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小石原(8) 冴えない結果・EF135mmF2L

2/2の撮影では、スカイメモRSに二台のカメラを同架して撮影しました。
メインはシグマ85+6Dのモザイク星野なのですが、そのバランスウェイト代わりに(^^;)kiss X5とEF135mmF2Lです。

このレンズは20世紀末の古い設計のレンズですが、一般撮影ではAFも高速でヌケもいい、開けても絞っても楽しめる良いレンズです。

ナローでは少し使ったことがあるのですが、カラーで撮るのは初めて。さて結果はいかに。

EOS kiss X5(HKIR改造) EF135mmF2L F2.8 60SEC*45 ISO1600
スカイメモRSノータッチガイド 2017.2.2 福岡県東峰村小石原

カモメ星雲(IC2177)。
フルサイズ200mm相当の画角です。

露出時間が短いので淡い部分には期待していないのですが、それにしても冴えない写りですねえ・・・
星がぼってりと大きくて。

中心部の等倍画像。
最微光星の大きさは4*4ピクセルくらい。
X5の画素ピッチは4.3μmなので星像は20μm以下。悪くはないはずなのですが・・・

星像の大きさというよりも、ぼんやりと滲んで大きい感じです。
たぶんピン甘。
赤ハロが出るのを嫌って、ライブビューで「ハロ最小」のあたりで合わせたのが原因かも。

最周辺部。
あああ、やっぱり。
赤ハロの逆^^;; 赤でバッチリ合焦です- -;;;

このレンズ、像面湾曲がけっこうあるんですね。
ナローで撮った際に、今一つ星像の大きさが周辺で違うなあと思っていたのですが。。。
一般撮影では、絞りを開けて撮る時は周辺は完全にボケていることが多い上、そもそもフィルム自体が完全な平面でないので、その時代の設計では像面湾曲にはここまではシビアでなかったのでしょう。


EOS kiss X5(HKIR改造) EF135mmF2L F2.8 60SEC*45 ISO1600
スカイメモRSノータッチガイド 2017.2.2 福岡県東峰村小石原

折角なのでもう一枚。
バラ星雲周辺。

カタツムリがかすかに、コーンが小さく写っています。
全体的に星がシアンっぽいのは、赤ハロを嫌った副作用?フィルム時代ならこの写りでも大喜びだったのですが。

EF135mmF2L、ちょっと残念な結果でした。
次回、赤ハロ上等のピント位置で撮ってみて、それでもダメなら天体用からは引退ですかね。。

シグマ85MMF1.4ART導入(3)フラットを追い込む

前回の作例はフラットを当てておらず、周辺減光はcamera rawの手動補正で行っていました。新しいレンズなので、まだレンズプロファイルが未対応だったからです。

つい先日のアップデートで対応したようなので、早速試してみました。

レンズプロファイルを選択し、一番下の「周辺光量補正」を使用します。100%では若干補正不足のようで、105%で使用しました。

ちなみに「色収差の除去」パラメータは、ONの方が若干周辺の色ズレが改善された気がするものの、OFFでも目立った違いはありませんでした。85Artは倍率色収差が少ないためでしょう。

絞りはF2.0で撮影したものです。
左が適用後。右が適用前。はっきり改善されているのがわかります。

しかし・・・さらに強調してみると・・・

 

左が適用後。右が適用前。
円形の階段状のムラが残っています。
実はこのムラ、手動補正でも取り切ることができず、円形のマスクを使って補正していたのですが、なかなか難物で苦しんでいました。

プロファイル補正でこのムラが消えることを期待していたのですが、どうやらダメなようです。

そこで、仕方なくフラットフレームを作成することに。

 

フラットは普段あまり入れないのですが、撮る場合はiPadを使用して撮っています。
(参考:「iPadでフラットフレームを作成する」)

ところが、撮ってみると補正不足で全く合いません。
ためしに、フラット画像にPSのプロファイル補正を入れて見ました。正しくフラットが撮れているならほぼ平坦なグレーになるはずです。

結果はこの通り、周辺が暗くなってしまっています。
FSQ106EDや328では問題なかったのに・・・何故?

 

原因は液晶の角度にありました。
液晶画面は、真正面から見る場合の輝度が最も高く、入射角が傾くにつれて輝度が下がるのです。

望遠の場合は中央と周辺であまり角度がかわらないために問題にならなかったのでしょう。(85mmの場合は最周辺で入射角が14.5度)

 

そこで、液晶画面の前に上質紙を一枚入れて、液晶からの光を散乱させるようにしてみました。

 

結果は完璧ではないものの改善しました。
気になっていた同心円状のムラが浮かび上がってきました。

このムラが、PSのプロファイル補正と、実際の光量の差になります。まだ若干周辺部が暗いようですが、フラットの効き具合を調整すればなんとかなりそう。

 

左がプロファイル補正、右がフラット補正。
同心円ムラが改善したのがわかります。
これでもまだ不十分ですが、まあやらないよりはマシでしょう。

 

ここまでやってみて疑問に思ったのは、PSのカメラプロファイルは一体どこまで補正しているのか?です。

レンズ毎の周辺減光を中心からの距離の実測値(または設計上の計算値)で補正してくれているものと信じていましたが、もしかしたら手動補正と同様の「適用量」と「中心点」の二つのパラメータでしか制御していないのかもしれません。いや、多分そうに違いない・・

 

85mmArtのフラット画像を反転して強調したもの。
左右はほぼ対称ですが、上下は対称ではありません。下側の方が暗く(実像では明るく)なっています。

また、中央付近の減光が同心円ではなく、四角っぽい気もします。
ミラーボックスのケラレが影響しているのでしょうか?

これまでカメラレンズの場合はフラット補正は、ほぼPSのプロファイルだけでしたが、やっぱりちゃんとフラットを撮った方が良いということがはっきりしました。(まあ今さらいうまでもない常識なんですが)

仕方ないので、地道にフラットライブラリを作ることにします・・iPadフラットの限界もわかったので、積分球か、スカイフラットか、試行錯誤してみます。。。

 

ちなみに、フラット補正する場合、自分はコンポジットのタイミングではなく、コンポジット後画像に対してPSのオーバーレイレイヤーで行っています。

この方法だとコマ毎の位置のズレの分だけフラットもズレることになり、センサー上のゴミをきれいにとることができないのですが、フラットの効き具合やカラーバランス・ヒストグラムの山を細かく調整できるメリットがあります。

こんな感じで、反転したフラット画像を元画像のすぐ上に置きます。
二つ入れているのは、一つだと100%にしても補正不足になることがあるためです。

 

フラット道奥深し。
でもこれって実測値でPSがプロファイルを持てば解決するはずですよね。
こういう無駄(?)な作業は本当はやりたくないのですが、かぶり補正の時間の無駄よりはマシになる気がしてきました。

がんばります・・・

 

シグマ85MMF1.4ART導入(2)試写編

シグマ85mmArt、早速実戦投入してみました。
いろいろ細かな評価ポイントはさておき、まずは作例から。


Flickrで大きな画像を見る
EOS6D(SEO-SP4) SIGMA85mmF1.4Art F2.8 120sec*30
スカイメモRSノータッチガイド 2016.12.2 福岡県小石原

カリフォルニア星雲からM45周辺。
この付近は分子雲だらけで、強調厨wの聖地?です。
恒星の色や輝きが足りないとか、強調しすぎで荒れているとか、作品としては不満点たらたらですが、この画角で60分で得られる画像としては大満足。

 

 


Flickrで大きな画像を見る
EOS6D(SEO-SP4) SIGMA85mmF1.4Art F2.8 120sec*30
スカイメモRSノータッチガイド 2016.12.2 福岡県小石原

オリオン座中心部全景。
エンゼルフィッシュにバーナードループ、三ツ星に馬の首、オリオン大星雲、魔女の横顔までを一網打尽。
85mmは広く対象をおさめることができるので、銀河域の広がった星雲・分子雲の撮影に威力を発揮しそうです。

焦点距離が短い分、ガイドエラーにも寛容になるので、風の強い日のレギュラーですかね^^

ところで、気になる画質ですが、1枚目の作例画像の中心部を1600%で切り出してみました。レベル調整のみの補正です。

 

こちらはコンポジット前の1枚画像。星像が小さいですね〜
最小星像は5ドットの+字状。
このレンズの解像度の優秀さがわかります。
ローパスなしのIR改造機なので、星の回りに赤と緑の偽色が出ています。センサーがレンズの解像度に完全に負けていますね。

 

こちらはコンポジット直後の画像。
偽色が平均化されてなくなり、最小星像も若干大きく2ドット角から3ドット角になりました。

ただ、中間輝星の周りの紫ハロが気になります。
一方で輝星の周りの光条(いわゆるウニ)はさほどきつくなくていい感じです(筆者の主観^^)

さらにDSSで2x Drizzle処理したもの。
解像度不足でギザギザだった星がまるくきれいな形になります。
縮小画像では全く違いがわからないのですが、「明るさの最小値」のようなダメージ処理を行う場合には解像度が高い方が画像を汚しにくいようです。
この手法はちょっと試行錯誤中。成果がでたらまたレポートします。

輝星のまわりのハロは、ライブビューでピント合わせをしてみてもはっきりわかります。
F2.0で、ピント位置を少しずつずらして撮影した画像の中心(最上段)かと四隅(下四段)の拡大画像です。
(Canon純正のCamera Connectアプリで、2ステップ刻みで焦点位置を変えました)

合焦位置が中心と周辺、周辺でも4隅それぞれで微妙に異なるようですが、中心部はフォーカス移動につれて赤紫ハロ→青紫ハロ(ジャスピン)→青紫ハロ減少、星像肥大と変わっていくようです。

周辺部のサジタル方向の流れは、ジャスピン前の赤紫ハロ状態の方がより大きいため、実戦的にはこの状態を避けて、赤紫ハロが青紫になったジャスピン位置ないしはそこからわずかにズレたあたりが最適そう。
(まあ1回だけの検証なんであまりあてにしないでください^^;)

青紫のハロは、絞ることで若干改善します。
上の作例は左がF2.0、右がF2.8。
絞りによる改善は明白ですね。
プレアデス周辺は青い星が多く、特にハロが目立ちます。

最周辺の結像状況の比較。左がF2.0、右がF2.8。
レベル補正のみ、F2.0は周辺減光の影響も出ています。
絞ることでずいぶん改善されますね。

ただし、ピクセル等倍でなければ、周辺画質の悪化はほとんどわかりません。また、同じシグマの50mmArtと比較して、流れは圧倒的に少ないように思われます。

ずいぶんとハロが目立つこのレンズですが、画像処理でかなり改善することができます。

PhotoshopのCamera raw現像の収差補正のフリンジ軽減を使います。上の状態がデフォルト。「適用量」は2から4程度が良さそうに思いました。4より大きくするとハロは減少するものの、過補正になって逆に不自然になります。

フリンジ軽減をどの工程で行うかによっても結果が異なりました。結論から言って、個別のraw画像をフリンジ低減ありで現像し、その画像をコンポジットしてさらにフリンジ低減をかけるのが一番良好な結果が得られました。

適用量4のフリンジ低減では星のまわりに四角い補正痕が残るのですが、コンポジットすることでそれらが平均化されて自然になるように思えました。

———

なお、このレンズに関しては、以下のyoutube動画(トーク)もぜひご参照ください。このトークの前あたりから、85Artに対する期待感が異常に盛り上がっていたのですが、いざ実写してけっこうハロがでかいとわかって少し巻き戻した状態がこれらのトークです^^;

このトークの後、補正後画像のハロ部分以外をマスクしてフリンジ軽減の副作用を局所化するなど、様々な技を駆使すればフリンジ問題はかなり押さえ込めるのではないか、というのが現在のよっちゃんさんの見解で、ファイナルアンサー作例待ちになっています^^
よっちゃんの天体写真トークに出させていただきました!
このレンズについて(主によっちゃんさんが^^;)語っています。

 

883 enif さんのレビュー動画に作例提供させていただきました。
それまで過剰な期待感を込めてしまっていたことを実直に懺悔?されています^^;;
でもすごくいいレンズですよー。

 

シグマ85mmF1.4Art導入(1)外観編

最近導入した新レンズ、シグマ85mmF1.4Artです。
何回か実写したインプレッションを数回でまとめようと思いますが、ポイントは以下の3点です。

  • 性能は優秀、高コスパ。
    結像性能は非常に高く、旧EF85mmF1.2Lよりはるかに優秀。周辺部の乱れも少なくシグマArt兄弟では最強か?
  • 紫ハロが弱点。
    天体用途には紫ハロ(パープルフリンジ)が結構目立つ。ただし絞ると改善し、現像ソフトでの補正も可能。
  • でかくて重い。
    大口径重量級レンズで三脚座もないので、天体用途にはボディ側の剛性ないしはレンズ固定方法が重要になる。フィルター径も86mmと巨大なので光害カットやナローバンド系の特殊フィルターを全面に付けるのはしんどい。

 

では、まずは外観のレビューから。

 

EOS5D3に装着したところ。
重量は1.1kg強、重くて太くて長いです。
三脚座は用意されていないため、いつもの6点支持ファインダー脚を使用して使っています。

EOS5Dや6Dならともかく、kissやマウントアダプタ使用のα7シリーズに装着するのは重量バランス的にかなり苦しいのではないでしょうか。

 

α7Sを装着してベランダからナローバンド撮影中。
この姿を見るとカメラボディに雲台を付けて使える気がまったくしません–;;

 


シグマのホームページから、レンズ構成図。
2枚は特殊低分散ガラス(水色・SLD)と1枚の非球面レンズを使用。他のArtシリーズと比較すると特殊レンズの構成枚数が少なくなっています。

前群(1st group)と後群(2nd group)に空かれていて、後群の構成は50mmクラスの7枚構成ガウス型にそっくり。
前群で拡大像を作って後群で結像させるのでしょうか。

また、合焦は後群の移動のみで行うようです。
この方法は重い全てのレンズを移動させなくてもよいのでAFが高速化することと、近距離で発生する収差(主に像面湾曲)を補正する意味がありますが、同時にフランジバックにも敏感になることを意味します。
α7Sの改造マウントなど、無限遠位置が近距離側に移動する場合は注意が必要そうです。

 

 

ちなみに、こちらはEF85mmF1.2Lのレンズ構成。
非球面レンズを1枚使った8枚のガウス型。
単純に考えると50mmのガウス型レンズを1.6倍大きくしているので後玉も1.6倍、ガラス重量は4倍近く。
しかもEDレンズも使用していません。

この構成を比較すると、シグマ85mmF1.4Artは、EF85mmとはまったく違う最新の光学設計であることがわかります。

ちなみにこちらはさらに超弩級のZEISS OTUS85mmF1.4。
重量はシグマとほぼ同じ、値段は約3倍^^;;;;
異常部分分散性ガラスレンズ(紫)が6枚、非球面レンズ(緑)が1枚。

レンズ構成はシグマのものとも若干変わっていますが、ガウス型っぽい後群に全群を加えた構成はだいたい同じ。
異常部分分散性ガラスレンズが、シグマのFLDやSLD、キヤノンのEDや蛍石と比べてどんなものなのかは具体的には不明ですが、まあ特殊レンズをいっぱい使いましたという構成。

 

 

シグマ85mmArtの後玉。
EF85mmF1.2Lと比べると二回りほど直径が小さくなっています。
F1.2とF1.4の違いもありますが、前述の2群分離型の設計によって後玉を小型化できたのでしょうか。

また、マウント部に防塵防滴用のゴムリングが付いています。
「簡易防塵防滴」とのことで、どの程度の性能かは不明ですが。

 

こちらは以前所有していたEF85mmF1.2Lの兄弟レンズであるEF50mmF1.0Lの後玉。
この2本のレンズは後玉が巨大で、ボディとの電子接点がレンズにまで食い込んでいるという特徴がありますw

カメヲタ的にはでかいレンズには萌えますが、マウント径に目一杯のレンズは、若干無理めの設計。現に、太い光束はマウントやミラーボックスのケラレの元になりますし。

 

現在のレンズ構成ラインナップ。
中央右から、タムロン15-30、シグマ85mmArt、50mmArt、サムヤン35mmF1.4、24mmArt。
85Artはタムロン15-30に迫るでかさ。

ちなみに後列は右からEF135mmF2L、EF70-200mmF4LIS。
前列はEF8-15mmF4Lです。

 

次回は実写レポートを予定しています。
先行してFlickrにドヤ等倍画像を上げていますのでご参考に。