山本幸司さんの作品。天リフギャラリーFB分室へのご投稿です。2019年12月13日に撮影された、夜空を横断するStarlink(スターリンク)衛星の姿です。

画像では多数の光跡が映っていますが、これは「比較明」合成で処理されたためで、実際には約60機ほどの衛星が、次から次への順に夜空を横断しています。

 

下の動画は上の画像をタイムラプス化したもの。この時の衛星の予報光度は2.5等級だったそうですが「実際には2等級よりも明るく見えた」とのことです。

「 STARLINK衛星上空通過動画 」STARLINK衛星上空通過をタイムラプス動画にしてみました。 動画後半は、比較明動画にして軌跡を合成してます。 皆さんどう思われますか?2019.12.13 05:46~05:57 STARLINK衛星 大分県大分市

山本 幸司さんの投稿 2019年12月13日金曜日

天リフでも何度か取り上げた「Starlink(スターリンク)衛星問題」ですが、実際に動画を見るとなかなか大変なようです。今後、このような打ち上げが200回ほど行われ、1.2万機が地球を周回するようになるようですが(*)、こんな状況に遭遇すると現在の天文ファンや天文学者による観測に大きな影響を与えることになるでしょう。

(*)さらなる追加打ち上げの計画や他社の計画もあり、この数よりさらに増えることでしょう。

Starlink衛星の問題が騒がれ初めて以降、この計画を推進しているSpaceX社は「反射率の低い素材を使い影響が最小になるように配慮する」旨の発言をしていますが、この画像を見る限り今回打ち上げた60機には対策がなされていないようです。SpaceX社のこの計画は誰もコントロールできていないのが現状だといえるでしょう。現時点では宇宙は誰のものでもなく、大きな資本と適切なロビー活動があれば、好き放題できるといえます。もちろん、それ自体簡単なことではありませんが。

正直いって個人的には諦念しかありません。資本の論理で邁進するSpaceXのような企業が資本の論理によって淘汰されるか(*)、莫大な「懲罰的賠償金」を求める訴訟を誰かが起こして勝訴するか、非合法な手段もいとわず敵対的に衛星を物理的に破壊するか、それくらいしかこの計画が止まるシナリオは思いつきません。

(*)筆者の独断的予測ですが、衛星ネットワークの運用コストに見合う収益が得られず「どこかの時点で」計画が頓挫、ないしは別の形に変わる可能性が一番高いと見ています。むしろ、それによって得られた知見や「副産物」が次にどういう形で社会に発現するのかに注目しています。

高度化されたIT技術が宇宙に向かったときに何が起きるか。それは人類がまだ経験していない領域です。少なくとも事実を認識し、それについて各人が各人なりの「合理的で正しい判断」を行い、少しでも良い方向に進むことを祈るのみです。

https://reflexions.jp/tenref/gallery/wp-content/uploads/sites/3/2019/12/a8e5d411d6576cea88b542e2053bedb1-1024x683.jpghttps://reflexions.jp/tenref/gallery/wp-content/uploads/sites/3/2019/12/a8e5d411d6576cea88b542e2053bedb1-150x150.jpg編集部新着人工天体山本幸司さんの作品。天リフギャラリーFB分室へのご投稿です。2019年12月13日に撮影された、夜空を横断するStarlink(スターリンク)衛星の姿です。 画像では多数の光跡が映っていますが、これは「比較明」合成で処理されたためで、実際には約60機ほどの衛星が、次から次への順に夜空を横断しています。   下の動画は上の画像をタイムラプス化したもの。この時の衛星の予報光度は2.5等級だったそうですが「実際には2等級よりも明るく見えた」とのことです。 https://www.facebook.com/kouji.yamamoto.315/videos/2341782562589122/ 天リフでも何度か取り上げた「Starlink(スターリンク)衛星問題」ですが、実際に動画を見るとなかなか大変なようです。今後、このような打ち上げが200回ほど行われ、1.2万機が地球を周回するようになるようですが(*)、こんな状況に遭遇すると現在の天文ファンや天文学者による観測に大きな影響を与えることになるでしょう。 (*)さらなる追加打ち上げの計画や他社の計画もあり、この数よりさらに増えることでしょう。 Starlink衛星の問題が騒がれ初めて以降、この計画を推進しているSpaceX社は「反射率の低い素材を使い影響が最小になるように配慮する」旨の発言をしていますが、この画像を見る限り今回打ち上げた60機には対策がなされていないようです。SpaceX社のこの計画は誰もコントロールできていないのが現状だといえるでしょう。現時点では宇宙は誰のものでもなく、大きな資本と適切なロビー活動があれば、好き放題できるといえます。もちろん、それ自体簡単なことではありませんが。 正直いって個人的には諦念しかありません。資本の論理で邁進するSpaceXのような企業が資本の論理によって淘汰されるか(*)、莫大な「懲罰的賠償金」を求める訴訟を誰かが起こして勝訴するか、非合法な手段もいとわず敵対的に衛星を物理的に破壊するか、それくらいしかこの計画が止まるシナリオは思いつきません。 (*)筆者の独断的予測ですが、衛星ネットワークの運用コストに見合う収益が得られず「どこかの時点で」計画が頓挫、ないしは別の形に変わる可能性が一番高いと見ています。むしろ、それによって得られた知見や「副産物」が次にどういう形で社会に発現するのかに注目しています。 高度化されたIT技術が宇宙に向かったときに何が起きるか。それは人類がまだ経験していない領域です。少なくとも事実を認識し、それについて各人が各人なりの「合理的で正しい判断」を行い、少しでも良い方向に進むことを祈るのみです。読者の傑作画像をピックアップ