天体望遠鏡

子供のための宇宙の窓・連載(1)【1万円で買える天体望遠鏡】のススメ

天体望遠鏡が欲しい」とお子様にねだられたり、入学・進学や誕生日などのプレゼントで「天体望遠鏡はどうかな?」と考えたことのある親御さん向けに、天リフ編集部が総力をあげて子供向けの天体望遠鏡のススメと選び方をまとめてみました。予算は1万円です。このクラスの天体望遠鏡でも、注意深く選べば一通り宇宙を楽しむことができます。

ぜひ、お子様の夢と探求心を天体望遠鏡で満たしてあげてください!

子供が天体望遠鏡を持つということ

前置きです。

お子様が自発的に「天体望遠鏡が欲しい」と言い出して、親御さんが「よしわかった、買ってあげよう!」という状態なら、この節は飛ばして次の節から読んでもらって大丈夫です。

(C) https://www.irasutoya.com

・子供にとってプラスになるの?
・他の何かのほうがいいんじゃ・・
・ウチの子にちゃんと使えるのかしら?

そんな不安や迷いを感じていらっしゃるようであれば、ぜひこの続きをお読みください。

知育玩具としての天体望遠鏡

今の時代は情報が溢れています。これを読んでいらっしゃる方のお子様も「スマホ」をすでに使っているかもしれませんね。そんな時代では、情報を「知っているか」ではなく「どう使えるか」が大事だ、と偉い人は声高に叫びます。

でも、子供にとって一番大事なことは、まずはいろいろな経験をしてみることではないでしょうか。もちろんスマホでヒカキンの動画を見るのも一つの経験。友達と遊ぶこと、学校で勉強すること、家族でレジャー施設や旅行にで出かけること、みんな子供にとっては大事なこの先の人生に残っていく経験です。

その一つに、ぜひ「天体望遠鏡を通して宇宙を自分の力で訪ねる」という体験を加えてみてはいかがでしょうか。

お月様を天体望遠鏡でのぞいてみると、そこには大小さまざまな「クレーター」がある。これ自体はもうみんな知っているし、ネットに情報が溢れています。

でも、自分で望遠鏡を操作して、そこにあるものをナマにリアルに経験して「ああ、すごいな、キレイだな」と感じることは、ひとつの感受性を会得する瞬間なのです。

また、そのとき「不思議だな、なんでだろう」と思うことは、自分の外にある広い世界の発見であり、子供の好奇心を刺激するきっかけとなるでしょう。

他の何かの方がいいんじゃ?

今の世の中、何をするにもお金がかかります。どこにいくらお金をかけるのか。ホント悩ましい限りです。

VS

https://ja.wikipedia.org/wiki/ディズニーランド

1万円出してお子さんに天体望遠鏡に買い与える価値はあるのか。1万円あれば他のことが・・そんな迷いもきっとあるでしょう。でも親子2人でディズニーランドに行けばそれだけで1万円を越えます。

もちろんディズニーランドも子供にとっては楽しい体験ですが、天体望遠鏡でできるプライスレスな体験は、他では体験できない世界であることだけは断言できます。

子供に天体望遠鏡は使えるのか?

「ウチの子に天体望遠鏡なんて使えるのかしら?」そんな心配もあるかもしれません、

でも(たぶん)大丈夫です。よくデザインされた小型の天体望遠鏡は、かなり「直感的」に使うことができます。筆者も含め、大人は皆薄々?気がついていますが、子供の直感力は大人にひけをとりません。天体望遠鏡は小学校低学年でも、ひょっとしたら小学校に入る前でも、使うことのできるものです。

http://publicdomainq.net/astronomical-observation-0004736/

でも、やっぱり大人の助けはあったほうがベター。「お月様はいま空のどこにあるの?」「火星はいつどこで見えるの?」「この漢字はなんて読むの・」といった疑問にはできるだけ答えてあげましょう。

え?そんなの分からないって?大丈夫、そんなときこそスマホでこっそり検索して調べてあげてください!

「経験」で成長すること

それでも、天体望遠鏡というそれまでの日常で使ったことのない道具を操作し、これまで見たことのないものを見るということには、最初はうまくいかないかもしれません。

http://kids.wanpug.com/illust208.html

でも、何度か練習し使い方を身につけていくうちに、それまでぎこちなかった操作がうまくできるようになり、見えていなかったものが見えてくるようになるはずです(*)。

(*)惑星の細かな模様や暗い小さな星を観察する場合、大人であってもある程度の経験を積むことでより詳しく見えるようになります。

何かをやろうとし、失敗し、試行錯誤の中から習熟してうまくできるようになってゆく。こんな成長のプロセスこそ、お子さんにとってはかけがえのない経験となるでしょう。

ここまでが前置きです。

1万円の天体望遠鏡で何ができるか

さて。本題に戻ります。

世の中に数々ある天体望遠鏡の中で、「1万円前後」という価格帯は最も安いカテゴリです。マニアな人たちから見ると「おもちゃ」の部類なのかもしれませんが、馬鹿にしてはいけません。注意深くしっかりした製品を選べばちゃんと見えます。実際のところ今回レビューした4つの天体望遠鏡は、細かく見れば差はあるものの、どれもとてもよく見えました。

それでは、そんな1万円の天体望遠鏡で見て楽しめるものをご紹介しましょう。

◎お月様を見る

一番見て面白く、大人にとっても楽しめるのは月です(*1)。月はとても明るいので(満月の表面の明るさは昼間の地上と同じくらいあります)、小さな望遠鏡でもあまり遜色なく見ることができます。

今回のレビューで使用した天体望遠鏡を使用しスマホで撮影したもの。実際にはこれよりもクリアに輝いて美しく見えます。倍率を上げれば、この倍くらいまで大きくみることもできます。丸枠は加工しています。

また、毎日形が変わり、クレーターがよく見える欠け際(*2)が移動していくため、最低でも1ヶ月くらいは飽きずに楽しむことができます。

皆既中の月を今回レビューした天体望遠鏡で見たときの想像イメージ。より大きな望遠鏡で撮影した画像を加工しています。これよりはずっと美しく見えるはずです。

特に今年は7月28日に皆既月食が見られます(*3)。皆既月食の赤銅色の月の姿は、天体望遠鏡を手に入れたらぜひ見てみたい天体ショーの一つです。

(*)アマゾンのレビューを見るとよくわかりますが、多くの方が「月を見て感激した」というコメントを残されています。

(*)月の地形が一番よく見えるのは、光が真横から当たる欠け際です。逆に、満月のように月が正面から当たる状態では、のっぺりとした姿になってしまいます。

(*)この月食では、夜明け前の西の空で見えるため、東日本ではやや条件が悪く皆既月食のまま沈んでしまいます。

○惑星を見る

次に面白いのが、土星・木星・金星、そして火星などの惑星

左から、火星・木星・土星。今回のレビューで使用した天体望遠鏡で見た惑星の姿はこんな感じでした。もう少し小さく感じるかもしれません。より大型の望遠鏡で撮影した写真を肉眼のイメージに合わせて加工したもの。

惑星はとても小さく、月よりもずっと暗いため少し難易度は上がるのですが、1万円の小さな望遠鏡でも土星の輪・木星の縞模様・金星の満ち欠けはしっかり見ることができます。

特に今年は夏に火星が大接近します。火星は大接近の年以外はかなり小さく、小さな望遠鏡では丸く見ることさえままならないくらいなのですが、今年の夏であれば赤く丸い姿の中にいくつかの模様があることがわかるでしょう。

○明るい星を見る

冬の大三角。天体望遠鏡で見た一等星の美しさはなかなか写真では表現できません。写真よりもむしろ天体望遠鏡で見る方が明るい星の色は輝きと感じることができます。この写真はカメラの広角レンズで撮影したもの。

夜空に輝く星の中でもひときわ明るい一等星。東京から見られる一等星は16個あります。都市部では肉眼ではたよりなく光る一等星も、天体望遠鏡で見ると見違えるほど明るく輝いてみえます。この光は、混じりっけなしの宇宙の彼方からやってきた光。それぞれの明るさや色の違いをはっきり見比べることができます。

Twitterによい画像がありましたので引用しておきます。おそらく大型の天体望遠鏡で撮影されたものと思われますが、色と輝きの違いがよくわかりますね!
「岩手山銀河ステーション天文台(岩手県八幡平市/焼走り国際交流村)」の遠藤毅さんによるものです。

△天の川を見る

空の明るさが山奥から都市部まで、どのくらい違うかを比較したもの。同じ露出条件で撮影しています。

1万円の小さな望遠鏡でも、本来なら天の川の無数の星々や散開星団(*)を見ることができるのですが、街灯りの強い都市部ではなかなかそうはいきません。これはあまり期待しないでください

でもキャンプや旅行で郊外に出かけたときには、ぜひチャレンジしてみましょう。

(*)散開星団とは、天の川の中の一カ所に10個〜数100個の星が集まった天体。星がよく見える場所であれば、美しく見られる天体の一つです。

×深宇宙の天体

人間の眼はカメラのように光を長時間蓄積することができないためこんな風に見ることはできません。

ネットや図鑑でよく見かける、宇宙の彼方(深宇宙)の天体。こればかりは、ごく一部を除いて(*)1万円の望遠鏡ではちょっと手が届きません。仮にみることができても、ほんの淡い「シミ」のようなものが見えるだけです。

(*)アンドロメダ銀河、オリオン大星雲などは小さな望遠鏡でも淡い姿を見ることができますが、それでも写真のようには全然見えません。

◎スマホを使って撮影する

ビクセン・スペースアイ600にスマホを接続して撮影中。

最近のスマホはとても高性能のカメラを備えているため、スマホを天体望遠鏡にかざしてシャッターを押すだけで、月や惑星の姿を写すことができます。いろいろと慣れや練習が必要になりますが「夏休みの自由研究」クラスの良いテーマです。これについては、別の記事で少し詳しくお話しします。

4台の天体望遠鏡を比較レビューしてみました!

今回の企画では、実際に4つの天体望遠鏡を購入し、筆者が自ら使用した上で、比較レビューを行いました。

機種名 価格
ミード(MEADE)AZM-50  9,081円
ビクセン(Vixen) スペースアイ600  11,368円
レイメイ藤井 RXA103  6,426円
スコープテック ラプトル50  10,800円

*追記)アマゾンのアフィリンクを貼っておきます。さすがアマゾン、既に販売価格が変動していますね。さらに安くなっているものもあるうようです。

レビューしたのはこの4台です。結論からいって、口径50mmの一万円で買える天体望遠鏡でも宇宙の姿を十分体験できることがわかりました。

詳細のレビュー内容は次回に続きます!こちらもぜひ見てくださいね!

よく見える天体望遠鏡はどれだ!?連載(2)【1万円で買える天体望遠鏡】比較レビュー予算1万円で天体望遠鏡。今回は実際に購入した4台の天体望遠鏡の比較レビューをお送りします。 何を買うのか検討中だったり、何を基準に選べ...

お楽しみに!


  • 本記事は特定の会社様のスポンサードなしで、天文リフレクションズ編集部が自身で購入した機材に対して独自の判断でレビューするものです。文責は全て天文リフレクションズ編集部にあります。
  • レビュー対象の機材の選定は慎重に行ったつもりですが、これらが市場で販売されている全てではありません。対象機材以外にも優れた製品がある可能性があることをご承知ください。
  • 掲載した天体写真は、できるだけ今回ご紹介した望遠鏡で実際に見た姿に近くなるよう加工していますが、個人差・気象条件・機材の差などでこの通りに見えない場合もあることをご承知ください。
  • レビューアーは残念ながら50台半ばのおっさんです。幼少期のお子様との年齢差などの要因で、インプレッション結果は若干異なる可能性があります。
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