https://www.vixen.co.jp/post/180921a-2/

 

ビクセンからSXPの後継となる「SXP2赤道儀」が発表されています。発売日は10月19日、希望小売価格は税別52万円。

9/28追記)実売価格は協栄産業で税抜41.7万円(税込450,360円)です。



ビクセンHP・SX赤道儀シリーズの最高峰モデルがついにリニューアル『SXP2赤道儀シリーズ』を、2018年10月19日(金)に発売
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ビクセンHP・Vixen 天体望遠鏡 SXP2赤道儀
https://www.vixen.co.jp/product/25131_5/

前モデルのSXPからの変更点。CP+で出展されていた「コンセプトモデル」などによる噂と内容の相違はほぼありません。予想どおりのスペックでした。価格も「SXD2とAXJの間」、こちらもほぼ予測通り。

2018/9/28追記。HIROPONさんが安定の比較記事をアップされています。いつもながら見やすいスペック比較表付き。

のんたの星のブログ」によると、APからAXD2までの価格を2次関数で表せるとのこと。この数式で価格を決めたわけではないと思いますが、一連の赤道儀ラインナップを意志と計画をもって整理したということでしょう。

機能強化点を評価する

実物を見ていないのでスペックからの印象評価となってしまいますが、編集子の率直な感想です。

ベルトドライブ化

静音化とバックラッシュ低減を謳っています。ベルトドライブの是非は諸説あったようですが、最近では優秀性が広く認められているように思います。特にベランダ派的には静音化に期待したいところ。編集子はベランダでは隣家に気兼ねして自動導入の速度を中速に抑えているのですが、最高速が使えるとすると福音ですね。

バックラッシュの低減は赤緯側で特に効果が期待できると思いますが、オートガイドの精度がどう変わるかですね。こちらについても、実機を使用すれば、どの程度の効果があるか明らかになることでしょう。

フォーク式極軸固定の採用

物理形状の大きな変更点。2枚のプレートで赤経体を挟み込む構造。前モデルと比べて少し背が高くなっています。前モデルは「おじぎする方向に弱い」という評価があったようですが(*)、それが改善されているのでしょうか。

(*)恥ずかしながら編集子はSXPの「どの部分が弱いのか」を問題意識を持って見たことがありませんでした。だって、一度設置したらほぼ触れないんですもの・・いい意味でブラックボックスで使いやすいのですが、三脚を含めて「微動だにしないような頑強さは感じない」というのがこれまで使用した中での印象です。



このあたり、同じレイアウトを採用した上位モデルのAXJの評価が高いので(フォーク部は同じ部品を使用しているそうです)、期待したいところです。

SXPはクランプを緩めたり締めたりするのは設置時と撤収時だけなのですが、赤経クランプと極軸支持体のクランプを間違えることが多かったので、赤経クランプがわかりやすい位置になったのは些細ながら福音ですね。

テーパーローラーベアリングの採用

赤経軸に新たに一対の「大型テーパーローラーベアリング」が採用されました。これはタカハシの赤道儀が古くから採用している方法で、両側から予圧をかけて剛性を増すというもの。ベアリングの間隔が前モデルよりも長くなったことで、赤経体全体が長くなりました。

そのほか

4つ目からは「そのほか」。ベアリングが一個増えた、耐荷重が1kg増えた、総重量が2.3kg増えた、アクセサリシューが付いた。HPの使用表記では赤経・赤緯のギア径の表記が「Φ73.2mm」と1.2mm大きくなっていますが、これは実際に大きくなったのか、計測方法の変更?なのかどちらでしょうか。 これは「ギアの外径を基準(*)」に表示するように変更したためで、ギアそのものに変更はないそうです。す。ちなみに径は同じですがSXPとはことなる部品のようです。

(*)他社製品では外径表示が多いようです。

2018/9/28追記)

バランスウェイトがSXPの「3.7kg+1.9kgの二個」と異なり「3.7kg一個」のみの付属となるようです(*)。写真ではウェイトシャフトが若干長くなっているような気がしなくもないですが(*2)・・・詳細がわかれば追記します。

(*)前出のHIROPONさんのブログで指摘されていました。当方は気がつかなかった・・・チェック甘かったですね–;;;

(*2)ウェイトシャフトの長さはSXPと同じだそうです。

機能強化されなかった点を評価する

ないものねだりですみません。

V-PECは採用されない

SXP同様「P-PEC」が採用されピリオディックエラーを記憶し再利用することができますが、AXJ/AXD2のV-PECのように、出荷時に実測値が組み込まれているわけではありません。これはちょっと(かなり)残念。

実は編集子はSXPはP-PECに期待してノータッチでのみ使うつもりで、十字線アイピースまで買って準備したのですが、結局めんどくさくて^^;; 一度もP-PECを試さないままオートガイドを導入してしまいました(*)。ではP-PECのためにオートガイダーを買うか?これは根本的な矛盾ですね・・・

(*)やってもいないのに言うのは何ですが、P-PECを手動でやるのは間違っています^^; 

全周エンコーダーは予定なし

コンセプトモデルでは「全周エンコーダ」の存在が示唆されていたようですが、SXP2では対応の予定はないそうです。クランプフリーで使えると機動性が上がるのですが(*)。某AZ-GTiが2軸エンコーダ使用であの価格だったので期待していたのでちょっと(割と)残念。

(*)些細な話で恐縮ですが、編集子のベランダ環境は南東向きなので、西向き水平から開始すると子午線反転して東に向くまでの時間がけっこう長いのです(速度を中速にしているのもあります)。

極軸望遠鏡

SXPの最終モデル同様「極軸望遠鏡PF-L」が内蔵されます。この極軸望遠鏡、自動電源OFF機構の付いた暗視野照明付きで見やすいのはいいのですが、光害地では周辺の基準星が見にくい弱点があります。時角式でも合わせられるように(*)2重同心円がパターンに追加されると嬉しいのですが。

(*)昔は時角計算は面倒だったのですが、最近ではスマホアプリで一発表示。ヒゲ付きの2重同心円のパターンさえあれば合わせられます。

そのほか

今回は割愛^^;;

価格

書きにくいことではありますが、前モデルより大きく価格は上がりました。実売価格ベースでタカハシのEM-2ooとガチでかぶる価格です(*)。

(*)タカハシとは三脚でけっこう価格差があるので(SXG-HAL130の場合)総合的にはEM-200との価格差はより広がります。

これを市場がどう評価するのかは、今回改良された点の結果次第でしょう。発売後のインプレッションが待たれるところです。 https://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2018/09/icon_20180900a.jpghttps://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2018/09/icon_20180900a-150x150.jpg編集部マウント  ビクセンからSXPの後継となる「SXP2赤道儀」が発表されています。発売日は10月19日、希望小売価格は税別52万円。 9/28追記)実売価格は協栄産業で税抜41.7万円(税込450,360円)です。 ビクセンHP・SX赤道儀シリーズの最高峰モデルがついにリニューアル『SXP2赤道儀シリーズ』を、2018年10月19日(金)に発売 https://www.vixen.co.jp/post/180921a-2/ ビクセンHP・Vixen 天体望遠鏡 SXP2赤道儀 https://www.vixen.co.jp/product/25131_5/ https://twitter.com/tenmonReflexion/status/1045105574403174400 前モデルのSXPからの変更点。CP+で出展されていた「コンセプトモデル」などによる噂と内容の相違はほぼありません。予想どおりのスペックでした。価格も「SXD2とAXJの間」、こちらもほぼ予測通り。 https://twitter.com/hiropon_hp2/status/1045240451974844416 2018/9/28追記。HIROPONさんが安定の比較記事をアップされています。いつもながら見やすいスペック比較表付き。 https://twitter.com/tenmonReflexion/status/1045118093150670849 「のんたの星のブログ」によると、APからAXD2までの価格を2次関数で表せるとのこと。この数式で価格を決めたわけではないと思いますが、一連の赤道儀ラインナップを意志と計画をもって整理したということでしょう。 機能強化点を評価する 実物を見ていないのでスペックからの印象評価となってしまいますが、編集子の率直な感想です。 ベルトドライブ化 静音化とバックラッシュ低減を謳っています。ベルトドライブの是非は諸説あったようですが、最近では優秀性が広く認められているように思います。特にベランダ派的には静音化に期待したいところ。編集子はベランダでは隣家に気兼ねして自動導入の速度を中速に抑えているのですが、最高速が使えるとすると福音ですね。 バックラッシュの低減は赤緯側で特に効果が期待できると思いますが、オートガイドの精度がどう変わるかですね。こちらについても、実機を使用すれば、どの程度の効果があるか明らかになることでしょう。 フォーク式極軸固定の採用 物理形状の大きな変更点。2枚のプレートで赤経体を挟み込む構造。前モデルと比べて少し背が高くなっています。前モデルは「おじぎする方向に弱い」という評価があったようですが(*)、それが改善されているのでしょうか。 (*)恥ずかしながら編集子はSXPの「どの部分が弱いのか」を問題意識を持って見たことがありませんでした。だって、一度設置したらほぼ触れないんですもの・・いい意味でブラックボックスで使いやすいのですが、三脚を含めて「微動だにしないような頑強さは感じない」というのがこれまで使用した中での印象です。 このあたり、同じレイアウトを採用した上位モデルのAXJの評価が高いので(フォーク部は同じ部品を使用しているそうです)、期待したいところです。 SXPはクランプを緩めたり締めたりするのは設置時と撤収時だけなのですが、赤経クランプと極軸支持体のクランプを間違えることが多かったので、赤経クランプがわかりやすい位置になったのは些細ながら福音ですね。 テーパーローラーベアリングの採用 赤経軸に新たに一対の「大型テーパーローラーベアリング」が採用されました。これはタカハシの赤道儀が古くから採用している方法で、両側から予圧をかけて剛性を増すというもの。ベアリングの間隔が前モデルよりも長くなったことで、赤経体全体が長くなりました。 そのほか 4つ目からは「そのほか」。ベアリングが一個増えた、耐荷重が1kg増えた、総重量が2.3kg増えた、アクセサリシューが付いた。HPの使用表記では赤経・赤緯のギア径の表記が「Φ73.2mm」と1.2mm大きくなっていますが、これは実際に大きくなったのか、計測方法の変更?なのかどちらでしょうか。 これは「ギアの外径を基準(*)」に表示するように変更したためで、ギアそのものに変更はないそうです。す。ちなみに径は同じですがSXPとはことなる部品のようです。 (*)他社製品では外径表示が多いようです。 2018/9/28追記) バランスウェイトがSXPの「3.7kg+1.9kgの二個」と異なり「3.7kg一個」のみの付属となるようです(*)。写真ではウェイトシャフトが若干長くなっているような気がしなくもないですが(*2)・・・詳細がわかれば追記します。 (*)前出のHIROPONさんのブログで指摘されていました。当方は気がつかなかった・・・チェック甘かったですね--;;; (*2)ウェイトシャフトの長さはSXPと同じだそうです。 機能強化されなかった点を評価する ないものねだりですみません。 V-PECは採用されない SXP同様「P-PEC」が採用されピリオディックエラーを記憶し再利用することができますが、AXJ/AXD2のV-PECのように、出荷時に実測値が組み込まれているわけではありません。これはちょっと(かなり)残念。 実は編集子はSXPはP-PECに期待してノータッチでのみ使うつもりで、十字線アイピースまで買って準備したのですが、結局めんどくさくて^^;; 一度もP-PECを試さないままオートガイドを導入してしまいました(*)。ではP-PECのためにオートガイダーを買うか?これは根本的な矛盾ですね・・・ (*)やってもいないのに言うのは何ですが、P-PECを手動でやるのは間違っています^^;  全周エンコーダーは予定なし コンセプトモデルでは「全周エンコーダ」の存在が示唆されていたようですが、SXP2では対応の予定はないそうです。クランプフリーで使えると機動性が上がるのですが(*)。某AZ-GTiが2軸エンコーダ使用であの価格だったので期待していたのでちょっと(割と)残念。 (*)些細な話で恐縮ですが、編集子のベランダ環境は南東向きなので、西向き水平から開始すると子午線反転して東に向くまでの時間がけっこう長いのです(速度を中速にしているのもあります)。 極軸望遠鏡 SXPの最終モデル同様「極軸望遠鏡PF-L」が内蔵されます。この極軸望遠鏡、自動電源OFF機構の付いた暗視野照明付きで見やすいのはいいのですが、光害地では周辺の基準星が見にくい弱点があります。時角式でも合わせられるように(*)2重同心円がパターンに追加されると嬉しいのですが。 (*)昔は時角計算は面倒だったのですが、最近ではスマホアプリで一発表示。ヒゲ付きの2重同心円のパターンさえあれば合わせられます。 そのほか 今回は割愛^^;; 価格 書きにくいことではありますが、前モデルより大きく価格は上がりました。実売価格ベースでタカハシのEM-2ooとガチでかぶる価格です(*)。 (*)タカハシとは三脚でけっこう価格差があるので(SXG-HAL130の場合)総合的にはEM-200との価格差はより広がります。 これを市場がどう評価するのかは、今回改良された点の結果次第でしょう。発売後のインプレッションが待たれるところです。編集部発信のオリジナルコンテンツ