舗装、溝など、思わぬ危険があります。周囲にこういったものがないか、確認しておきましょう。また、トイレ・自販機がある場合は、一度往復し下見しておきます。

これらの安全確認の時は、頭に付けるヘッドライトは明るい白い状態にしておきましょう。安全のための灯りは必要なものと考えて問題ありません。

一度安全を一通り確認できたら、ライトは「赤色モード」にして、周囲にまぶしい光を散らさないようにしましょう。

いよいよ星見!

ゆっくり・じっくり眺めてみよう

ここまで長い冒険でしたね・・ようやく星空タイムです!
まずは、何の前提もなく、星空をゆっくり眺めてみましょう。

一番明るい星はどれでしょうか?次に明るい星は?どんな色をしているでしょうか?キラキラとまたたいていますか?

明るい星を2個3個10個と数えたら、次は暗い小さい星を探してみましょう。まさに星の数ほどあるはずです。

いろんな方角を見てみる

おそらく、頭の真っ直ぐ上(天頂)付近が一番空が暗く星がよく見えているはずです。
そこから眼を地上の方に下げて、北・東・南・西の空を順に見てみましょう。

7月30日 20時45分ごろ相当の空。福岡県小石原。

遠くに街のある方向はより明るく、そうでない方向はより暗いはずです。日本地図の上に自分をイメージして、明るい街灯りがどの街によるものか、想像してみましょう。

天の川を見つけよう

条件のよい場所であれば、天の川ははっきり流れているはずです。ひょっとしたら、雲と間違えているかもしれません。

天の川にも、濃い(明るい)部分と淡い(暗い)部分があります。眼をそらし気味にして天の川を見てみましょう。まっすぐ直視するよりも、よく見えませんか?

「そらし眼」のテクニックを覚えよう

この「そらし眼」ですが、ちゃんとした科学的な根拠があります。

視力回復の研究ノート・「捍体細胞」と「錐体細胞」


網膜の視細胞には、2種類があります。
それは、「捍体(かんたい)細胞」と「錐体(すいたい)細胞」です。(「捍体」は「杆体」とも書きます)
(中略)
捍体細胞は、うす暗いところで力を発揮し、「わずかな明暗」を鋭く感じる力をもっています。そのかわり、「色」を感じることはできません。

人間の眼は、見つめた中心方向は細かいものまで見える反面、暗いものは苦手なのです。逆に、中心からすこしはずれた方向(上の図のピンク色のドーナツ状の部分)は、より暗い光まで感じることができるのです。

この部分の有効に使うコツは、見たい方向に視線を向けたあと、ほんの少し視線を「そらす」こと。
この「そらし眼」テクニックをマスターするだけで、星空の楽しみは倍増しますよ!

月と惑星を探そう

「月を見たことがない」人はたぶんいないと思いますが、惑星を意識して見たことのある人は少ないのではないでしょうか。

金星、木星、土星、火星の4つの惑星は、どれも一等星よりも明るいので、場所さえわかっていれば簡単に見つけることができます。

今年の夏、見つけやすいのはその中でも木星と土星。

再掲;パソコンソフトSUPER STAR Vで見た21時頃の星空。

木星は空が暗くなってすぐの西の空にあり、7月30日前後ならちょうど近くに月があって見つけやすくなっています。

また、土星は天の川の一番濃い部分のすぐ右、さそり座の近くにあって、こちらも簡単に見つけることができるでしょう。

星座を探そう

星座の起源はとても古く、古代メソポタミア文明以前ともいわれています。これが古代ギリシャに伝わり、ギリシャ神話の体系に取り込まれ、紀元前9世紀のホメロスの叙事詩にはおおぐま座、オリオン座、うしかい座などが出てくるそうです。

細かい話はさておいて、明るい目立った星並びがあればそれを何かになぞらえたくなるのは、人間の根本的な行動といってもいいでしょう。

古代人のそんな発想と行動をなぞりなおすのは、星座の楽しみ方の一つ。

アプリ「星座表」よりキャプチャ

たとえばさそり座。ホンモノの「さそり」って見たことありますか?たぶん古代のギリシャにはうようよしていたんでしょうね・・噛まれて死んだり–;;;

そんな強烈な印象のさそりであれば、この星並びを見れば「当然これってさそりでしょう!」というところ。
頭の2つの星と、しっぽの近接した2つの星もポイント高。
これがなければ「へび」だったかもしれません。

アプリ「星座表」よりキャプチャ

もうひとつ、いて座。
この星座、ギリシャ神話に登場する半人半馬の「ケンタウロス(ケンタウルス)」なのですが、どんなに想像をたくましくしても馬の下半身は見えてきません^^;

しかも、「ケンタウルス座」は別にあるし。ただ、「弓」の部分の星並びはなるほどと納得できます。これはもしかして「弓」ありきで神話のつじつまを合わせるためだったのか?と邪推もしたくなりますね^^

Wikipedia・いて座

いて座の由来と神話について、いくつかの説が取り上げられています。

ギリシャ神話を知らなくても星はじゅうぶん楽しめるのですが、あれこれ調べながら星並びを辿ってみるのも、なかなか興味深いものです。

流星をみよう

星見に出かけたのならば、流星のひとつふたつはぜひ見て帰りましょう。方法はカンタン。ねころがって、空を眺めるだけです。

運が良ければ、10分も眺めていれば1個は流れるはずです。
特に7月〜8月は1年で最も流星が多く流れる時期。1時間に20個、30個見られることもまれではありません。

6等星まで見える理想的な条件の場合、特定の流星群とは関係ない流星(散在流星)が、毎時10個程度観測できるといわれています。8月のペルセウス座流星群や12月のふたご座流星群で毎時50個前後。そのほかのマイナー流星群では、せいぜい毎時10〜20個程度です。

ネットメディアでは、大して出現数のないマイナー流星群でも派手に取り上げられたりしますが、はっきりいって若干の波はあるものの、流星は年中流れています

白山室堂で見た流星

むしろ大事なことは、時期よりも「星がしっかり見える場所かどうか」。6等星まで肉眼で見られる三つ星の空と、4等星までしか見られない1つ星の空では、見られる流星の数はおおまかにいって10倍〜15倍くらいも違ってきます。
(つまり、4等星までしか見えない空だと、流星は1時間眺めていても1〜2個しかみられないということです)

満天の星空に出会えたときこそ、流星を眺めるチャンスなのです!

マナーと気配り・傾向と対策

星見の際に心がけたいのは、この場所には、自分たち以外の他の人が、すでに来ている・来るかもしれない、ということです。

「夜の暗闇の駐車場」には、不思議なことに?それぞれ違った目的のいろんな人がやってきます。無用のトラブルを起こさないためにも、お互いが心地良い時間を過ごすためにも、他の人への気配りの気持ちを持ちたいものです。

ここでは、様々なタイプ別の特徴と、気配り項目をまとめてみました。

カップル

若い二人は神出鬼没。どこからともなく現れ、30分から70分程度で去っていきます。。車から出てくることは少ない模様。
無理に声をかけず、そっとしてあげましょう

車中泊

キャンピングカー、カーテンを引いた大きなワンボックスは、車中泊の可能性が高いです。無理に声をかけず、大きな物音を立てないように注意して、そっとしておきましょう

不審な?人

こればかりは貴方の人生経験で判断してください。
ヤバいと感じたらさっさと逃げましょう

 

本格的星屋さんその1・「眼視」の人

出典:笠井トレーディングHP

こんな望遠鏡を立てている人がいたら、それは「眼視観望=望遠鏡を使って、肉眼で星を眺めて楽しむタイプ」の人です。

気さくで親切な人が多いので、運良くお友達になれれば、望遠鏡を覗かせてもらえるかもしれません。

礼儀をわきまえてきちんと話しかければ、親切にいろいろ教えてもらえることが多いです。

本格的星屋さんその2・「天体写真」の人

こんな望遠鏡を立てている人がいたら、それは本格的「天体写真」の人です。ケーブルがあちこちに延びた大きな筒・筒の端にはカメラか大きな箱・筒の先には銀または黒色の巻物・小さなテーブルにパソコン・これに2つ以上あてはまればこのタイプ。

気さくで親切な人が多いのですが、望遠鏡は写真専用なので普通は覗かせてもらうことはできません。忙しそうにしているか、ヒマそうに車の中にいるかのどちらかが多く、話しかけるチャンスはあまりありません。

でも、ヒマそうなときに礼儀をわきまえてきちんと話しかければ、親切にいろいろ教えてもらえることが多いです。

本格的星屋さんその3・「星景写真」の人

シンプルにカメラと三脚だけを立てている人がいたら、それはたぶん「星景写真=星の入った風景写真」の人です。

たいていは、風のように現れて、ほとんど灯りを灯さず、ポイントを変えながらあちらこちらで撮影し、風のように去っていきます。

このタイプの人は、星と一緒に風景を撮るので、撮影中の風景が他人の車のヘッドライトや明るい懐中電灯で照らされてしまうことに敏感です。はっきりいうと嫌がります
そんなときでも決して悪態をついたりしない器の大きな人が多いのですが、心の中では「チッ!」と叫んでいるはず・・

三脚にカメラを付けた人が近くにいる場合は、灯りを灯す前に必ず「今ライトつけてもだいじょうぶですか?」と一声かけるようにしましょう。

礼儀をわきまえてきちんと話しかければ、親切にいろいろ教えてもらえることが多いです。

自分と同じような星見の人

「すげー」「やべー」「うわー」と、星を眺めて盛り上がっていたら、間違いなくこれです。仲良くなれそうなら、声をかけてみるのもいいかもしれません。

ただし、盛り上がりすぎるのは禁物。車中泊さんを起こしてしまうかもしれないし、カップルさんのオジャマになるかもしれません。不審な?人の標的になるかも・・そこはひとつ、気配りで・・

それと、↑の本格的星屋さんを困らせないようにしましょう。灯りの点灯は最小限に。星屋さんのすぐ近くで、ライトで空を照らしたり、ライトで文字を書いたりして遊ぶのは、某国のミサイル発射実験並みの緊張感を現場にもたらすこともあるので、気を付けましょう。

「このくそ野郎めが、また空をビームで照らしやがった!ほかにすることがないのかよ。」空をライトで照らす人に対して、ストレートに怒りをぶつけるツイートの例。(本ツイートは創作であり、実在の人物・事象とは一切関係ありません)

さらに星空を楽しむためには?

いかがでしたか?ここまでお読みいただきありがとうございます。本記事を参考に、一人でも多くの方が美しい星空を体験いただければ、筆者にとってこれほど嬉しいことはありません。

最後に、一度の星空体験ではあきたらず、「もっと星空を楽しみたい」とお考えになった方のために、さらなる楽しみ方を簡単にご紹介します。

星をもっと楽しむための小道具

双眼鏡

小型のものであっても双眼鏡がひとつあるだけで、星空の楽しみは何倍にも大きくなります。月は肉眼よりもずっと大きく、いくつかのクレーターも見ることができます。星はより明るく、色まではっきり見ることができるでしょう。

上の双眼鏡は、安く入手できるものの中では一番のオススメ。口径50mm10倍は理想の星見スペックです。
1キロ近くあって少し重いですが、これ一つあれば星見には末永く使えます。

手軽な星見であれば、もっと小型なものが使いやすいです。
双眼鏡はピンキリで、高いものは驚くほど高性能なのですが、最近の製品は超安いものでもそれなりによく見えるので、5000円以下の双眼鏡のほうがはるかにコスパは高いです。

デジタルカメラ

美しい星空を眼にしたら、それを記録したくなるもの。
最近のデジタルカメラは高性能なので、10秒〜30秒くらいの長時間露出が可能なものであれば、あとは三脚一つで、手軽に星を撮影することができます。

詳しくは以下の記事を参考に!

【studio9】初級者必読・天体撮影ガイド4選

天文現象を楽しもう

一生に一度は見たい級の皆既日食から、毎月のように出てくる「なんちゃらムーン」まで、天文現象とは厳密には呼べないものも含めて、さまざまな「事象」があります。

詳しくは別の機会に譲るとして、ここでは2つだけご紹介しましょう。

皆既月食

2014年10月の皆既月食

次に見られるのは2018年1月31日。時間帯は22時頃を中心とした前後2時間程度、太平洋側では好天が期待できる季節でもあり、防寒を万全にしてぜひ見てみたいものです。

惑星と月の接近

月は約一ヵ月周期で地球をまわっているので、その間1回は惑星に接近します。なので、「月と惑星1個」の接近はあまり珍しくはないのですが、「月といくつかの惑星」の接近や、「惑星同士の接近」はたまにしか起きません。

アプリ「スカイガイド」からキャプチャ

2017年12月14日木曜日の早朝。細い月と、火星・木星が接近します。この接近自体はさほど珍しくはないのですが、特筆すべきはこの晩は3大流星群の一つ「ふたご座流星群」が最も多く流れる日。

空の条件が良ければ、1時間50個くらい見られる可能性もあります。

こういった天文現象は、天文関係のサイトをまめにチェックすれば、もらさずに知ることができます。
もちろん、いまご覧いただいている弊サイトも、その一つです^^

アストロアーツHP:星空ガイド
https://www.astroarts.co.jp/alacarte/index-j.shtml

毎月の天文現象が掲載されています。

ナショナルジオグラフィック日本語版・2017年、絶対に見たい天体ショー7選http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/17/010500001/

ぐぐれば出てくる、「絶対に見たい××」系。
検索すればほかにも山ほど出てきます。

星だけじゃない、夜の楽しみ方

「夜ならではの美しさ」は星空ばかりではありません。

雲仙から見たムーンロード。

 

身近なものでは「ムーンロード」もその一つ。
沈む月の光が海に反射しできあがる光の道。波とともに揺らめく姿はとても幻想的。

このほかにも、人工光のない場所で見る朝焼け・夕焼けの色の変化の美しさや、人気のホタル、最近ホットな夜光虫、さらにはオーロラなど、夜ならではの自然の美しさは様々。

夜の襟裳岬、灯台のビームが照らした海。

 

美しいものは何も自然だけに限りません。街の夜景・工場の夜景・灯台・飛行機・人工衛星など、人工のものでも美しいものは様々。ネット界隈でも時折議論(炎上?)になる「ライトアップ」ですらその一つです。

自由な心ひとつあれば、「美しいもの」はいろいろな場所に見つけられるものではないでしょうか。

もっと星空と宇宙を知りたい人に

人間の感性に訴える「美しさ」とは別に、理性と知性に訴える「宇宙の神秘」もまた興味深いものです。

感性で感じた美しさを、論理と科学の側面から考えてみるのもいかがでしょうか?

ここでは、ややこしいことはなしに、2つだけ良書をご紹介しておきます。

 

ありがとうございました!前編中編、そしてこの後編と、お読みいただいてありがとうございます!
これを出発点に「美しい星空」の楽しみ方についての記事をますます充実させていきますので、お楽しみに!

 

http://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2017/07/IMG_2073-1024x774.jpghttp://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2017/07/IMG_2073-150x150.jpg編集部星空入門天文Joy!  この記事の概要空から星が降ってくるような「満天の星空」を見たいと思った方にお贈りする、星空に出会うための完全ガイド、いよいよ完結! 前編と中編では、星空体験の素晴らしさと、星空に出会うためのヒント、星見スポットの探し方をご紹介しましたが、この後編では、実際に星見に行く際の様々なノウハウと、さらに興味を持たれた方への次のステップへのヒントをお届けします! これさえ読めば、あなたも満天の星空に出会えるかも!   前編・中編はこちらからどうぞ! 前編・至高の星空体験 中編・星見探しの冒険  さあ、星見に出かけよう! 前編、中編をお読みいただいて、 そうだ、星見に行こう。 という気になってきたあなたにお送りするこの後編。今回は実際に星見に出かける想定での完全ガイドです! まずは、行き先の設定はこちらです。 もっと人口の多いエリアにしたかったのですが、ケーススタディということでお許し下さい^^; ご注意) 本稿執筆時(2017/7/7)、下記の東峰村を中心とするエリアは「九州北部豪雨」による災害の最中にあります。 災害の状況と復旧の目処が明確になるまでは、下記エリアへの不要不急のお出かけはご遠慮ください。 また、現地の皆様のご無事と一刻も早い収束と復旧をお祈り申し上げます。 福岡県の南東部。東峰村です。 目的の場所は右の「産業会館」です。 日付の設定は、今年(2017年)の7月29日土曜日としました。 夏休みの海の日三連休の次の週末です。平年通り梅雨明けしていれば好天が期待できます! 計画を立てよう 移動手段 この撮影地の場合、公共交通機関で行くのはほぼ不可能です。 朝まで粘らないと帰りの手段がありません。 車が使えないと、星見に出かけられる場所の選択肢は圧倒的に制限されてしまいます。これはなかなか難しい問題なのですが、ここでは移動手段は車ということにします。 また、カメラや望遠鏡などの重い機材を持ち込まないのであれば、バイクという手段もあります。移動距離の少ない離島などでは自転車も有効な手段です。 薄明と月の出入の時刻を調べる 計画の基本になるのは、太陽と月の位置。 太陽と月がそれぞれ沈む(または昇る)時刻を調べます。 前編では「(都市名)の潮汐表」をオススメしましたが、内陸部は出てこないのでした・・今回は代わりに国立天文台の「今日のほしぞら」を使用しました。 国立天文台・今日のほしぞら http://eco.mtk.nao.ac.jp/cgi-bin/koyomi/skyviewer_gm.cgi 天文薄明が終わるのが20:55、月齢6.1の上弦前の月が沈むのが23:10。日没後に現地入りして、月が沈んで天の川が良く見えるまで粘って、深夜0時ごろに引き上げる予定を組みます。 簡単な時間割を作ってみる 参考までにスケジュールソフトで時間割表を作ってみました。 普通はここまでやる必要はないのですが、節目となる時刻は、手帳にでもメモしておくことをおすすめします。 スケジュール表を見てみると、移動に2時間かかるのはともかかくとして、そこからなんと4時間も現地にいることになります。 そうなんです。星見って、いろいろ見ようとすると結構長丁場になるんですよね・・月没までの2時間、どうやって過ごしましょうか^^ 星空ツアーなど、ガイドしてくれる人が同行する場合はいいのですが、そうでない場合はいかに退屈せずに時間を過ごすか、事前の準備がものをいいます。 ここでは無責任に「付近を散策」と書きましたが、見知らぬ人里離れた土地の夜の散歩なんてほとんど肝だめしですね^^; 散策するなら、明るいうちに下見しておきましょう。 2時間一緒にいても退屈しないような仲間と連れだって行くのが一番かもしれません。 どんな星空が見えるかをチェック スマホアプリやパソコンのプラネタリウムソフトで、どんな星空が見られるかをチェックしておきましょう。 アプリ「星座表」で見た21時頃の南の空と西の空。 月はあまり太くないので、天の川は条件が良ければこの時点でじゅうぶんに見られるはずです。また、月と接近した木星の姿が楽しみです^^ パソコンソフトSUPER STAR Vで見た21時頃の星空。 スマホアプリは、現地で空にかざして星座を確認するにはとても便利なのですが、全天を一望できるパソコンのプラネタリウムソフトは家でじっくり星空を確認するのに便利です。 同じく、こちらは24時ごろ。 天の川が西に移動してゆき、24時ごろに空をまっぷたつに横断するであろうことがわかります。この天の川の天球横断は、天の川を最もよい条件で見られるタイミングの一つです。ぜひ見逃さないようにしましょう。 3時間経つだけでも、ずいぶんと星空の様相が変わってくるものですね。お日さまだって朝に東から昇って夕方に西に沈むのですから、当然といえば当然なのですが、星空が時間とともにぐるりと空を回っていくさまをつぶさに眺めていると、宇宙の中の地球、太陽系の中の地球を実感することができます。 当たり前のことを、体験として実感する。星見の醍醐味の一つです。 流星群をチェック! 実は、7月から8月にかけては、一年中で最も流星が多く流れる時期。特に、7月下旬ごろにピークを迎えるみずがめ座δ流星群のピークは7月30日の明け方。まさにビンゴです! 出現数は1時間あたり10個程度とあまり多くないのですが、この時期は特定の流星群に属さない流星も多く流れ、1時間じっくり星空を眺めていれば、ほぼ確実に流星を見ることができるはずです。 アストロアーツ 2017年7月30日 みずがめ座δ南流星群が極大 計画をコンパクトに持ち歩く方法 出発前のさまざま「調べ物」は、現地でもネットさえ繋がればやれないことはないのですが、通信が切れたり遅かったり、現地でいろいろスマホをいじくるのは面倒です。 スマホのアプリを活用して、通信が切れてもデータを閲覧可能なツール(DropBoxなど)にデータを転送しておくと便利です。 簡単にやるには、スマホの「画面キャプチャ」を取っておくことや、PCのキャプチャ画像をメールで自分に送信しておく方法もあります。 星見に必要な装備 自分の眼だけで星見するのであれば、大げさな装備は特に必要ありません。でも、人里はなれた夜に安全・快適に行動するためには、外すことのできないアイテムもあります。 ここでは、星見の必須アイテム、あると便利なアイテムをご紹介します! 必須アイテム モバイルバッテリー スマホ・携帯電話は現代人のライフライン。安心して行動するためにも、モバイルバッテリーは必須!小さくて携帯に便利なものを1つは用意しておきましょう。 ライト 夜間の行動の必需品。スマホのLEDでも代用不可能ではないですが、頭に付けられるヘッドランプ型で、暗闇でも眼に優しい赤色光のついたものがオススメです。 ビクセンの製品は、望遠鏡メーカーだけあって、特に暗くした赤色発光が可能になっていて、さらにオススメ。 赤色モードが付いていないライトしかない場合、スマホで代用できるアプリがあります。 ビクセン・ナイトビジョンライト https://www.vixen.co.jp/app/nightvision-light/ なんのことはない、単に画面が赤くぼんやり光るだけのアプリなのですが、タッチ操作で簡単に輝度を調節できるので、眼に刺激を与えす手元を照らす用途にはじゅうぶんに使えます。 防寒着 星を見るのは気温の下がる夜、しかも標高の高い場所であることが多く、寒さへの備えは必須。 標高が1000メートル上がると気温は6度も下がります。下界では熱帯夜であっても、気温は20度を下回る換算。真夏でもある程度の防寒対策が必要です。長袖のジャケットかパーカーを準備しておきましょう。 歩きやすい靴 車で星見とはいえ、アウトドアには変わりはありません。熊やイノシシに出くわしたときにダッシュで逃げられる程度の靴を履きましょう。ビーサンやハイヒールは厳禁です! 度の合ったメガネ、コンタクト メガネが合っているかどうかで星の見え方はぜんぜん変わります。度数の弱めのメガネと強めのメガネを使い分けられている方は、度の強めのメガネをお忘れなく。また、色の入っている度付きサングラスタイプものは星見には不向き。高齢者の方は、遠近両用メガネも星見には不向きです。 あると便利なもの シートとマット 最高の星見姿勢は「ごろ寝」です。大きめの防水性のあるシートと、背中が痛くならないようなマットがあると快適です。枕や寝袋があればなおよしです。 イス アウトドア用の折りたたみ椅子があると便利です。ホームセンターで安いものは1000円くらいで手に入ります。 軽食、おやつ、飲み物 長丁場になるとおなかも空いてきます。おにぎりやサンドイッチ、お弁当などの軽食、甘いものやスナック菓子など、じぶんのお気に入りの食べ物・飲み物を用意しておくと、ささやかな憩いのひとときが楽しめます。 お湯を沸かす道具を準備してカップラーメンやコーヒーというのも乙なものなのですが、慣れない場所でお湯を使うのはあまりオススメできません。最初の星見の場合はあまり欲張らず、すぐに口にできるものにしておくのが吉です。 魔法瓶をひとつ用意しておくと、途中コンビニで熱いコーヒーを買って入れることも可能。寒い時期でも数時間はじゅうぶん熱い状態を保てます。 虫除け 夏場、標高のあまり高くない場所では、蚊などの虫対策も必要です。肌に塗るタイプや、腰にぶら下げるタイプなど、ホームセンターかアマゾンにいけばいろいろ売っています。 古典的な「蚊取り線香」もかなり強力。ただし、火の始末には注意しましょう 様々な危険と避けるための心得 人気の少ない野外で、しかも夜間の行動には、さまざまな危険が伴います。お気楽な星見のようでも、実際は「冒険」であることを忘れないでくださいね。 動物 野生動物は星見の中の最大の危険要素。クマに襲われようものなら命の問題です。特に最近は、動物の生息域がどんどん人里にまで下りてきており、郊外に星見に行けば必ず動物に遭遇するものと思っておくべきです。 鹿(シカ) 鹿は一番遭遇率の高い動物です。今回例に挙げた場所でも、ほぼ毎回鹿に遭遇しています。 鹿は人間を積極的に襲うことはまれなので、恐れる必要はありません。ただし2点だけ注意しておきましょう。 一つめは鳴き声。鹿は甲高い声で「ピー」と鳴くのですが、暗闇でとつぜん鳴き声が響くと、けっこうびっくりします。この正体が鹿だとしらないと、だんだん怖くなってしまいます。(経験者は語る・・)「ピーと鳴く 鹿はぜんぜん 怖くない」と覚えておきましょう。 もう一つは、路上での飛び出し。スピードが出ている状態で鹿に飛び出されると運転を誤ったり、衝突して車を壊すことがあります。鹿の飛び出しにはくれぐれも注意してください。 山中比叡平の防災 http://blog.livedoor.jp/shagal/archives/51901301.html  山中越えの山中バイパスは夜間にはよくシカが飛び出してきます。私も鹿に飛び出されて衝突寸前になったことが何度もありました。暗い山からいきなり飛び出してきますので、制限速度の40km/h以下で走っていてもタイミングによっては衝突を避けられません。急ブレーキを踏むことになりますので、後ろの車が車間距離をとっていなければ追突事故をもらうことにもなります。鹿にぶつかって車が損傷したという話も時々聞きます。山中バイパスを夜間に走る時には特に注意が必要です。 「山中越え」は、京都北白川から比叡山を越えて琵琶湖に向かう二車線の道路ですが、こんな大都市に近い場所でも鹿が普通に出没するようになってきています。 猪(イノシシ) 猪も最近増えてきているようです。鹿とちがって、猪は人間を襲う(体当たりしてくる)場合があり、遭遇確率的には熊よりもある意味危険です。体重もあり運動能力の高いイノシシに突撃されるとただではすみません。 とはいえ、猪も臆病な野生動物ですから、基本的には人間の気配のする場所には近寄ってきません。山奥であっても、駐車場の中で、話し声や音楽などの猪に聞こえるような音を出し続けておけば、襲われるような確率はかなり低くなるといえるでしょう。 一番怖いのが移動中の出会い頭。あまり周辺をウロウロせず、かたまって行動するようにしましょう。 危険生物MANIAX・イノシシ https://inoshishi.etc64.com ただし、いきなり角を曲がったら出会い頭に、というパターンは危険。 興奮したイノシシは人間を倒さねばならない敵とみなし、突撃してくることがあります。 前述した脅威の運動神経で突進されては人間はひとたまりもありません。 熊(クマ) クマは日本最大の危険動物です。猪と違って、鋭いツメを持っているので、これでザックリやられようものなら、命を落とすか、一生の傷を負うことになります。リアルの世界の冒険は、ゲームと違って死んでしまったらそれですべて終わりです。 熊対策については、下記リンクを参照してください。 危険動物MANIAX・ツキノワグマ https://tsukinowaguma.etc64.com 危険動物MANIAX・ヒグマ https://higuma.etc64.com 人間もヒグマと遭遇したくないですが、それは向こうもそうです。 できればヒグマのほうも人間と遭遇したくないと思っています。 まずは不必要にクマが出没するような場所に立ち入らないことです。 編集子は実際に使ったことはないので、具体的にオススメすることはできないのですが、熊よけスプレーはいろいろ出ているようです。ただし、風下で使用すると自分に降りかかってくるとの説もあり、自己責任でお願いいたします・・・ 蛇(ヘビ) 本州のマムシ、南西諸島のハブが代表です。 ヘビを避けるには、まずは草むらに入らないこと。また、長靴などを履き、足に地肌をださないことです。 危険動物MANIAX・マムシ https://mamushi.etc64.com 危険動物MANIAX・ハブ https://mamushi.etc64.com 一番分布が広く、個体数も多いハブ。 全長は大型になると2メートルを越える場合もあり、毒が強い。 白~黄色地で、黒い細かい網目模様が特徴。 特にネズミを好んで食べる。 天候の急変 よほどの荒天でないかぎり、天候が急変しても車に逃げ込めばたいていは大丈夫でしょう。安全地帯である車から、あまり遠く離れないようにすることです。 ただし、南西諸島、特に八重山地方のスコールには要注意です。星がバッチリ見えている状況でも、情け容赦なく突然土砂降りになることがあります。 天候に関していえば、急変よりもむしろ大雨・台風などの「悪天候の直後」に注意が必要です。台風が通過した直後は空の澄んだ好天になることが多いのですが、こんな時に山深い道に入ってしまうと、倒木や落石などに遭遇する危険があります。大雨の直後は避けるべきです。 のり面・土木工事の材料屋さんケイエフの情報発信Blog http://blog.norimen.com/article/406278038.html 海辺 海辺は、視界が開けていること・海側には人工光が基本的にはないことから、星見の好ポイントになることが多いのですが、波が高いときに海岸に近づくのは禁物です。 広い砂浜ならまだよいですが、磯・岩場はもちろん、波止場も危険地帯。夜に突然の高波にさらわれてしまったら、ほぼ確実にあの世行きです。夜の海では道路よりも海側には近づかないことが賢明です。 冬場 寒冷期は、道路の降雪・凍結に注意が必要です。 標高の高い場所の日陰では、一度積もった雪はなかなか溶けず、氷結・融解を繰り返してカチコチに凍っている場合があります。 何より、冬の星見はメチャ寒いです。氷点下はザラ、マイナス10度を下回ることも少なくありません。寒冷期はあまり無理せず、標高が低く寒すぎない場所を選びましょう。それでも夜間の行動の際は冬用タイヤ、チェーン必携です。 筑波山の林道案内 http://tsukubasan2983.web.fc2.com/onigasakusen.html 冬場の降雪後はこんな感じですので、車輌での通行だけではなく徒歩でもスリップ転倒しそうな状態です。 さあ、星見に出発! 計画を立てて、装備を準備し、想定される危険をひととおり確認したら、いよいよ出発です! 出発前のチェックリスト 旅に付きもの?なのが忘れ物。出発の前にしっかり確認しておきましょう。 計画 ・目的地までのルート ・日出日入、月齢、月出月入、薄明時刻のメモ ・行動スケジュール ・どんな星空を見るか? 装備 □スマホ □モバイルバッテリ □ライト □防寒着 □歩きやすい靴 □度の合ったメガネ、コンタクト ▽シート ▽マット ▽イス ▽虫除け 出発後 □ガソリン満タン ▽軽食、おやつ、飲み物 □:必須 ▽:あると便利 目的地に向けて出発! カーナビに目的地を設定 カーナビに目的地か、目的地近くの目印になる場所を設定しましょう。カーナビがあったとしても、行ったことのない真っ暗な場所に初めて行くのは心細いものです。 なるべくなら、真っ暗になる(天文薄明が終わる)前に、現地に着くように計画するのがオススメです。 ガソリンは満タンに スマホと同様、車のガソリンも生命線です。ガソリンに余裕があれば、寒いときに暖をとったり、スマホの充電なども心おきなくできます。出発したら、すぐ満タンに給油しておきましょう。 コンビニに立ち寄ろう 市街地ではそこかしこにあるコンビニも、郊外に出るととたんに数が減ってきます。星がよく見える場所にはコンビニはないと思ってください。九州の場合、高速のICから目的地までの間の数十キロ、全くコンビニがないことは普通にあります。 面倒でも目的地までの最終コンビニを事前に調べておくか、市街地を抜ける前にコンビニに立ち寄っておくようにしましょう。コンビニに寄ったら、食料・飲み物などを調達し、一休みしましょう。 夜道の運転には気を付けて 夜の運転、特に疲れが出始める&野生動物が現れやすい帰り道は注意しましょう。深夜は車が少なくなるのでついスピードを出しがちですが、油断は禁物。我が家に無事に帰り着くまでが遠足冒険です^^ 現地到着したら 車を停めるまでの注意 目的地に着いたら、車を安全な場所に駐車します。駐車するまでの間は、貴方が従うべきものは道路交通法とほんの少しの気配りだけです。 ハイビーム・フォグランプやライトの直射は避けるべきですが、停車するまではしっかりライトを付けたままにし、周囲と自分の安全を最優先にするべきです。 交通量の多い場所の場合、通過する車や出いるする車のライトがどうしてもじゃまになります。出入り口からできるだけ離れた奥のポジションがベストなのですが、そういう場所は競争率が高くなります。   車を停めたら、まず暗闇に眼を慣らそう 車を安全に停止したら、ヘッドライトはすぐに消灯し、エンジンを停止しましょう。夜の田舎の駐車場では、煌々とライトを照らされて嬉しい人はいないはずです。 ライトを消してエンジンを切るのは、暗闇に眼と耳を慣らし、周囲の気配に敏感にするという、安全上の意味もあります。 3分間ほどそのまま待って眼が慣れてくるにつれ、周囲の状況がすこしずつはっきり見えてくるはずです。他に人がいるのかどうか、街灯りと星明かりがどれくらいあるのか、などなど。 車の車内灯はすぐ消える設定に 最近の車は、ライトを消しても車内灯やサイドのライトがしばらく点灯したままになるものが多くなっています。また、ドアを開けたときに車内灯が点灯するのも、暗い星を見る上では、自分にとっても他人にとっても邪魔になります。 現地に着く前に、車のマニュアルを調べて、車内灯はすぐ消える設定にしておきましょう。(点灯ボタンを長押しすると常時消灯モードになる車種が多いようです) スマホの画面は暗くしておこう この待ち時間の間に、スマホの光量を調整し、一番暗い状態にしておきましょう。暗闇に慣れれば、それでも眩しいほどに感じられるはずです。設定で「Night Shift(ナイトシフト)」状態にしておくと、眼に刺激を与えにくい暖色系の色になり、星見には有効です。 左:明るさ最大、Night Shiftオフ。 右:明るさ最小、Night Shiftオン。 車を出て空を見上げよう 眼と耳が慣れたら、車外に出てみましょう。 いい天気なら、きっと降るような星空が見えているはず! この時ばかりは、気持ちのおもむくまま、声を上げても大丈夫です! 「すげー」「やべー」「うわー」   周囲の確認 ひとしきり盛り上がったら、気を取り直してさらに周囲の確認を。 方角 アプリ「方位磁石」で東西南北を確認します。iPhoneなら、ホーム長押し−>Siri−>「方位磁石」でOKです。 天気 雲一つない空気の澄んだ状態が理想ですが、下の写真のようなはっきりとしたちぎれ雲であれば、じゅうぶんに星空を楽しむことができます。 やっかいなのは、薄く広がった雲。晴れているのに、なんだかぼんやりして星がキリッとしていない時は、残念ながら悪条件。   雲は基本的には西から東に向かって流れます。季節・条件によって例外もありますが、しばらく上空の雲の流れを観察すれば、流れる方向を知ることができます。 ちなみに、最高の条件の星空の下では、雲は背景の空よりも暗く、真っ黒に見えます。逆に、街灯りや月明かりがあると、雲は背景の空よりも明るく、ぼんやり白く見えます。 安全確保 昼間はさして危険のない駐車場ですが、暗闇の中では、車止めのブロックやチェーン、荒れた舗装、溝など、思わぬ危険があります。周囲にこういったものがないか、確認しておきましょう。また、トイレ・自販機がある場合は、一度往復し下見しておきます。 これらの安全確認の時は、頭に付けるヘッドライトは明るい白い状態にしておきましょう。安全のための灯りは必要なものと考えて問題ありません。 一度安全を一通り確認できたら、ライトは「赤色モード」にして、周囲にまぶしい光を散らさないようにしましょう。 いよいよ星見! ゆっくり・じっくり眺めてみよう ここまで長い冒険でしたね・・ようやく星空タイムです! まずは、何の前提もなく、星空をゆっくり眺めてみましょう。 一番明るい星はどれでしょうか?次に明るい星は?どんな色をしているでしょうか?キラキラとまたたいていますか? 明るい星を2個3個10個と数えたら、次は暗い小さい星を探してみましょう。まさに星の数ほどあるはずです。 いろんな方角を見てみる おそらく、頭の真っ直ぐ上(天頂)付近が一番空が暗く星がよく見えているはずです。 そこから眼を地上の方に下げて、北・東・南・西の空を順に見てみましょう。 遠くに街のある方向はより明るく、そうでない方向はより暗いはずです。日本地図の上に自分をイメージして、明るい街灯りがどの街によるものか、想像してみましょう。 天の川を見つけよう 条件のよい場所であれば、天の川ははっきり流れているはずです。ひょっとしたら、雲と間違えているかもしれません。 天の川にも、濃い(明るい)部分と淡い(暗い)部分があります。眼をそらし気味にして天の川を見てみましょう。まっすぐ直視するよりも、よく見えませんか? 「そらし眼」のテクニックを覚えよう この「そらし眼」ですが、ちゃんとした科学的な根拠があります。 視力回復の研究ノート・「捍体細胞」と「錐体細胞」 網膜の視細胞には、2種類があります。 それは、「捍体(かんたい)細胞」と「錐体(すいたい)細胞」です。(「捍体」は「杆体」とも書きます) (中略) 捍体細胞は、うす暗いところで力を発揮し、「わずかな明暗」を鋭く感じる力をもっています。そのかわり、「色」を感じることはできません。 人間の眼は、見つめた中心方向は細かいものまで見える反面、暗いものは苦手なのです。逆に、中心からすこしはずれた方向(上の図のピンク色のドーナツ状の部分)は、より暗い光まで感じることができるのです。 この部分の有効に使うコツは、見たい方向に視線を向けたあと、ほんの少し視線を「そらす」こと。 この「そらし眼」テクニックをマスターするだけで、星空の楽しみは倍増しますよ! 月と惑星を探そう 「月を見たことがない」人はたぶんいないと思いますが、惑星を意識して見たことのある人は少ないのではないでしょうか。 金星、木星、土星、火星の4つの惑星は、どれも一等星よりも明るいので、場所さえわかっていれば簡単に見つけることができます。 今年の夏、見つけやすいのはその中でも木星と土星。 再掲;パソコンソフトSUPER STAR Vで見た21時頃の星空。 木星は空が暗くなってすぐの西の空にあり、7月30日前後ならちょうど近くに月があって見つけやすくなっています。 また、土星は天の川の一番濃い部分のすぐ右、さそり座の近くにあって、こちらも簡単に見つけることができるでしょう。 星座を探そう 星座の起源はとても古く、古代メソポタミア文明以前ともいわれています。これが古代ギリシャに伝わり、ギリシャ神話の体系に取り込まれ、紀元前9世紀のホメロスの叙事詩にはおおぐま座、オリオン座、うしかい座などが出てくるそうです。 細かい話はさておいて、明るい目立った星並びがあればそれを何かになぞらえたくなるのは、人間の根本的な行動といってもいいでしょう。 古代人のそんな発想と行動をなぞりなおすのは、星座の楽しみ方の一つ。 アプリ「星座表」よりキャプチャ たとえばさそり座。ホンモノの「さそり」って見たことありますか?たぶん古代のギリシャにはうようよしていたんでしょうね・・噛まれて死んだり--;;; そんな強烈な印象のさそりであれば、この星並びを見れば「当然これってさそりでしょう!」というところ。 頭の2つの星と、しっぽの近接した2つの星もポイント高。 これがなければ「へび」だったかもしれません。 アプリ「星座表」よりキャプチャ もうひとつ、いて座。 この星座、ギリシャ神話に登場する半人半馬の「ケンタウロス(ケンタウルス)」なのですが、どんなに想像をたくましくしても馬の下半身は見えてきません^^; しかも、「ケンタウルス座」は別にあるし。ただ、「弓」の部分の星並びはなるほどと納得できます。これはもしかして「弓」ありきで神話のつじつまを合わせるためだったのか?と邪推もしたくなりますね^^ Wikipedia・いて座 いて座の由来と神話について、いくつかの説が取り上げられています。 ギリシャ神話を知らなくても星はじゅうぶん楽しめるのですが、あれこれ調べながら星並びを辿ってみるのも、なかなか興味深いものです。 流星をみよう 星見に出かけたのならば、流星のひとつふたつはぜひ見て帰りましょう。方法はカンタン。ねころがって、空を眺めるだけです。 運が良ければ、10分も眺めていれば1個は流れるはずです。 特に7月〜8月は1年で最も流星が多く流れる時期。1時間に20個、30個見られることもまれではありません。 6等星まで見える理想的な条件の場合、特定の流星群とは関係ない流星(散在流星)が、毎時10個程度観測できるといわれています。8月のペルセウス座流星群や12月のふたご座流星群で毎時50個前後。そのほかのマイナー流星群では、せいぜい毎時10〜20個程度です。 ネットメディアでは、大して出現数のないマイナー流星群でも派手に取り上げられたりしますが、はっきりいって若干の波はあるものの、流星は年中流れています。 むしろ大事なことは、時期よりも「星がしっかり見える場所かどうか」。6等星まで肉眼で見られる三つ星の空と、4等星までしか見られない1つ星の空では、見られる流星の数はおおまかにいって10倍〜15倍くらいも違ってきます。 (つまり、4等星までしか見えない空だと、流星は1時間眺めていても1〜2個しかみられないということです) 満天の星空に出会えたときこそ、流星を眺めるチャンスなのです! マナーと気配り・傾向と対策 星見の際に心がけたいのは、この場所には、自分たち以外の他の人が、すでに来ている・来るかもしれない、ということです。 「夜の暗闇の駐車場」には、不思議なことに?それぞれ違った目的のいろんな人がやってきます。無用のトラブルを起こさないためにも、お互いが心地良い時間を過ごすためにも、他の人への気配りの気持ちを持ちたいものです。 ここでは、様々なタイプ別の特徴と、気配り項目をまとめてみました。 カップル 若い二人は神出鬼没。どこからともなく現れ、30分から70分程度で去っていきます。。車から出てくることは少ない模様。 無理に声をかけず、そっとしてあげましょう。 車中泊 キャンピングカー、カーテンを引いた大きなワンボックスは、車中泊の可能性が高いです。無理に声をかけず、大きな物音を立てないように注意して、そっとしておきましょう。 不審な?人 こればかりは貴方の人生経験で判断してください。 ヤバいと感じたらさっさと逃げましょう。   本格的星屋さんその1・「眼視」の人 こんな望遠鏡を立てている人がいたら、それは「眼視観望=望遠鏡を使って、肉眼で星を眺めて楽しむタイプ」の人です。 気さくで親切な人が多いので、運良くお友達になれれば、望遠鏡を覗かせてもらえるかもしれません。 礼儀をわきまえてきちんと話しかければ、親切にいろいろ教えてもらえることが多いです。 本格的星屋さんその2・「天体写真」の人 こんな望遠鏡を立てている人がいたら、それは本格的「天体写真」の人です。ケーブルがあちこちに延びた大きな筒・筒の端にはカメラか大きな箱・筒の先には銀または黒色の巻物・小さなテーブルにパソコン・これに2つ以上あてはまればこのタイプ。 気さくで親切な人が多いのですが、望遠鏡は写真専用なので普通は覗かせてもらうことはできません。忙しそうにしているか、ヒマそうに車の中にいるかのどちらかが多く、話しかけるチャンスはあまりありません。 でも、ヒマそうなときに礼儀をわきまえてきちんと話しかければ、親切にいろいろ教えてもらえることが多いです。 本格的星屋さんその3・「星景写真」の人 シンプルにカメラと三脚だけを立てている人がいたら、それはたぶん「星景写真=星の入った風景写真」の人です。 たいていは、風のように現れて、ほとんど灯りを灯さず、ポイントを変えながらあちらこちらで撮影し、風のように去っていきます。 このタイプの人は、星と一緒に風景を撮るので、撮影中の風景が他人の車のヘッドライトや明るい懐中電灯で照らされてしまうことに敏感です。はっきりいうと嫌がります。 そんなときでも決して悪態をついたりしない器の大きな人が多いのですが、心の中では「チッ!」と叫んでいるはず・・ 三脚にカメラを付けた人が近くにいる場合は、灯りを灯す前に必ず「今ライトつけてもだいじょうぶですか?」と一声かけるようにしましょう。 礼儀をわきまえてきちんと話しかければ、親切にいろいろ教えてもらえることが多いです。 自分と同じような星見の人 「すげー」「やべー」「うわー」と、星を眺めて盛り上がっていたら、間違いなくこれです。仲良くなれそうなら、声をかけてみるのもいいかもしれません。 ただし、盛り上がりすぎるのは禁物。車中泊さんを起こしてしまうかもしれないし、カップルさんのオジャマになるかもしれません。不審な?人の標的になるかも・・そこはひとつ、気配りで・・ それと、↑の本格的星屋さんを困らせないようにしましょう。灯りの点灯は最小限に。星屋さんのすぐ近くで、ライトで空を照らしたり、ライトで文字を書いたりして遊ぶのは、某国のミサイル発射実験並みの緊張感を現場にもたらすこともあるので、気を付けましょう。 さらに星空を楽しむためには? いかがでしたか?ここまでお読みいただきありがとうございます。本記事を参考に、一人でも多くの方が美しい星空を体験いただければ、筆者にとってこれほど嬉しいことはありません。 最後に、一度の星空体験ではあきたらず、「もっと星空を楽しみたい」とお考えになった方のために、さらなる楽しみ方を簡単にご紹介します。 星をもっと楽しむための小道具 双眼鏡 小型のものであっても双眼鏡がひとつあるだけで、星空の楽しみは何倍にも大きくなります。月は肉眼よりもずっと大きく、いくつかのクレーターも見ることができます。星はより明るく、色まではっきり見ることができるでしょう。 上の双眼鏡は、安く入手できるものの中では一番のオススメ。口径50mm10倍は理想の星見スペックです。 1キロ近くあって少し重いですが、これ一つあれば星見には末永く使えます。 手軽な星見であれば、もっと小型なものが使いやすいです。 双眼鏡はピンキリで、高いものは驚くほど高性能なのですが、最近の製品は超安いものでもそれなりによく見えるので、5000円以下の双眼鏡のほうがはるかにコスパは高いです。 デジタルカメラ 美しい星空を眼にしたら、それを記録したくなるもの。 最近のデジタルカメラは高性能なので、10秒〜30秒くらいの長時間露出が可能なものであれば、あとは三脚一つで、手軽に星を撮影することができます。 詳しくは以下の記事を参考に! http://reflexions.jp/blog/ed_tenmon/archives/673 天文現象を楽しもう 一生に一度は見たい級の皆既日食から、毎月のように出てくる「なんちゃらムーン」まで、天文現象とは厳密には呼べないものも含めて、さまざまな「事象」があります。 詳しくは別の機会に譲るとして、ここでは2つだけご紹介しましょう。 皆既月食 次に見られるのは2018年1月31日。時間帯は22時頃を中心とした前後2時間程度、太平洋側では好天が期待できる季節でもあり、防寒を万全にしてぜひ見てみたいものです。 惑星と月の接近 月は約一ヵ月周期で地球をまわっているので、その間1回は惑星に接近します。なので、「月と惑星1個」の接近はあまり珍しくはないのですが、「月といくつかの惑星」の接近や、「惑星同士の接近」はたまにしか起きません。 アプリ「スカイガイド」からキャプチャ 2017年12月14日木曜日の早朝。細い月と、火星・木星が接近します。この接近自体はさほど珍しくはないのですが、特筆すべきはこの晩は3大流星群の一つ「ふたご座流星群」が最も多く流れる日。 空の条件が良ければ、1時間50個くらい見られる可能性もあります。 こういった天文現象は、天文関係のサイトをまめにチェックすれば、もらさずに知ることができます。 もちろん、いまご覧いただいている弊サイトも、その一つです^^ アストロアーツHP:星空ガイド https://www.astroarts.co.jp/alacarte/index-j.shtml 毎月の天文現象が掲載されています。 ナショナルジオグラフィック日本語版・2017年、絶対に見たい天体ショー7選http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/17/010500001/ ぐぐれば出てくる、「絶対に見たい××」系。 検索すればほかにも山ほど出てきます。 星だけじゃない、夜の楽しみ方 「夜ならではの美しさ」は星空ばかりではありません。   身近なものでは「ムーンロード」もその一つ。 沈む月の光が海に反射しできあがる光の道。波とともに揺らめく姿はとても幻想的。 このほかにも、人工光のない場所で見る朝焼け・夕焼けの色の変化の美しさや、人気のホタル、最近ホットな夜光虫、さらにはオーロラなど、夜ならではの自然の美しさは様々。   美しいものは何も自然だけに限りません。街の夜景・工場の夜景・灯台・飛行機・人工衛星など、人工のものでも美しいものは様々。ネット界隈でも時折議論(炎上?)になる「ライトアップ」ですらその一つです。 自由な心ひとつあれば、「美しいもの」はいろいろな場所に見つけられるものではないでしょうか。 もっと星空と宇宙を知りたい人に 人間の感性に訴える「美しさ」とは別に、理性と知性に訴える「宇宙の神秘」もまた興味深いものです。 感性で感じた美しさを、論理と科学の側面から考えてみるのもいかがでしょうか? ここでは、ややこしいことはなしに、2つだけ良書をご紹介しておきます。   ありがとうございました!前編、中編、そしてこの後編と、お読みいただいてありがとうございます! これを出発点に「美しい星空」の楽しみ方についての記事をますます充実させていきますので、お楽しみに!  編集部発信のオリジナルコンテンツ