「与太話」カテゴリーアーカイブ

京都大学大宇陀観測所の思い出

京都大学大宇陀観測所の60cm望遠鏡が、香川の天体望遠鏡博物館に寄贈されたそうです。

参考リンク)
天体望遠鏡博物館に口径60cm反射望遠鏡がやってきた!@多和http://sanuki-asobinin.seesaa.net/article/448159041.html

大宇陀観測所には古い思い出があります。

 

1978年ごろ。
背景左奥の四角い建物が大宇陀観測所。
手前の広場が現在廃校になった大宇陀町立守道小学校の校庭。
当時、この校庭をお借りしてよく天体写真の撮影をやっていました。

 

大宇陀観測所は一度だけ見学させていただきました。
当時設置されていた40cmのシュミットカメラ。
望遠鏡博物館に寄贈された機材ではなく、そのひとつ前の機材です。赤道儀は写真で見る限りこれが寄贈されたものと思われます。

ということは、大宇陀観測所は閉所になるのでしょうか。

 

当時の撮影仲間たちと。
中2から高1。なんかかわいいですね^^

 

もう一人。
写真界では知らぬ人がいないであろうとある事件ですっかり有名になってしまった彼ですが、人なつっこい愉快なヤツでした。

 

このジャリ共、もといお子様たちは、昼間テントで寝ていたらちょっかいを出してきて、上のホンダのジャンパーのおにいさんにすっかりなついてしまい、観測所の門の前で撮った記念写真。
もうええおっさんになっているはずです。

合成による絶景画像へのお誘い

これまで見たことのないような、凄い景色、眺め。
最近、ネットのそこかしこで見られるようになりましたよね。
例えば、この画像。
「東京カメラ部」に掲載された超人気画像です。
Copyright © 本間昭文・「Tower Dream」
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凄いですね!
大都市東京、東京タワーの上空に天の川。
一度見てみたかったけどあきらめていた、夢のような絶景!
もう一つ。
「500px」という画像共有サイトに掲載されている超人気画像。
Copyright © Klaus Kreuzer 「Kaunatal Solden」
クリックで500pxページが開きます。
これも凄いですよね!
濃紺で統一された美しいトーン、
氷河の上には月。星が見えているから夜明け前でしょうか。
タイムラインにこんな凄い画像が流れてきたら、
つい「いいね」しちゃいますね。
ついでに「シェア」しちゃったりもするかも。
「東京でもこんなきれいな星空が見えるのですね、シェアさせていただきます!」とか。
「昼間のような夜のような、奇跡的な瞬間ですね!」とか。
自分も撮って見たいって思いました?
自分の知らない場所なのか、機材なのか、天気なのか、才能なのか、
なにが凄いものがあればこんな「写真」が撮れるんだ!
って思いました?
いやいや、違うんです。
東京で素晴らしい天の川が見えているのは、
氷河の上で星と月がコラボしているのは、
人間の自由な発想力と、確かなデジタル合成処理技術によって、
不可能を可能にしたからなんです。「奇跡」を起こしたんです。
勘違いしないでね。「奇跡」は待っていても起きないんですよ。
これらの画像は、それぞれ別の場所で撮影した星空と地上を合成したものです。
作者のイメージした世界を合成という手法で実現した、「アート」なんです。
東京タワーのこの方角には本当ははくちょう座なんて見えないんですよ。
氷河の上にはオリオン座の三つ星がいくつも写っているでしょ。
すかしのようにマゼラン星雲の画像も隠れているんですよ。
だってこれは写真じゃなくてアートだから。
高度なデジタル合成技術を駆使すれば、貴方のイメージでアートの奇跡を起こせるんですよ。
え、どこにも合成と書いてないって?
合成写真なら「これはかくかくしかじかの手法による合成写真です」って書くべきでは?
いやいや、違うんです。
そんな無粋なことをしたら、せっかくの虚構の夢が壊れるじゃないですか。
ほんの数秒、タイムラインを流れる1枚の写真。
ひととき、美しい世界の夢を見ようじゃありませんか。
そして貴方も、仲間になりませんか?
高度な合成テクニックを身につけて、奇跡を起こしてみませんか?
さあ、「 私 が ち ゃ ん と 話 し て あ げ る 」

という夢を見ました。
そうか。自分も一発やってみるか。
星空:福岡県小石原で撮影。50mmレンズ
 地上風景:福岡市百道浜で撮影。17mmレンズ
花火:福岡市中央区で撮影。200mmレンズ
やってみました。
実は花火って煙と光の入り交じった様が暗黒星雲みたいで、
本物の星とコラボできないかってちょびっと思ってたのですが。
でも、ひどいなあ。。
合成丸出しw
稚拙な合成は、稚拙な「写真」よりはるかに劣りますねw
この合成が違和感なくできる技術が身につけば、
自分の写真も一段階次のステージに行けるかも?!
高度な合成技術はやっぱり凄いですね。

AP赤道儀が出た

ビクセンからAP赤道儀が正式発表されました。12月5日発売。

一言で言って、GPシリーズの後継としての「エントリ向けの安価な小型赤道儀」としてのポジションと、最近流行の「写真撮影を主目的とした小型赤道儀」の両方のポジションを担う製品とみました。
天体写真の大御所Ryutao氏のブログでは、「最近のビクセンは興味深い製品を次々に発表してくれますが、価格設定が少し高いのが残念です」と書かれています。
確かに、旧製品GP2は36,500円だったのですが、AP2のモーターなしの本体価格は86,400円です。
赤経軸にモーターを付けると140,400円にもなります。
(旧モデルとの比較は星のつぶやき・AP赤道儀発表に詳しい比較表が掲載されています)
SWATやTOAST、スカイメモと競合すると思われる、赤緯軸なしのモーター・極軸望遠鏡内蔵のAPフォトガイダーモデルで170,640円(実売145,000円)。
SWAT350の実売125,000円より高くなります。
で、以下個人的感想です。
(実物を見たわけでもないので、ただの個人の感想です)
1)本格的に天体写真を始める、「最初の1台」としては、結構いいところを突いているのでは?
APフォトガイダーモデルが実売145,000円でかなりのお値段なのですが、自分がポラリエに投資した総額が約12万円(本体+極望+テレスコ工作工房雲台ベース、簡易赤緯軸、微動雲台)と比べると実はあまり変わりません。
三脚も付いてくるので、実質的には同じくらいの価格です。しかも重量はやや軽いし(2.4kg)オートガイドにも拡張可能。
安くはないのですが、パッケージとしてはなかなか優れているのではないかと思います。
2)評価できるポイント
・極軸望遠鏡を内蔵したまま運用できるのはマル。SWAT/TOASTはここがちょっと弱いでしょうか。
・軽い。強度とのトレードオフなので実際の所はなんともいえませんが、この軽さなら欲しいと思えます。
・赤緯軸を追加すれば、2軸オートガイドが可能。これはSWAT/TOASTにはないメリットです。
・赤緯軸なしの状態でも、「スライド雲台プレート」でバランスを取ることができます。ノータッチガイドの場合バランスの調整が一番重要なのでこれもマル。
・赤経軸と三脚接続部が分離できないことが欠点として指摘されていますが、実はメリットもあります。極軸調整用の微動装置を別に用意するくらいなら、一体化した方が全体としてはコンパクトになるという考え方もあるのではないでしょうか?
(2015/3/29追記)三脚接続部は分離できるようです。
3)いろいろと注文を付けたいところ
・三段伸縮のアルミ三脚3キロはちょっと・・・伸縮段数を多くすると強度が落ちるので、2段のカーボン三脚が欲しいところです。
・いつものあの太いケーブルはなんともならないのでしょうか。一昔前のパソコンのようです。。
・ポラリエの極軸望遠鏡が使えたら良かったのに・・・
4)エントリ向けの小型赤道儀として
ビクセンが、エントリ向けの小型赤道儀の提供を会社の使命と考えているのなら、この製品は実はより高く評価されるべきではないでしょうか?
アクロマート8cmのAP−80Mが実売14万円。これにパーツを買い足せば(結構な出費ですが)望遠レンズでもしっかりガイドできる赤道儀になります。
誰かがどこかで書いていましたが、趣味の世界で重要なのは少しづつステップアップする楽しみがあることです。エントリ向けの製品がAPで再編されたのは業界にとっては歓迎すべきことではないでしょうか。
その意味では、SX2のコントローラなしモデルとか、APの極望をポラリエに装着可能にするとか、APで始めた人たちを次のステップにつなげていく施策があるといい思います。
特に、今製品ラインにないのが明るい鏡筒です。
ビクセンの筒はどれも撮影用にはちょっとF値が暗めなのですが、眼視用に購入した鏡筒を、そのままAP赤道儀で(数分でいいので)ガイド撮影できれば、上のレベルにスムーズにつなげていけるのではないでしょうか。
まあ他社製品ならBORGがあるので、これとAPの組み合わせると楽しそうですね。
いずれにしても、システム全体としての精度・質感・安定性がどのくらいのものか楽しみです。
追記2014/11/1
某掲示板のビクセンスレを読んだが、ボロクソですねえ・・。
論点は2つ、「GPは良かった。」「高杉。中華と勝負にならん」。
まあその通りなのですが。中華赤道儀なら10万以下で自動導入付きのものが買えちゃいます。
いろいろ大変な業界ですが、ビクセンには頑張って欲しいですね。
それと、中国の生産力を120%使えるようなファブレスの日本望遠鏡メーカーが登場しないものかと夢想します。

タカハシ・PM-SP発売・「欲しくなるポタ赤」とは?

協栄産業のニュースフィードで高橋から新製品が出たことを知った。
PM1-XYの赤緯体をベースにした、ポータブル赤道儀PM-SP
(10/17 大幅に加筆修正)

重量1.8kg、搭載重量4kg。税抜き価格118,000円。

Toastやswatと同じレンジに位置することになる。
プレートや赤緯軸のオプションも出るらしい。

しかし・・・なんか冴えないなあ。
PM-1XYの赤緯軸に極軸望遠鏡が付けられるようになって(タカハシのサイトでは「別売で装着可能」と書いてあるが、売っているのをこれまで見たことがない)、拡張パーツが追加されたのと何が違うのだろう。
これに赤緯軸を買い足すくらいなら最初からPM1-XYでもいいのでは(価格はずいぶん高くなるが)?
汎用品のプレートは付けられるのか?そもそも、単にプレートを付けただけでは極軸望遠鏡は覗けなくなる。
穴あきの専用品でもいいけど、ポタ赤はいろんなパーツを組み合わせるのが楽しいんだけどな。
コントローラも内蔵でない。自動導入できるならともかく、1軸駆動の外付けコントローラはもうありえないと思うけど・・・
自分なら、これを買うのならTOASTかSWATの方がいい。コントローラ内蔵だしかさばらないし。
かつて自分はPM1-XYの導入を真剣に考えていた。元天文少年としては「名機」高橋P型と「システム赤道儀」MARK-Xへの強いあこがれが心にあったのがその一つの理由。
MARK-X同様、各パーツをばらしてポタ赤にも小型赤道儀にもなる。赤緯軸と赤経軸で2台自動ガイドもできる。
こりゃいい!と思ってほとんど買う寸前だったのだが、結局思いとどまり、まずポラリエを買い、そしてSXPを導入した。
結果的にこの選択は正しかったと思っている。ただ、ポラリエに強化パーツをいろいろ付けるくらいなら、TOAST/SWATでもよかったと思っている。
PM1-XYはいまでも欲しいとは思うけど、PM-SPには食指は動かない。
タカハシ製品は無骨だ。
カクカクしていて、堅牢で、ガッチリネジ止め。赤道儀は高い精度で恒星時追尾するべし。
もしマイドームを持てるなら、そこにある赤道儀はEM200かEM400しかない。
この無骨さってなんかポタ赤用途に合わないんだよな。
そして、やっぱり無骨なPM-SP。
今、「ポータブル赤道儀」に求められているものは何なのか。
1)星景撮影〜中望遠までの撮影
デジカメの高感度性能が飛躍的に上がり、タイムラプスや多数枚スタックが簡単にできるようになった今、この用途で重要なのは「軽い」「かさばらない」「手軽」なことだろう。
「軽い」を実現するためには、極軸望遠鏡は内蔵せず、電源も単三電池のような小型のものでなくてはならない。
「かさばらない」ためには、外付けコントローラではなく一体型。「手軽」にするためには最小限の操作系。
まさにポラリエの守備範囲である。
ポラリエに自分が望むことがあるとすれば、極軸合わせをより簡単で高精度にすること。たとえば、アクセサリシューにスマホを乗せて、スマホのセンサーで方位と高度を合わせられるようになってほしい。
2)200mm クラスの望遠レンズや、小型望遠鏡が載せられる。
SXクラスの赤道儀は電源も含めると20k近くにもなり、手軽というにはほど遠い。
車で移動するなら少々重くてもなんとかなるが、電車や飛行機だとそうはいかない。
せめて10キロ以下、できれば5キロ以下で、それなりの重さの機材が積める、精度の高い赤道儀。
具体的には、EF70-200mm、FS60、BORG60ED、プロミナー500mmあたりがしっかり使えるくらいのもの。
そのためには、バランスを合わせるため、構図の調整を容易にするために、結局「赤緯軸」が必須になる。
数分以上安定した追尾を実現するには、極軸望遠鏡と極軸合わせのための微動機構も必須、1軸であってもオートガイドができることが望ましい。
「ポラリエ+強化パーツ」が 、ぎりぎりのラインか。SWAT300+オプションなら余裕でクリア。
ポラリエ並みの手軽さを求めるなら、スカイメモが一番安価にこのニーズを満たしてくれるかも知れない。
ビクセンのAP赤道儀がどれほどのものかちょっと期待。
PM-SPのターゲットは1)なのか2)なのか。当然2)のはずなのだが、中途半端感がある。
使いやすそうな極軸望遠鏡が内蔵されているのはGOOD。クラッチで手動微動もOK。赤緯軸も付けられる。
でも、オートガイド端子がない。結局「PM1-XYの赤緯軸」なんだもん。
30年以上前のマークXの発想の範疇を出ていない。
自分が2)で期待したいことをつらつらと書いてみる。
・三脚のことも考えて
望遠鏡メーカーはなぜ三脚の材料にカーボンを取り入れないのだろう。
カメラ用三脚は「エレベータ機構」と「伸縮機構」が天文用には不要。
天文用の軽量な三脚にもっと力を入れて欲しい。
まあ、K-ASTECの製品があるんでいいんですが。
・オートガイド
オートガイド未経験の自分が書くのもなんなのだが、オートガイドできることは重要。
SXPでも、ノータッチで300mm/2分はけっこう厳しいハードルであると実感している。
最近は高感度で超軽量なオートガイドユニットがあるので、1軸駆動であればかなり軽量なオートガイドシステムが組める。
2軸駆動も、赤緯体ではなく三脚を上下にするという発想で実現されはじめいるらしい。
これもK-ASTECだが、こういう手法がどんどん製品に取り入れられて欲しいもの。
・自動導入
小型赤道儀の自動導入には否定的な意見の方が多い。
自動導入するためには二軸駆動が必要だし、導入速度を上げるには電源も重くなるし、コントローラも必要になるし、2)の範疇を越えてくる。
でも、ちゃんとした赤緯軸を持つ赤道儀であれば、自動導入はあって悪くない、いやあるととても便利な機能のはずだ。
GP2かPM1-XYにスターブックテンが使えるようになるといいのにと妄想してしまう。
・無線対応
スターブックテンで最悪なのが太いシリアルケーブルとコネクタ。いつの時代のパーツつかってるんだよと言いたくなる。
今は無線でしょう、無線。駆動系とコントローラ間の通信はWiFIかBlueToothで。
せめても、ミニUSBくらいにはしてほしい。
マウスもタッチパネルもキーボードも、暗くて寒いところで望遠鏡を駆動するには向いていないので専用コントローラは必須だが、専用品だけでなく、パソコン・スマホ・タブレットが使えて、1台のコントローラで複数の赤道儀が操作できれば使い方に広がりが出る。
もう20年若かったら、自分で作ってみたいなあと妄想する今日このごろでした。
しかし、高橋製作所のWebサイト、新着がRSSで取れない。相変わらず無骨だ。
でも協栄さんががんばってるからまあいっか。

ポータブル赤道儀考〜固定撮影で星はどこまで写るか

ポラリエを買ってしまった自分だが、結論から言うと、赤道儀がなくても星空はちゃんとカメラに収められる。

しっかり三脚に固定し、明るめのレンズで感度を上げて星が流れない程度(50mmで10秒前後)で撮影すれば、「そこに見事な星空さえあれば」すばらしい星空が写る。
固定撮影の作例をいくつか。
EOS5D EF50mmF1.8II F2.5,15秒 ISO1600 固定撮影。
北アルプス、唐松岳で撮影した夏の銀河。15秒なら星の流れはさほど気にならない。

EOS5D EF50mmF1.8II F2.2,30秒 ISO1600 固定撮影。
50mmで30秒だと、さすがに星が流れるのが気になってくる。
OLYMPUS EM-5 DG SUMMILUX 1.4/25 ASPH. 解放、10s ISO1600 固定撮影。
暗い空なら、このくらい露出してもOK。逆に、街灯りで背景が明るいと、1秒でも背景が昼間のようになってしまう。
最近のデジタル一眼カメラやレンズは性能が飛躍的に向上しているので、固定撮影でもこのくらいは写る。
特に、地上の風景と星を対象にする星景写真では、固定撮影でほぼ十分。
ただし、微妙に十分でない。「あと倍、露出をかけられればなあ」「あと一段、レンズを絞りたいなあ」くらいかな。
そういうときが、ポラリエのようなポータブル赤道儀の出番。
ポラリエ。この白い箱です。