2018年皆既月食。赤銅色の月とターコイズフリンジ。

撮影:山本整様

1月31日の皆既月食、皆さんはごらんになれましたか?
幸いにも天気予報が大きくハズレて、関東を中心に好天に恵まれ、多くの方が天体ショーを楽しまれたようです。

本記事では、ネットに公開されたさまざまな皆既月食の表情をお伝えします!



欠けてゆく月の姿

皆既月食の一部始終。
今回は最初から最後まで雲がなく観測できた場所は少なかったようです。関西では後半おぼろ月となったのが残念。

部分月食だけをとらえた作品のアップは少なかったようです。ほんの少しだけかけた月も味わい深いと思うんですけどねえ・・・

部分月食の欠け際が丸いのは、地球が丸いから。
リアルタイムでこんなツイートを見ると「なるほど!」と思って宇宙への興味が倍増しますね^^

月の位置を固定して、月食の一部始終を動画にしたもの。
動画ならではの表現ですね。

撮影:山本こころ様

カメラを三脚に固定し、月食の前半を比較明合成でとらえた作品。前景はスカイツリー。

今回の月食は地平高度が高く地上の構造物と合わせるのは難しかったかもしれませんが、スカイツリーなら楽勝です。ただし、正確な事前調査とロケハンが必要。

皆既直前の「パールリング」

今回の月食は「スーパー・ブルー・ブラッドムーン」というやたら長い愛称?がメディア界隈で喧伝されていました。

【衝撃の事実】スーパー・ブルー・ブラッド・ムーンの正体とは!?詳しい人に聞いてみたぞ!

もうお約束のような「科学的根拠は特になくて、言ったもの勝ちです」とうお話です。
そこで、天リフ編集部も一つ言ったもの勝ちを提案したいと思います。

皆既直前の糸のように細くなった月を

パールリング

と呼ぶのはどうでしょう。
皆既日食では皆既の直線直後、糸のように細くなった太陽を「ダイヤモンドリング」と呼びますが、それの月食版です。

まあ広まるかどうかは別として・・・
この作品は少なめの露出時間でパールリングをとらえたもの。
ターコイズフリンジとほのかに赤い月・・



皆既月食で一番美しい瞬間は、パールリングではないでしょうか!?

パールリングの前後の連続写真。
食分60%を越えて、地球の影が赤銅色に色づき始めてから、パールリングを迎え、皆既に突入。そして月が暗くなってゆく・・

やっぱり、この間が月食のハイライトですね!

 

ターコイズフリンジ

近年、特に注目されるようになったのが「ターコイズフリンジ」。月の欠け際が大気中のオゾンで散乱された青い光で照らされる現象といわれています。

1970年頃にすでに指摘されていたという情報もありますが、一般に広く知られはじめたのはこの10年くらいです。特に、デジタル写真が普及し微妙な色合いを強調できるようになったのが大きな理由。

肉眼ではなかなか認識できないほどの色の差なので、当初はその存在を疑問視する意見もありました。この作品の場合は「青く」まではなっていませんが、よく見ると欠け際のB成分(青い光)が高くなっていることがわかります。

ターコイズフリンジを肉眼で明瞭に観測できた、という声はあまり聞きませんが、この撮影者様は「青く見える気がする」とコメントされています。月の光度が高く空気が透明な季節の場合、ターコイズフリンジは肉眼でも確認できるのかもしれません。

(2/2 追記)

西はりま天文台の鳴沢真也先生のツイート。ターコイズフリンジがその場の複数の観測者で確認できた、とのこと。

今後の観測例の積み重ねを待ちたいところです。

皆既中の月のさまざまな表情

今回は最大食分が1.32と深めであったため、皆既中の月も大きく表情が変化してゆきました。

皆既後すこし経過した頃。食分1.10。
このあたりでは、地球の影の明るい部分と暗い部分の光度・色の差が大きく、そのグラデーションが楽しめたようです。

最大食分付近。月全体が赤銅色となりました。
皆既中の月がどこまで暗くなるかは、その時々の大気の状態で大きく異なるといわれていますが、今回は「暗め」という声が多かったようです。

今回の月食は、薄雲がかかってしまった地方も多かったようです。でも逆に「おぼろ皆既月食」の美しさも、広く知られることになったのではないでしょうか。
この作品は皆既直後の「おぼろ皆既月食」。